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断罪予定の悪役令嬢ですが、隣国の王太子の愛され妃になります!  作者: あいら


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1-1

「君との婚約を解消したいんだ」


いきなりの言葉に、えっと口だけが動いて、

何の音にもならなかった事に気づく。


王子の部屋だけあって、白と金を基調とした豪華な部屋、

派手さを隠そうともしない所は、持ち主を表している。


テーブルには大振りの花が置かれていて、

本来なら心を和ませてくれる存在のはずが、

今はまったく余裕を失っている。


いつもなら、紅茶の他にお菓子も用意されるのに、

今日は紅茶のみで、お菓子が用意されていない事も、

まったく頭に回っていなかった。


2週間前にも会ったばかりだ、

その時は「愛しているよ」と言ってくれて、

笑顔でエスコートしてくれた。


そのまま何も言えないでいる私を満足そうに眺め、

この国の第二王子、アホンダラ様は侍従に何かを告げる。


するとすぐに1人の女性が部屋に入ってきた。


私も良く知った人物だ。


この国には4大公爵家があって、

結婚適齢期の女性は3人。


1人は第一王子の婚約者、

そして、1人は私、第二王子の婚約者。

そして、公爵家でありながらも、力が弱く、

どちらにも選ばれなかった女性、ロザリアだ。


ピンクにウエーブがかかった髪、

化粧は濃く、自信満々に勝ち誇った顔でアホンダラ王子の横に立つ。


「これからは、ロザリアが私を支えてくれる」


怒りで心が煮えくり返っているのを感じながらも、

長年の王子妃教育を思い返し、何とか冷静に返す。


「父が黙っていませんわ」


「その辺は問題ない」


笑顔で言い切られ、これが決定である事を知る。


何か言わないと・・・


と思った時、いきなり頭に情報が溢れだしてきた。


何なのかしら?


これは?


心臓がどきどきと音を立て、俯いてしまう。


その時間はとても長く感じたが、

周りからすると一瞬だったようだ。


「何も言えないようだね、話は以上だ、

 もうこうして会う事もないだろう」


「うふふ、今までお疲れ様でした、

 これからは私にお任せ下さいませ」


そんな言葉を遠い世界の言葉のような気分で聞く。


ああ、本来なら睨め返して・・・


そう考えて、すんとした顔で冷静に話す。


「では、書類にして頂けますか?」


「書類?」


余裕の笑顔を浮かべていたアホンダラ王子が、

初めて真顔になった。


「正式な物である事を証明する為に、

 アホンダラ王子と、そうですわね、

 ロザリア様もサインを頂けますでしょうか」


「書類にすれば、おとなしく去るんだな」


「ええ」


公式な文章を作成する専門の官吏が文章を作り、

それを確認して、アホンダラ王子とロザリアがサインをする。


「これで確かに」


私は書類を受け取って、ソファーから立ち上がる。


「お聞きしたい事があるのですが」


「なんだね」


もう余裕を取り戻したアホンダラ王子が笑顔で答える。


「私と婚約破棄をなさったのは私が魔法を使えないからですの?」


「ああ、そうだ」


「私を愛して下さってました?」


「もちろん愛していたさ、しかし私は王族、

 愛だけではどうしようもない事もあるんだ」


その言葉に全てを悟る。


アホンダラ王子が愛したと言ったのは父の権力だけ・・・

決して私自身を愛してはいなかったのだと。


アホンダラ王子は、第二王子でありながら、

次期王の座を狙っている。


それは周りの誰もが知る所だった。


しかし、高位貴族でありながらも、

魔法を使えない私と結婚させる事で、

王位の座からアホンダラ王子を引き離す狙いがあった。


それが、アホンダラ王子は気に入らなかったのだろう。


ロザリアが次の婚約者になった所で、

第一王子の婚約者であるプリシア様との差は大きい。


それを知ってもなお、ロザリアと結婚した方がいい

何かがあったのだろう。


冷静な表情を保ちながら、部屋を出て行こうとする。


すると、ロザリアには聞こえないように、

私の耳元でアホンダラ王子が呟く。


「もし、プリシアを倒せれば、

 再び婚約者にしてもいいよ」


綺麗な笑顔のままで・・・・

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