女を殴れば、異世界の恋愛はうまくいく
1
有働ユウジはこの新しい世界に来てから約一時間、ずっと広場の噴水の縁に座って道行く人々を睨むような目つきで見ていた。
そして吐いた言葉がこれだった。
「気持ち悪いとこだな」
腹が減っていた。
目の前にある飲食店らしい建物が先ほどから気になっていた。
金はなかったが、入ることにした。
「いらっしゃいませ……」
ウェイトレスらしい若い女は、ユウジの姿を見て語尾をしぼめた。
「……」
ユウジは知っていた。
この店には先ほどから鎧で身を固めた男たちや品のいい格好の連中が入っていったが、女は非常に愛想良く接客していた。
ユウジの中で、一瞬で何かがはじけた。
「来いよ」
女の二の腕を掴んで引きずった。
突然のことに、女は、
「えっ、えっ?」
と戸惑うだけだった。
ユウジはそのまま女を路地裏に連れて行き、
パァン!
と引っ叩いた。
「ここが何の世界だろうと関係ねえ。お前みたいなやつはイライラすんだよ。俺は客じゃねえのか」
「……ごめんなさい……!」
「あ? なにがごめんなさいだ? 俺を見下してたことか?」
「い、いえ……」
「見下してたろ。正直に言えよ。鎧も着てないし上等な服も着てないから客じゃねえって思ったろ」
「そんなことないです……」
「ああ!?」
ユウジは嘘をつかれるのも嫌いだった。
嘘は相手を簡単に騙せると侮るときにつくものだ。
ゴッ!
全く手加減せずに、女の右頬を拳で殴りつけた。
女はわっと泣き出した。
彼女は十四、五歳の美しい娘だった。
にしては、(ユウジが聞いたのは「いらっしゃいませ」の一声のみだったが)愛嬌があり、接客慣れしていて、客を気持ちよくさせる才能を持っているといえた。
それが自分の時だけ言葉を詰まらせたことが、ユウジは我慢ならなかった。
ビリリッ!
女の服を破いた。
女は大声をあげたが、構わず上から下まで全部破いた。
ユウジは止まらなかった。
女をめちゃくちゃに犯した。
「おら、バカにしてたんだろ。言えよ! 全部言え! こんな状態でプライドもクソもねえだろ、いえよ!!」
犯しながら、殴りながら、恫喝しながら。
そしてついに言わせた。
「うっ、ううぅ……わたしは……お客様を……見下しました……見下して……しまいました……っ」
パァン!!
頬を叩いて、髪を掴んで顔を引き寄せる。
「じゃあなんだ。おまえのすることはなんだよ」
「す、すること……」
「かんがえろや! いわせんな! 自分から、心から、しなきゃいけないことがあるだろが!!」
そして彼女は、ひどく屈辱的な行為によってそれを示した。
その間、彼女の表情から、恐怖と苦痛と抵抗は薄れていき、やがて本当に心からのような言葉が口から漏れ出した。
「ごめんなさい……。申し訳ありませんでした……。あなたは、素晴らしい方です……わたしに……っ、大切なことを……っ、教えてくださって……」
「そうか。だよな。はははは」
そこからまた狂ったような交わりが始まった。
どちらも果てた後、ユウジは女の髪を撫でて言った。
「わかりゃいいんだよ、わかりゃあ。お前は賢い子だ」
「あ、ありがとう……ございます」
「かわいいしなぁ。いい子だよ」
「あ……あ……はい……」
「服、破っちゃってごめんな。代わりあるか?」
「お店にいけば……」
「とってきてやるよ」
女は救世主を見るような目でユウジを見つめた。
これがユウジのやり方だった。
もっとも、元いた世界では恋人や近親者に対する暴力への風当たりが厳しくなったために社会から追われることとなり、そこから逃げ出した挙句事故に遭って命すら失う羽目になったのだが。
ユウジは店に入り、
「ウェイトレスの子が転んで服が破れてしまったようで。代わりの服を取りに来たんですが」
そんなことを言って、不審がられながらも服を入手し、彼女に渡した。
「お前、どこに住んでんだ」
「少し行った先の寮です」
「遊びに行っていいか?」
女は考えるより先に、首を縦に振った。
そしてその夜もユウジは彼女を犯した。
ユウジの行為は常に暴力的だった。
終わった後で、それまでのマイナスを埋めるように優しくなった。
「なあ、ここってなんなんだ」
「え……リトアの街ですけど」
「……まあそうだよな」
ユウジは頭をボリボリかいた。
質問を変えることにした。
「楽に稼げる仕事知らねえか」
「楽に……。だったらやっぱり冒険者とか」
「はあ? 冒険者?……ははははは! なんじゃそりゃ」
彼女が説明した冒険者とは、そのままの意味だった。
この世界には危険な未開拓地帯が多くあり、そこにしかない貴重な生き物や物品をとってきたり、または人が立ち入れるように整備する役目を民間の日雇い労働者が担っていた。
「なんだそれ……。普通そういうの国がすんだろ」
「……?」
「もういいわ。なんにせよ危ねえ仕事はしたくねえな……。なんかうまいやり方ねえのかよ」
「うーん……。一応、あることはあります」
「ほう?」
「つ、強い冒険者に同行して、瀕死のモンスターのとどめだけをさせば、戦わずに強くなれます」
「は? なんでとどめだけで強くなれんだよ?」
「え……なんでかはわからないけど、強くなれますよ。お金をたくさん持ってる人たちはそうやって冒険をしやすくしてるようですし」
「はぁー、ふぅーん」
意味不明だったが、とりあえず納得するしかなかった。
そもそも死んだはずの自分がここで目覚めたことから意味不明なのだ。
「まあいいや。教えてくれてありがとうな。もう一回するか?」
「えっ…………。はい……」
女はそう言うと、体をぞくぞくと震わせた。
肉を押し付け、悲鳴をあげさせ、すべてが思い通りになる感覚。
ユウジはこれが好きだった。
いや、この状態以外を認められなかった。
――どうやって強い冒険者についていくか。
いや、楽勝じゃねえか。
冒険者にだって、女はいるんだろ……。
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