6-2
王妃様から話を聞いた私は、
人払いをして、アンナだけにして”影”を呼ぶ。
本来、王族にしか仕えず、極秘の存在だが、
本の知識で、”影”の長に接触し、
情報を手に入れる手段を得ていた。
そして、この事はアンナだけが知っている。
「ゼウス」
どことも分からない空間に向かって言う。
「はい」
同じく、姿は現さず、
部屋のどことも分からない場所から声がする。
「今流行りの病気について、できるだけ詳しく教えて」
「今、国の中心で原因不明の病気が流行っています。
感染したら2週間程で死に至り、
回復魔法で治療できるのですが、人手が足りていません」
「天宮那奈という、黒い瞳の女性は?
回復魔法が使えるはずだけど・・・」
「確かに回復魔法は使えますが、
全ての民を治療できる程ではございません」
どうゆう事かしら?
小説では、転生した天宮那奈が、
全国民を救い、聖女と言われるはず・・・
魔力が少ない?
そう考えてはっとなる、
小説ではリオレイル様と泉に行って魔力を上げる、
しかし、私とリオレイル様が泉に行ったせいで、
魔力が足りていない?
小説通り進んでいるようで、
小説通り進んでいない所も出てきている。
このままでは、多くの民が死んでしまう。
「とりあえず、マルエプチの芋を増やして頂戴」
「マルエプチ芋ですか?」
ゼウスが不思議そうに言う。
マルエプチ芋はこの病気の予防になる芋だが、
現在は正体不明の病気の為、その事は知られていない。
芽と花に毒があり、
食料をなかなか手に入れられない貧民しか食べない芋だ。
幸い、マルエプチ芋は10日程で大きくなり、
あまり肥料などなくとも育ち、栽培しやすい。
どうしてこんな事を知っているかというと、
本来は天宮那奈が、貧民に病気になっている人が
いない事に気づいて、芋の有効性を発見するという、
天宮那奈の見せ場のシーンなのだ。
天宮那奈の活躍を奪う気はないが、
私でも準備しておける事があるなら、
準備しておくにこした事はないだろう。
「なぜか聞いてもよろしいでしょうか」
ゼウスの質問は当然だ、
本の中の知識とは言えない、
どうして知っているか聞かれたら困るが、
ゼウスなら問題ないと思い答える事にする。
「マルエプチ芋は、病気を予防する効果があるの」
「どうしてそれを?」
「それは答えられないわ」
私の予想通り、答える気がないと返答すると、
それ以上疑われる事はなかった。
「かしこまりました、マルエプチ芋を増やします」
「お願いね」
「でわ、私はこれで」
「ええ」
ゼウスと話しを終え、私は考え込んだ。




