表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

しゅらば

初めての恋愛もの。


わたしは未空瑠衣みそらるい、高校1年生。

目の前には二人の男子がいる。

一人は、沢崎望さわさきのぞむ、同級生。

私が付き合っていた男子だ。

でも、2ヶ月前に沢崎から別れてほしいと言われ、別れた。

本当は別れたくなんてなかったけど、あの手この手で言いくるめられてしまった。

私は沢崎さきさわが心の底から好きだった。

悲しかったから死ぬほど泣いて、ていうか自殺を考えることもあった。



そして、もう一人。

一歳年上の、池永隼いけながしゅん

彼は私を理解してくれて、愛してくれる。

沢崎を忘れるために付き合ったけれど、彼のことを沢崎以上に好きになることはできなくて、だから別れてもらった。

隼は、そんな私に怒ることなどせず、許してくれた。



それで、私たち3人が何をしているのかと言うと。

ここは放送室で、鍵は閉まっていて、蛍光灯は仕事をしていない。


でも美味しい展開ではないのは、わかっていることだろうけど。


私は椅子に座り、二人は私の前に立ち、睨みあっている。

理由は簡単。

隼が沢崎を殴ったから。

何故、隼が沢崎を殴ったのか。



私が沢崎に振られて、私はそのことを先輩として親しかった隼に告げた。


「未空はどうしたい?」

「そりゃ、ヨリ戻したいよ・・・」

「だよなぁ。」


そして私は沢崎とヨリを戻すために、手紙を出し、メールをし、電話をかけたが、全て無視を食らった。

私は精神的に追い詰められ、自殺を考えるようになった。


「もう、死にたいよ・・・」

「そんなこと言うな。お前が死んだらみんな悲しむ。」

「わかってるけど・・・でも、もう辛いんだよ・・・」

「未空、・・・」


泣きだしてしまった私を、隼は抱きしめた。


「え、せんぱ、」

「俺じゃ駄目?」

「え、え?」

「俺じゃ沢崎の代わりにはなれない?」

「・・・わからないよ」

「お前が好き。沢崎を忘れるためにでもいいから、付き合ってくれ」

「・・・・・ありがとう。」


そうして、私と隼は付き合うことになった。

でも。

私の脳裏にはいつも沢崎がチラついて、離れなかった。

彼は愛してくれたけど、私は彼を沢崎以上に愛せなかった。

申し訳なくて、別れて、と告げた。


私は昨日、私の思いを沢崎に伝えることに決めた。

沢崎を放送室に呼び出す。

その役を隼が買って出てくれた。



「やっぱり、沢崎が好き。忘れられない。

昔みたいに、一緒にいたい・・・」

「はぁ?そんなの無理に決まってんだろ。俺新しい彼女いるし

図に乗ってんじゃねーよブス、お前なんか遊びだっつの」


心に突き刺さる言葉だった。

沢崎が言い捨てた瞬間、隼は沢崎を殴っていた。


「ふざけんなよ、お前!!」


そして、今。


つまりは修羅場である。

うーわー、どーしよーというのが私の本音ではあるのだけれど、そんなことを言える空気ではない。

未だ二人の睨みあいは続いていて、私が口を出せるような空気ではない。



しかしその状況は、隼の手によって変えられる。


「お前のせいで、どれだけ瑠衣が傷ついたと思ってんだよ!!」

「・・・」


隼が叫んでも、沢崎は微動だにせず、隼を睨みつけている。



「・・・もう、いいよ」

二人の視線が私に集まる。


「もう、いい。」

「瑠衣!」


私は、放送室を飛び出してしまった。



続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ