表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界ラブレター~転生した勇者は魔王と文通を始めました~

作者: ウルエ
掲載日:2020/01/24

上演済脚本を載せてます。ただ読むだけでも、上演に使ってもよし。ご自由にどうぞ。

*上演時間の目安は20分になります。


勇者(男)

王様(男)

魔王(女)

悪魔公(男)




照明がじんわりとつく。男が立っている。

男は自分の手を見て、不思議そうにしている。


勇者「落ち着こう。落ち着いて考えるんだ。俺は確か、冴えない男子大学生。特に人生に不満はないが、特記すべきこともない。このまま、そこそこ稼げる会社に入って、そこそこ可愛い女の子と付き合って、平凡な家庭を築く。そう思っていた。そう思っていたんだ。」


照明、青くなる。


勇者「午前二時。夜食を買いにコンビニに出かけ、トラックにはねられるまでは。」


音響、クラクション。


勇者「死んだと思った。運転手を責めるつもりはない。ただ、俺の運が悪かっただけだ。でもどうせ死ぬんだったら、コンビニで買ったプリンを味わってからにして欲しかったなぁ、なんて。そんなことを考えながら、俺の意識は遠のいた。」


照明、明るくなる。


勇者「そして、目が覚めた時には、この場所に立っていたんだ。」


王様、入ってくる。


王様「おお、おお、まさか本当に成功するとはのぉ。そなた、よくぞ応じてくれた。」


勇者「………は?」


王様「おおっと、すまんすまん、わしとしたことが。大事な説明を忘れとったわい。」


勇者「説明。」


王様「そうじゃ。そなたは勇者で、わしは国王である。」


勇者「………は?」


王様「む。難しかったかの。ユーアー勇者、アイアム国王。」


勇者「落ち着こう。俺はこう見えて、子供の頃からゲームが好きだった。紳士の嗜みだ。ラノベもたくさん読んだ。だからこそ言えることがある。」


王様「分かってくれたかの。」


勇者「これは夢だ。」


王様「現実じゃぞ?」


勇者「いいや俺の夢だ。現代日本に生きとし生ける者、サブカルチャーを愛した者ならば、誰だって一度くらいは夢見る。そう、トラックにひかれて転生したいと。」


王様「さぶかるちゃ?そなたの言うことは難しくて分からんが、そなたは我々が、勇者召喚で異なる世界から呼び寄せたのじゃ。突然のことで混乱していると思うが、頼みたいことがある。」


勇者「ほら、テンプレきた。」


王様「近頃魔族が力をつけてきている。恐らく魔王が覚醒したのじゃろう。このままでは人間の国は滅ぼされてしまう。どうか力を貸してはくれぬだろうか。」


勇者「分かった。分かったからもうそれ以上言うな、俺の黒歴史なんだ。」


王様「おお、さすがは勇者殿。理解が早くて助かる。早速部屋を用意させる。武器でも魔道具でも、欲しいものはなんでも言っておくれ。」


勇者「オーケイ。魔法もある設定。死んだら目が覚めるかな?」


王様「はっはっはっ、冗談を。簡単に死なれては困るぞ。ほれ、こっちじゃ。」


王様、勇者がはける。

入れ替わりに、魔王、悪魔公が入ってくる。


魔王「それで、ざっと一万の大軍を破ったんですって?」


悪魔「ええ、貴女様の加護さえあれば、我々は無敵の軍勢にございます。あと数か月もすれば、世界は我々魔族のものとなりますでしょう。」


魔王「世界に興味なんてありませんわ。それより、今回も私とお話してくださる人間に出会えませんでしたの。」


悪魔「魔王様を前にすれば、人間など恐れをなして逃げてしまいますよ。……だからこそ解せません。なぜ魔王様は、そんなに人間と話がしたいのですか。」


魔王「あら、人間は博識なんですの。脳まで筋肉の戦闘バカしかいない貴方たち魔族と違って、面白そうな話ができますわ。」


悪魔「はぁ。人間と話がしたいのであれば、隷属の魔法でも使えば宜しいじゃありませんか。」


魔王「そんなのつまらないわ。」


悪魔「……魔王様のお考えは理解いたしかねます。これでも魔族の中では一番、賢いと言われているのですが。」


魔王「ええ、知っているわ。だからこそ貴方をデーモンロードに任命したじゃないの。……ああ、そういえば。脳筋どもの間で、最近、わけの分からないバトルロワイアルが開催されているのだけれど、あれは何ですの。」


悪魔「非常に言いにくいのですが、魔王様の婿に選ばれるために、自分の実力を示しているのでしょう。」


魔王「え、何で?」


悪魔「魔王家は先祖代々、世界を征服した後に跡継ぎをつくります。魔王様には現在親しくしていらっしゃる殿方が居ないため、実力を示せば自分が選ばれるかもしれないと考えているのでしょう。魔王様の血筋は、魅力的ですから。」


魔王「え、何それ無理。生理的に無理。」


悪魔「そうおっしゃられても…、何か、彼らが納得するような理由でも示されない限りは。」


魔王「分かったわ。ならば公表して。魔王様は自分より強い人がタイプ、と。」


悪魔「…ご冗談を。そんな魔族は世界中探してもいませんよ。」


魔王「ええ、ですから、悪魔公爵たちには、頑張って探してくるようにおっしゃって。」


悪魔「はぁ。どうなっても知りませんよ。」


悪魔、はける。

照明、暗くなる。


魔王「少し、昔話をしましょう。私は前世の記憶を持って生まれましたの。いわゆる転生者ですわ。こことはどこか違う、遠い遠い世界の、東の国。確か、ニホンと呼ばれていましたわ。そこでは大きな戦争が起こっていました。愚かですこと。愛しい人を殺された者が、憎しみ合い、終わらない復讐を続けていました。私は空から降ってきた…なんでしたっけ、魔弾のようなものによってその生涯を終えました。気が付いたときには、この世界に、魔王として君臨していましたわ。」


魔王、懐から一枚、手紙を取り出す。


魔王「元人間である私は、人間の国を滅ぼすことには、あまり乗り気ではないんですの。それに、歴史は繰り返されますわ。脳筋どもには一生分からないでしょうけど、魔族と人間は戦い続けてきた、何千年も。今、私の加護をもってして魔族が世界を支配しても、私の力が衰えれば再び人間に支配されるだけ。意味なんてないですわ。」


魔王、手紙を静かに、地面に置く。


魔王「だからお願い。届いてほしいの、この気持ち。」


魔王、はける。

勇者、やってくる。地面に置いてある手紙を拾う。


勇者「結局、俺が夢から覚めることはなかった。今日こそ目覚めたら病院だと思って、一か月が過ぎた。だから覚悟を決めた。たぶん、俺は本物だ。そして、めちゃくちゃに強かった。まずはレベルを上げろという国王の言葉を無視し、騎士団長に挑んでみたら、圧勝してしまった。力は半分も出していなかったんだが。」


照明、明るくなる。

国王、やってくる。


国王「探しましたぞ勇者殿。一体どこへ行っていたのじゃ。」


勇者「ちょっと、戦場に。」


国王「なんですと!?最前線はここから馬車でも三日の距離で…。」


勇者「ああ、俺って走るとすごく早いから。」


国王「そなたにはいつも驚かされてばかりじゃの。して、何を見てきた。」


勇者「たくさんの兵がやられてた。完敗だ。俺をもう少し早く召喚してくれたらなんとかなったかもしれないが。」


国王「おのれ魔族め。ふん、見ているがいい、歴代最強の勇者を召喚できた人間の力を。」


勇者「なぁ、おっさん。」


国王「わしはおっさんではない。」


勇者「じゃあ、ハゲ。」


国王「ハゲとらん!全く国王たるわしをなんと……。」


勇者「この戦いに、意味ってあるのか。」


国王「――どういう意味じゃ。」


勇者「自由にしていいって言われたから、王の書斎に入らせてもらった。歴史書を少し読ませてもらったけど、この世界は人間と魔族が交互に支配してきたらしいな。」


国王「む、そうじゃな。数百年に一度、大戦が起きる。我々は勇者を召喚し、奴らは魔王を覚醒させ、決戦に持ち込むんじゃ。勝った方が負けた方を支配する。じゃからこそ、これは絶対に負けられない戦いで…。」


勇者「本当にそれでいいと思っているのか。」


国王「……そなた、何を考えておる。」


勇者「俺は、おっさんが悪い人じゃないのは知っている。ちょっとハゲてるだけで。」


国王「だからハゲとらん!」


勇者「ただ、思いつかなかっただけなんだ。恐らくは、魔族への憎悪が先走ってしまうから。それを指摘できなかった歴代の勇者は愚かだったとしか言いようがないが、俺は、ちゃんと提示したいんだ。」


国王「一体、何をじゃ。」


勇者「勝ちと負けではない、WIN-WINの選択肢を。」


国王「うぃん…うぃん?」


勇者「俺の故郷で、意識高い系がよく口走ってた言葉だ。訳すと、双方の勝ち、かな。おっさんに聞きたいんだけど、この国で、魔族以外に困ってることってあるか?」


国王「む?いきなりじゃな。…そうじゃの、基本的に国土の開拓が出来とらん。皆畑仕事で飢えないためにいっぱいいっぱいじゃ。」


勇者「よし。それじゃ、魔族たちはなぜ人間の国を攻めるんだ?」


国王「奴らはアホだからな、稲作の基本も出来とらん。普段はケモノを仕留めて食っているらしいが、贅沢がしたくなるといくさを仕掛けてくるんだ。美味しい米や、職人が作り出したモノを狙って。」


勇者「さてここで質問。賢いけど弱っちい人間とアホだけどくそ強い魔族が、双方幸せになるには。」


国王「……我々が指導して、魔族が実働部隊となり、この国を開拓していく……?」


勇者「大正解。やるじゃんおっさん。」


国王「し、しかし勇者殿!魔族と手を組むなど、国民は納得しかねますぞ!理屈では納得できても気持ちまでは…何千年もの間恨み続けた者を信用するなど!」


勇者「落ち着けって。確かに、俺は冴えない男だったからな。何をやっても上手くいった試しがない。けど今回は、俺一人の力じゃないんだ。」


勇者、手に持っていた手紙を掲げる。


勇者「魔族の女の子から手紙をもらったのさ。」


照明、暗くなる。

魔王、出てくる。


魔王「拝啓、勇者様。突然のお手紙、申し訳ありませんわ。私は、魔族と人間が戦うことに疑問を持っていますの。もし私の話にご興味がありましたら、この手紙の魔力を辿ってみてください。勇者様なら、直接返事の手紙を送れると思いますわ。」


魔王、最後に何かを言おうとして一瞬ためらう。が、すぐに口を開く。


魔王「しがない魔族の娘、より。」


勇者、王様がはける。

悪魔公が入ってくる。

照明、明るくなる。


悪魔「それで、命令を聞けない部隊はいかがいたしましょう。」


魔王「私がぶっ飛ばして差し上げますわ。」


悪魔「なるほど、確かにそれで解決しますね。全く、最初に人間と協定を結ぶなどと言い出した時は、どうなるかと思いましたよ。」


魔王「案外うまくいくでしょう?条件は、魔族領へ行商隊をよこすこと。」


悪魔「そしてその護衛には魔族をつかわすと。双方が納得する条件、お見事です。」


魔王「ふふん、これも彼のおかげですわね。(楽しそうに花占いする)」


悪魔「……魔王様。」


魔王「なんですの?(楽しそうに)」


悪魔「最近なんだか、上機嫌でいらっしゃいますね。」


魔王「へっ!?し、失礼ですわ。私の口元が緩んでいたなど…。」


悪魔「そこまでは言っていませんが。」


魔王「ゆ、許しましょう。それよりも、本日も来たのでしょう。早く出してください。」


悪魔「はぁ。(懐から手紙を出して、魔王に渡す)全く、どこの誰かは存じませんが、まさか魔王様が目をつけていた殿方がいたなんて。」


魔王「ふぇ!?誰もそんなこと言っていませんわ。手紙にも最上級の封印魔法を施しましたのに……どうして知っているのです。」


悪魔「バレバレですよ。それで、その方はちゃんと貴女様より強いんでしょうね。」


魔王「強い?」


悪魔「魔王様がおっしゃられたことじゃないですか。タイプは自分より強い人って。」


魔王「そういえばそんなことも。……ふっ、確かに、強いかもしれませんわね。」


悪魔「ご冗談を。」


魔王、悪魔公がはける。

勇者、国王が出てくる。


国王「勇者殿!一大事じゃ!一大事じゃぞ!」


勇者「どうした。」


国王「荒野でずっと睨み合っていた魔族が!」


勇者「魔族が?」


国王「……撤退していったぞ。」


勇者「まぁ、そりゃあ、停戦協定に判を押してくれたからな。(と紙を差し出す)」


国王「(受け取って)信じられぬ…。一度魔族が戦いを始めると、狂ったかのように、殲滅か全滅するまで、止まらないと聞いていたのに。」


勇者「彼女のおかげだ。どう説得したのか分からないけど、脳筋には脳筋なりの止め方があるってさ。(ともう一前の紙を読む)」


国王「そっちは?」


勇者「俺個人への手紙だ。やらんぞ。」


国王「ぬぅ…。独り占めしやがって。魔族の娘は皆、綺麗というじゃないか。なんでも、大気中の魔力を吸収してお肌がとぅるとぅるだとか…。」


勇者「ふぅん。」


国王「な?どうじゃ?停戦協定の功労者として、我が王室に招いてやっても――。」


勇者「黙れハゲ。」


国王「ハゲとらん!」


勇者「やってもいいけど、その場合は王城に向けて全力で聖剣を振るから、宜しく。」


国王「宜しくない!そなたのせいで、国が吹っ飛ぶわい!」


勇者「愚かな王の末路ということで。」


国王「はぁ……、こやつめ、本気で惚れてやがる。」


勇者「ん?なんか言ったか?」


国王「なんでもない!爆ぜるがいい!」


国王、はける。


勇者「彼女とは始めこそ、大真面目なやりとりをしていた。彼女は頭も良く、飲み込みも早い。WIN-WINという概念を説明したら、記憶にある異国の言葉に似ていたからなんとなく分かる。と。この世界にも英語に似た言語があるのかもしれない。」


魔王、出てくる。

魔王と勇者が目を合わせずにすれ違う。

勇者、すれ違いさまに、返事を書いた手紙を魔王に渡す。


勇者「回数を重ねるごとに、内容は日常的なものになっていった。俺がおっさんの部屋をふっ飛ばして怒られたことや、」


魔王「私が家の者に手紙を見られ、思わず上級魔術でぶっ飛ばしてしまったこと。」


勇者「そんなたわいないことのやりとりが、どうしようもなく楽しかった。彼女と仲良くなるのは、人間と魔族が分かり合えることを証明するため。国民に知らしめるためだったのに。」


勇者「俺はいつしか。」


魔王「私はいつしか。」


勇者&魔王「彼女(彼)のことが頭から離れなくなった。」


魔王「それがダメだということは知っていました。彼は私のことをただの魔族の娘だと思っているけれども、本当は違いますの。私が魔王であること。」


勇者「俺が勇者であること。」


魔王「彼が語ったあの夢は、私に見せてくれたあの夢は、どれだけ手を伸ばそうとも届かない。だって…。」


音響、轟音。

悪魔公、駆け込んでくる。

照明、明るくなる。と同時に勇者がはける。


悪魔「魔王様!悪魔公爵達が暴走を始めました!これ以上は抑えられません!」


魔王「先程の轟音は彼らなんですの?」


悪魔「はい。魔王様の指示で控えさせてはいたのですが、その……貴女様の加護が強すぎました。」


魔王「そうでしょうね。魔王の加護は、精神状態を狂わせる代わりに、甚大な力をその肉体に授けるもの。」


悪魔「貴女はいつの日か言いました、これは私達の身体を蝕む、麻薬なのだと。」


魔王「ええ。加護なんて生ぬるいものではありません、戦い続けるための、呪いですわ。私が生きている限り、その効果は続くし、どれだけ遠く離れようとも必ず届いてしまう。」


悪魔「公爵達は、恐らく人間の国の首都へ向かいました。人間との最終決戦に持ち込むつもりです!」


魔王「……貴方は、大丈夫ですの?」


悪魔「え……。」


魔王、悪魔公の身体に触れる。


魔王「震えているわ。人間を殺したくて殺したくて仕方ない衝動に耐えているのね。」


悪魔「私は…これくらいでは…っ!」


魔王「大丈夫。安心して。すぐに楽にさせてあげるから。(と、はける)」


悪魔「魔王様!」


悪魔公が追いかけようとするが、ふらつく。ふらつきながらも、魔王を追ってはける。


勇者、剣を手にして出てくる。


勇者「どうして。どうしてこうなった。魔族は近頃ずっと攻撃をしてこなかった。彼女が伝えてくれていたのだと思っていた。それが、どうしてこうなった!何故王城が囲まれている!」


音響、剣の音、斬られる音、悲鳴。


勇者「やめろ。やめてくれ!殺しあうのは、俺達が殺しあうのだけはやめてくれ!」


魔王、反対側から出てくる。お互いに客席を向く。

照明が青くなる。


勇者「その尋常じゃない魔力、貴様が魔王か。」


魔王「……ええ、そうですわ。」


勇者「なぜ出陣の命を出した!?こちらにはもう争う意思はなかった!俺が折角築いてきた魔族への信頼を、貴様は台無しにするつもりか!」


魔王「………。」


勇者「何とか言え!俺は勇者だ、貴様を倒すだけの力を持っている!ふざけた回答は――。」


魔王「そういえば。――勇者と手紙のやりとりをしていた小娘がおりましたわ。人間と手を組むなんて魔族としての恥。その場で斬り捨ててしまいましたの。」


勇者「………。」


魔王「どうしましたの?かかってきてくださいません?勇者なんでしょう?」


勇者「………ああ。そうだな。貴様とは、異なる世界の住民のようだ。」


勇者、ゆっくりと魔王に剣を向ける。魔王、ゆっくりと勇者の方を向く。

両者が一斉に踏み込む。暗転。


剣が肉体を貫く音。照明、フェードイン。


魔王の身体を勇者の剣が貫いている。


魔王はゆっくりと右手を上げ、勇者の胸の服を掴む。


勇者が戸惑うが、振り払うことはない。


魔王がゆっくりと顔を上げる。目が合う二人。


そして魔王が最後の力を振り絞る。


勇者の唇に、キスをする。


魔王「ありがとう。………さようなら。」


暗転。音楽。


明転。悪魔公が立っている。


悪魔「そして、魔王の加護から逃れた悪魔達は、主が大好きだった人間を、愛するようになりました。めでたしめでたし。……おや、どうなさったのです。……こんな話はめでたくないと?そう言われましても、彼女はハッピーエンドが好きだったんですよ。私はデーモンロード第一席、彼女の忠実なるしもべ。私の役目は、この物語を語り継ぐことです。さて、他にどなたか、ベストセラー『異世界ラブレター』をお買い求めの方は…?」


異世界ラブレター裏設定⓪

2018年X月、夜食のプリンを買いに、コンビニに出かけた冴えない大学生(男)はトラックにひかれ、異世界にそのままの姿形で転生しました。彼は第14代目の勇者になります。


異世界ラブレター裏設定①

魔王は女性です。彼女は西暦1945年の東京大空襲によって死亡、転生しています。時の流れはこちらの世界と同じであるため、物語開始時点で73歳です。

なお魔族の平均寿命は300歳ですので、魔王の見た目は人間換算で19歳です。


異世界ラブレター裏設定②

魔族は魔界歴を使用していて、歴史的出来事『首都攻防戦』は6993年です。人間も7000年に近い歴史を歩んできていますが、数百年に一度起こる魔族との大戦の際、文明が滅びかけるので、未だ産業革命は起きていません。


異世界ラブレター裏設定③

魔族は貴族社会です。魔王を頂点に、悪魔公爵(デーモンロード)が7柱存在し、その下にそれぞれの管理する軍隊が存在します。基本的に実力主義ですが、魔王の指名によって公爵席次が入れ替わることもあります。


異世界ラブレター裏設定④

歴代の魔王と勇者は全て転生者です。残念ながらそれをお互いが知ることはありませんでした。

適合者は何故か日本出身が多いですが、時折英語圏の場合もあります。そのため、国王は簡単な英語の発音をまとめた秘書を持っています。


異世界ラブレター裏設定⑤

魔族の女の子は基本的に美人で、それは魔力内包量に由来します。また、空気中の魔力を吸収するため、お肌がとぅるとぅるです。ただし魔族の男と同じく戦闘バカしかいないので、色仕掛けで攻めることを知りません。


異世界ラブレター裏設定⑦

魔法にはレベルがあります。下級魔術、中級魔術、上級魔術、最上級魔術、神話級魔術があります。実は勇者召喚は神話級魔術であり、準備には数十年の年月を要するのです。これを王宮魔導師団が、国王の命を受けて行います。


異世界ラブレター裏設定⑧

人間の国はいくつかありますが、魔族と戦う際には勇者召喚を行える大国の指導の元、人間軍を形成します。

対して魔族は国を持ちません。魔王が覚醒すると、自然と魔王の元に集い眷属となります。魔王の加護は不可避であり、効力は絶大です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ