ある夏の思い出
花火がやりたいと言った
ビールを飲み干して
ほろ酔い気分のなか
外はまだ、予想以上に気温が高く
これが残暑と呼べるものかと
あきれてしまうくらい
冷えたビールに心地よい空調の中
今日一日の仕事の疲れを癒していた僕に
もう一仕事してよと
こころのどこかで、そう聞こえてきた
花火・・・
そう言えば今年はどこも中止だな
いつもなら
どの場所の、どの演出に興味があるのか
必死になって探していたのに
そう思っていると
君が
外に出かける態勢をとったから
これは本気だな、と思った
花火・・
イメージでいくと
線香花火か、手持ち花火か
夜空に打ち上げる筒状のものか
いずれにせよ、
夏の終わりに近づいても
今年はあまり
思い出話ができるほどの
思い出もないのかな
夜空に打ち上げる花火ではなくても
こう、花火をやったことが
事実として残すことで
いつかの思い出になるのかな