閉ざされた交信
雨降る世界、人々は部屋に閉ざされた。
蔓延する風邪に人々は部屋に閉じ込められ隔離することを余儀なくされ、薬を配給されるまま自宅生活を続けた。
一人暮らしの太郎は困っていた。今の世の中、電話が大事だというのに、電話線が切れてしまって誰とも通話できない。
《もしもーし》
しかも、こういう日に限って幼なじみの継子から電話がかかってきた。
《もしもーし、いたら返事しろー、もしもーし!》
いつも向こうから電話をかけては、体調の安否から他愛ない雑談まで何でも押し掛けてくる。
太郎は別に煩くなかったが、今回は違う。朝から何度も電話され、中々落ち着かなくなる。
修理ロボットは、外が雨の為到着が遅れるらしい。
《もしもーし! 聞こえてるー?》
「もしもし、聞こえてるよ」
床に座り込み、天井を仰ぎ見て太郎は元気なく返事した。
《太郎~私そろそろ行っちゃうよ~》
行っちゃうって何処へ? 太郎は電話に目を向けた。
《知らないの? 今日は町で暴動があるってさ》
そんなの知らなかった。太郎は力なく電話を見続ける。
《町の薬屋にある在庫を叩くの。そしたらそのあと太郎のところにも薬届けるからさ》
外が騒がしいな。徐々に太郎は頭が重くなっていく。
《だから、ちょっと待っててね……後でそっちに向かうから、風邪に負けないでよ》
継子の思いは一方通行のまま、部屋の中で太郎は目を閉じた。