4-2
招待されたパーティの日。
用意された青のドレスはアクアマリン王国で、
伝統的な正装で、格式高いドレスだった。
本当はレースを付けたドレスを着て、
レースを付けたドレスをアピールしたかったが、
今度の機会になりそうだ。
一緒に用意された、パールがふんだんに使われ、
複雑にデザインされたネックレスとピアスを付けて、
パーティに向かう。
ガーネット王国では国の色は赤、
そして、このアクアマリン王国では青。
王宮に入るなり、白と青を基調とした、
豪華絢爛な装飾品が迎えてくれる。
ガーネット王国の王宮には何度も行った事があるが、
同じ城でも、ガーネット王国の城が要塞なら、
アクアマリン王国の城は優雅な宮殿と言った風だった。
その違いに、少し驚きながらも、
控えの間に向かう。
王宮では侍女達が丁寧にもてなしてくれて、
最上級の礼がなされる。
「どうぞ、大広間にお越しください」
レオナルドにエスコートされて大広間に向かう。
豪華なシャンデリアが眩しく輝き、
白い柱が光を照らす。
大広間に入った瞬間、視線が集まった事に気づいた。
いつもの事なので、気にせず中心へと入っていく。
今日は王子の婚約者としての参加ではないから、
少しぐらい食事が食べれるかしら?
ガーネット王国では挨拶につぐ挨拶。
社交に追われ、料理を堪能する余裕はなかったのだ。
そんな事を考えていると、
ファンファーレが鳴り響き、王族が入場してくる。
あ、レイ・・・じゃない、リオレイル様だわ。
長髪は短い髪になっていて、色も濃くなっている。
眼鏡もかけていない。
髪はどうやら鬘だったようだ。
王族の青色の正装に身を包んだリオレイル様に、
かっこいい~と、心がときめく。
親しみのあるレイもいいけれど、
こうして威厳のあるリオレイル様は別次元で素敵。
ああ~写真に撮って残しておきたい!
せめて絵姿はないのかしら?
そんな事を考えていると、
王の挨拶が終わり、ダンスの時間となった。
すると、リオレイル様がまっすぐ私の所にやってくる。
「私と踊ってもらえませんか」
「はい」
リオレイル様の手を取り、ワルツを踊る、
流石に慣れていてリードが上手、
2巻の主人公が現れるまでのサービス時間、
堪能させてもらいます!
そう思いながらワルツを踊っていると、
1曲が終わり、次の曲となった。
あれ?と思う。
この曲はガーネット王国のダンスで、
しかもかなり難易度が高いもの・・・・
実際、踊れる者は少ないらしく、
ワルツを踊っていた人もどんどん中心から離れていく。
最終的には、ほんの数人のグループだけになってしまった。
ダンスが始まり、複雑な足さばきを難なくこなし、
体を大きく裏にそらす。
難しいダンスだが、女性を美しくみせる要素が多く、
私の好きなダンスでもある。
2曲踊り終わった後大きな拍手が送られる。
それらに優雅に礼をしてリオレイル様の手を放そうとする、
2曲踊ったのだ、3曲目以上は婚約者か既婚者のみ、
次の曲は他の令嬢と踊られるのだろう。
そう思っていると、リオレイル様の手が、
私の腰に回される。
「庭へ行こう、花も綺麗なんだ」
そう言われて、なかば強引に庭に連れ出される。
えええ?いいの?
ファーストダンスを私と踊っただけでも話題なのに、
私以外とは踊らないとなると、
このパーティに来られた方皆に誤解されてしまいますよ?
そんな気持ちを抱えながら、
ふらふらと浮ついた気持ちで、リオレイル様についていく。
庭にはガゼボがあり、食事が用意してあった。
「何も食べていないだろう」
「ありがとうございます」
「今回は、アクアマリン王国の伝統料理も用意してみた、
味わってくれると嬉しい」
「ありがとうございます」
そう言って料理に手を付ける。
確かにほとんど私好みの食べた事がある料理だが、
数皿、この国では食べた事のない料理もある。
なんだ、庭に行くと言うので、
ロマンティックな展開を少し期待してしまったけど、
あくまで友人ポジションなんだよね~
一気に肩の力が抜け、料理を口に運ぶ。
前世でいう所のパクチーのような、
香辛料が使われている料理もあり、
確かにガーネット王国とは料理が違うと感じる。
そして、貝の焼いた物を食べた時だった。
この黒っぽい液体は・・・
ぱくりと口に運んでびっくりする、これ醤油!?
転生した時、ヨーロッパ風の街並みで、
ガーネット王国では醤油を使った料理はなかったので、
この世界にはない物だと諦めていた。
「この調味料!」
興奮しながら答える。
「醤油だよ、知っているのかい?」
少し驚いたように言うリオレイル様に、前のめりで言う
「ぜひ!この醤油の入手方法を教えて頂きたいですわ!」
その言葉にリオレイル様の目が見開かれる。
「醤油を気に入ったのかい?」
「ええ!」
私は興奮気味に答える。
この調子なら味噌にも近い調味料もあるかもしれない!
うきうきと幸せそうにしている私に、
リオレイル様が立ち上がる。
どうしたのかしら?と思っていると、
私の前で跪ずき、手の甲に口づける。
「どうか私の妃となって下さい」
ええええ?まさかの醤油で求婚?
そう言えば、小説でも2巻のヒロインが、
伝統調味料を気に入り、
リオレイル様の好感度が一気に上がるシーンがあったっけ。
本当は海辺で磯焼をするイベントのはずだけど、
だいぶ設定を変えて、今発生しているのかしら?
とか考えている場合じゃないでしょう!
泉に行った時、「そう簡単にはもらえません」って言ったハズ!
「泉で兄によろしくと言われ、断られましたわよね?」
「あの時はレイだった。
きちんと正体を明かして、王太子として正式に求婚
するべきと思っていたのだ」
嬉しすぎて、心がパンクしそう。
ずっと好きになっても駄目だと思っていた。
我慢して、心に蓋をして、
なかったモノにしようと思っていた。
なのに両想い?
恋はもういいって言ってたじゃないかって、
いやいや、恋の傷を癒すのは次の恋なのよ!
前世から通算しても、こんなパイスぺ男はそうそういない、
ここは肉食系女子となり、がっつり飛びつくのみ!
内心はライオンの心だったが、
表面的には、目をうるうるさせ、
感動してる女性を演出する。
くどいようだが、OLで入手した演技力に、
公爵令嬢として磨きをかけたものである。
2巻のヒロインには悪いけど、
リオレイル様は私が頂きます!
そう思いながら、リオレイル様の胸に飛び込んだ。




