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考えた私は1つの結論に至る。
そして、その事はアンナにだけ話した。
アンナは難色を示したが、
私の決意が固いと知ると、結局折れてくれた。
王宮から馬車でアクアマリン王国の公爵家に向かうと言って、
王宮を出て、そのまま教会へ向かう。
本来の転生者、2巻のヒロイン天宮那奈は、
聖女として大教会にいるはずだが、
ゼウスの情報だと、さほど魔力が多くなく、
村の教会にいるとの事だった。
教会に着くと、シスターがあわててやってくる。
アンナがシスターと話して、
小銭を渡して、天宮那奈と話しができるようにしてもらう。
やってきた天宮那奈は、
村の教会で回復魔法の使い手として、
そこそこな待遇ではあるが、
元現代日本人としては、かなり辛い境遇であったようで、
疲れ果てた、暗い顔をしていた。
黒い瞳に、黒い髪、
髪を染めていない所と、顔つきからして、
高校生ぐらいだろうか。
「貴方が、天宮那奈さんね」
「そうよ」
シスターが言葉遣いにびっくりしているが、
私は気にしないように言う。
「回復魔法は上手くいってない?」
その言葉に押し黙る。
「今辛いの?」
重ねて言うと、一気に話始める。
「小説の世界のはずなのに、全然違う展開になるし、
何がなんだか分からない、
まあ、こんな事言っても理解できないでしょうけど!」
やはり彼女が2巻の主人公だ!
「泉に行けは魔力は増えるわ、
そうすれば救える人も増えるはず、
多くの人を救うと、聖女と呼ばれるはずよ」
「ごめんですね」
切り捨てるように言われて驚く。
「私を裏切った世界を救うつもりはないわ!
私は王太子妃になるのよ?
なのに全然物語通りいかないし、もううんざり」
「これから沢山の人が死ぬわ」
「この世界の人間がどうなろうと、知った事ではないわ」
その言葉を聞いて、私は決意する。
彼女の手を掴み、魔力を一気に解放する。
ごめんね。
心でそう唱えながら、自分の中に力が湧いて来るのを感じる。
いきなりの事に呆然としてる天宮那奈を後目に、
大教会に向かったのだった。




