3-5(リオレイル視点)
「泉ではさぞお楽しみだったようで」
恨めしそうに言うレイに、笑いかける。
また、どこぞかの高官にいじられらかと思うと、
騎士団長に書類を押し付けらたそうだ。
騎士団長は剣の腕は誰もが認める所で、
騎士達の信頼も厚く統率力もある。
ただ、書類仕事だけは苦手で、
最小限の文字数だけで提出してくるため、
レイが細かく書き直しの指導をするはめになり、
結局はレイがほとんど書類を作っているのが現状である。
「そう言えばいい話を聞いたよ」
「何ですか?」
疑いぶかそうなレイを笑いながら語る。
「今度お祭りで出店があるだろう」
「ええ、ありますね」
レイが顔をしかめる。
商人達は勝手に申請書を出してくるため、
不備のチェックなどが大変で、毎年文官は悩んでいる。
「その書類なんだが、フォーマットにしてみたらどうだ?」
「フォーマットて何ですか?」
私は白い紙に、さらさらと書き込んでいく。
「こうして、最初から記入してもらう事を書いておくんだ、
記入欄は空間にしておく、
そうすれば、書類の不備も減るんじゃないか?」
あ!とレイが声を上げる。
「確かに!これはリオレイル様が?」
「いや、リリアーナだ」
「リリアーナ様が?」
レイは驚いたようだった。
「本当に凄いですね、リリアーナ様は。
マリア王女の病気も治してしまわれましたし」
私は頷く、
妹のマリアに小麦の食事を出さないよう指示を出した。
すると今までの不調が嘘のように回復したのだ。
そして、その事を両親に伝えると、
リリアーナに興味を持ち、
妃に迎えるかもしれないと言うと、大歓迎してくれた。
するとトントンと扉がノックされる音がする。
シリウスが扉を開け、確認する。
「王妃様付の侍女です」
珍しいと思いながら、
「入ってもらえ」
と伝える。
すると、年嵩の侍女深く礼をする。
「王妃様からの伝言です、
本日、首元にレースを付けた女性とご一緒だったとか、
そのドレスはどこで手に入るのかとの事です」
「分かった、今日一緒だった女性に聞いて母上に伝える」
侍女が再び礼をして去っていく。
「さすが母上、情報が早いな」
「元々、リオレイル様が気になられている女性という事で、
注目はされていた事ですし、
”影”はそうゆう仕事も抜かりないですから」
「まあ、そうだな」
「リリアーナ様の事、どうなされるのですか?」
シリウスが真剣な顔で聞いてくる。
レイも自分を見ている事を感じる。
「相手が隣国の王家の婚約者だと知った時は、
さすがに諦めるしかないかと思った、
しかし、婚約破棄。
誰もが文句を言えない相手を好きになったんだ、
このまま自分の気持ちを伝えてもいいと思う」
「でわ」
「ああ、リリアーナを王太子妃に迎える」
その言葉に、シリウスとレイが頭を下げた。
「あ・・・あと」
レイが気まずそうに言う。
「何だ?」
「黒髪で黒い瞳の女性が教会に保護されたのですが、
その女性が回復魔法の使い手だという事です」
「ほう」
回復魔法の使い手は貴重だ、教会にいるなら民も助かるだろう。
「しかし・・・」
いいよ淀むレイに話を促す。
「その女性は、リオレイル様の妻になるのは私だと言っていて、
王家との面談を求めているとか・・・」
いきなりの情報にどうしたものかと思う、
会った事もないのに、私の妻になるだと?
「上手く誘導して、回復魔法を使ってもらえ」
暗に相手にならないと告げる。
心はリリアーナに決まっている、
確かに回復魔法の使い手は貴重だが、
だからと言って王族が結婚しないといけない決まりはない。
ただ、何か嫌な予感はする。
「民の噂だから難しいかもしれないが、
できればリリアーナの耳には入れないで欲しい」
「公爵家に連絡しておきます」
レイの答えを聞いて頷いた。




