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俺のLVは上がらないのに、  作者: 松戸真 寿司
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~謎の勢力~ -32. レパンドル王都にて






 、、、王都の、、、防衛体制☓☓、 防御魔法に関する調査報告☓ 調査に関する意見書☓


中間報告

-王都防衛体制 並びに防御魔法に関する問題について


1. 防衛機能に関する調査報告

 昨今におけるレパンドル王都の防衛体制と防御魔法に関して報告します。

尚、今回の件に関しては不明な点が多く、あくまでも中間報告と言う形を取る事をご容赦願いたい。


 まず、防衛体制についてですが、手順や規則において不備は見当たらない物の、シーゼスを退けたと言う誤解と、少なからず勇者と言う存在が緩みの原因となっている可能性が高く、一部の兵には緊張感が欠けつつある傾向が見られます。

この点に関しては報告者でもある当人にも覚えがあり、むしろ、今回の調査で改めて自覚した次第でもあります為、影響は全体に及んでいるとも考えられます。

よって、然るべき立場の方達には、今一度気を引き締める為の処置を施す事を提案致します。


 次に防御魔法についての調査報告を行います。

そもそも今回の問題は、勇者なる連中による王都への侵入に端を発しています。

関係者はご存知の通り、この時第一次の段階ではありますが、防御魔法が敷かれていたにも関わらず連中は容易に王都内に侵入してきました。

これにより防御魔法に何かしらの欠点、或いは抜け道が存在するのではないかと言う不安が持ち上がりましたが、調査した限りでは、その様な物は見つかっていません。

可能性として浮上していた勇者自身の能力、或いは引き連れている仲間による突破工作に関しても、関係者からもたらされた情報を信じるのであれば、そうした現象も見られなかったと言う事ですので、ここでは否定させて頂きますます。

だとしたら、当初の危惧通りに防御魔法に抜け道がある可能性も考えられるのですが、これも関係者によって否定されており、現状では "防御魔法に関しては万全である" と結論づけます。


2.結論

 ここからは、あくまでも私的な推測による結論としてまとめます。

勇者連中が幾ら高い能力を持っていたとしても、例え第一次防御のままであったとしても、何の前兆も痕跡もなく突破する事はありえない事だと考えられます。

勇者の能力による突破が可能だとすると、問題は別の意味でより一層深刻となりますが、初見で王都の防御魔法に対応できるとはやはり考えられません。

それをやる場合、かなり前から何かしらの研究をしていたと考えるのが普通であり、それを前提とすると彼の者の存在は今まで余りにも浮かび上がっておらず、やはり突破する力を持っているとは考え難いと言えます。


 勇者に関しての調査は本報告書を作成した当人も関わっており、その時の情報のみで語らせて頂きますと、勇者の背景には他勢力の存在は見受けられないともなっています。

それについては別紙 "勇者ハルタに関する報告書" にまとめてありますが、実際には他勢力との繋がりも考慮すべしともなっていますので、限りなく灰色ともお考え頂きたい。

つまり、実のところは謎のままというのが現状ではありますが、例え勇者が別の勢力の傀儡であり、その情報提供を受けたと言う可能性があったとしても、それこそ我々が警戒してきた事であり、何の脈絡も予兆も無く防御魔法を突破される可能性は低いと考えます。

よって導き出される結論は一つなのですが、その前に少しだけ前提となる話を整理させていただきます。


-防御魔法に関する発動要項について

 王都における防御魔法は過去に存在した大王国の遺産であり、これは公然の秘密ともなっています。

レパンドル国民、或いは他国の者でも噂くらいには知っている物と思われます。

ただし、その根幹部分に関しては一握りの者しか知らされておらず、特に制御や作動部分に関しては謎のままです。

そして、報告者も部外者の一人である事を明記しておきます。

それ故に、今回の報告においても詳細な調査が出来ているとは言えず、結果的に憶測や推測を挟んでの結論を述べるに留まる事もご理解下さい。


 王都の防御魔法は強力ではありますが、機能を完全に発揮するには幾つかの条件が必要とされており、また不明なまま使われている部分があって、必ずしも制御下に無いともされています。

特に、敵味方を見分けると言う部分では曖昧であり、それ故に、使用する段階において城壁付近に迂闊に人を配置すると、完全には機能しない可能性が以前から指摘されてはいました。

そうした理由から、有事においては必要最低限の人員以外はできるだけ遠ざける処置がとられてきました。

これは城壁付近に人が居ると、例えそれが敵であっても味方と誤認して限定的にしか能力を発揮しない事があったからともされており、逆に味方なのに全力で防御壁を展開して死に至らしめると言う事故があった過去の事例から取られてきた処置でもあります。

それらを踏まえて、王都内では状況に合わせて国民にも第一次から第三次と言う形で、防御態勢への備えをする規則があります。

第一次の時点で既に国民への通達と意識付けが行われ、城壁への人の接近はかなり限定的となり、宿屋を含めて人員の出入りに関しても制限がかけられる事で、人の流れが素早く把握できる様にされています。

これらによって、有事に際しては速やかに防御魔法を機能させる事ができる様にされてきました。

第二次以降は城への避難や保護区への退去が取られますが、これも第一次の準備があって可能な事でもあります。

第三次は臨戦態勢と言った形となりますが、これまで述べた通りに、それ以前の準備が重要であるのが分かると思います。

また、第一次から第三次に移行する事で防御魔法の強度も上げられる事が通常とされていますが、これらは人員への安全確保がなされる事が前提ともなっていいますので、少なくとも規則として我々は重要な事項として扱ってきたつもりです。

余談ではありますが、勇者連中の侵入後、国王からは全国民に対して密かに第一次防御態勢への備えが命じられている物の、雰囲気としては徹底されていないのが現状です。


 さて、勇者連中が侵入して来た当日ですが、敵対国を退けた事で多くの国民が勘違いしていた物の、実際には防御魔法が解かれずに展開されており、第一次防御態勢のままでありました。

その事実を知っている者からすれば、勇者連中の侵入は驚きであったはずです。

そして、一連の調査から考えられる事として、勇者連中は何者かの手引によって侵入した可能性が高いと結論付けずにはいられません。

実際、個々の反応と言った部分からも読み取れる物があり

当然、それらができる者は一部の関係者だけであり、防御魔法の突破は勇者連中と一部の者が最初から繋がっていた故に可能な☓☓☓




「はぁ・・・・」


ニオルトは何度目かになるか分からない溜め息を付くと、最後の部分をインクでグチャグチャにして、更に紙を丸めて放り捨てた。

恐らく何度も同じことをしてきたのだろう。彼の周りには似た様な物が幾つも転がっている。

ニオルトは名目としては結構高い位についている人物なのだが、こうした雑務が回ってくる事が多い。

シーゼスとの開戦間近の時などは、避難民の受け入れと王都内の人員整理と言う業務に勤しんでいた。

ようやくそれをやらなくて良いとホッとしていたら、今度は防御魔法の問題探しと言う仕事が回ってきたのだ。

別に彼は、それらの仕事を嫌だとは思っていない。

戦士としての素養が無い事を自分自身でも知っていたので、できる仕事をしようと言うのが彼の信念でもあったからだ。

何より、国の役に立てると言う事自体が嬉しかった。

本当であれば、彼はもっと下っ端で終わっていてもおかしくなかったのだが、前国王の死に伴って人員不足に陥った事で、必然的に繰り上がる形でニオルトは徴用された。

ただし、その後の頑張りが認められた上での話なので、彼にしてみれば実力もあっての事だと自負する部分もある。

特に、セイレアヌ姫や現国王陛下に重宝されると言うのは誇りでもあった。

むしろ、そうした事があったからこそ、彼は日々の雑務が実は重要であると見抜けた貴重な人物であったとも言えるだろう。

しかし、その彼にも今回の問題は厄介であったと言える。

防御魔法の問題点探しは容易ではなく、一応は王都中を巡っておかしな事が無いかを聞いて回って見たものの、結局は何も得るものは無かった。

頼みの綱である防御魔法の作動時に見られる現象に関しては、一部の者以外は知る事が出来ない為、結局は関係者からの一方的な話しか聞く事はできないと言う高いハードルもあって難航していた。

ただ、一方でセイレアヌ姫からは無理に報告は挙げなくて良いと言う指示も出ており、ニオルト自身は腑に落ちないと言うか、下手をしたら今回の調査自体が形だけの物では無いかと思える様になってもいたのだ。

そして恐らく、そこまで考える事ができるからこそ、自分にその仕事が回ってきたらしい事も薄々感じ始めていた。

そうした面もあってか、彼は調査報告を文章として形にするのに難儀していたのだ。


「む、うぅ・・・」


ずっと座りっぱなしだった彼は、凝り固まった体を解すようにして伸びをすると、久しぶりに外へ出てみようと立ち上がった。

窓から外は見えてはいたが、はめ込み式の気泡だらけのガラスからは、新鮮な物は何も感じられない。だからこそ、外に直接出て気分転換する必要があったのだ。

扉を開けて裸眼で感じられた陽の光によって、今が昼過ぎくらいである事を告げているのを感じる。

その割には腹が減っていなかったので相当に集中していたらしい。

入り口により掛かるようにしたニオルトは、そのまま入ってくる心地の良いそよ風を感じて目を閉じた。

そのそよ風にでも乗ってきたのか、騒々しく騒ぐ人の声が微かに聞こえて来たが、それすらも今のニオルトには心地良いと感じられるのだった。






 ユーカはレパンドル王都付近に潜むと、ある目的の為に準備を進めていた。

キッカケは、彼女が集めた情報に引っかかったレパンドル国王の計画にある。

それを後押しする為に、彼女は作業を急いでいたのだ。

ただ、それらはレパンドルの為とか、国王の計画に感銘を受けたからとか言う理由ではない。

全ては後々にハルタが有利になると踏んでの行動であったのだが、少し困った事が起きてもいた。

それは、最近になってやたらとローナがベッタリとユーカにくっつく様になった事にある。

今もユーカの腰に手を回し、更に片方に腕を絡め、更には頭を肩に乗せてくっつかれていた。

別に嫌ではなかったし悪い気もしてはいない。

また、作業自体もユーカが直接体を動かす分けではないので邪魔とかでは無いのだが、集中できないと言う意味では困っていた。

ローナ自身、特に何かを要求するとか意図があるとかでもない様なのだが、こうもくっつかれると流石に気になる。


「ローナ?」


堪らずユーカが名前を呼ぶと、ローナは今まで見たことが無い様な笑顔を返してきた。まるで幼子の様なそれに、ユーカも思わず微笑み返す。

それを見てローナは再び頭を肩に乗せて静かに目を閉じてしまった。

どうした物かと思ったが、よくよく考えて見れば、ローナはある意味で自分たちの中では年下と見ることもできる。

その得意な存在故に、主であるハルタともあまり触れ合っていなかった可能性もあった。

そう考えると、甘えたいのかも知れない。

そう思ってユーカは優しくローナの頭を撫でてやる。

何となくだが、ユーカは少し心が穏やかになる感じがした。

今までだと常にハルタの為に何かしようとばかり考えていたのだが、ローナにこんな風に甘えられると、ホッとした感じで気が抜ける様な感覚を覚える。

ふと見ると、アニーがコチラを不思議そうに見ていた。

やはり、変に見えるのだろうか。

それでも、ユーカはアニーに手招きをして呼び寄せると、同じ様にして抱き寄せて頭を撫でてやる。

周囲ではイーブル・ラーナンや、ユーカの根が変化した物体が忙しなく動いていたが、彼女たちの空間だけが、ゆっくりと時間が流れている様な妙な光景を生み出していた。

緩やかな時間。しかし、それは急に消えてしまった。

何故なら、ユーカが二人をバッと手で押し離したからだ。

突然の事にアニーは驚き、ローナは拒絶されたのか戸惑った顔をしていた。





「陛下、やはりお考え直し下さい」


片膝を付いて深く頭を垂れたアライアルが国王ラウナルに語りかける。


「・・・駄目だよ。 こればかりは私自身がやらないと意味がない。 既に状況は最悪な段階にあると見て良いんだ。 だから、好きにさせて欲しい」


「しかし!」


「アライアル。 これは贖罪でもあるんだ。 父上の・・・前国王が招いた災いは、その息子である私が精算しなければならない。 分かってくれ」


「・・・は」


最後の説得に失敗し、アライアルは更に深く頭を沈み込ませる様にする。

だが同時に彼は決心していた。

この方を失ってなるものかと。

国王であるラウナルが裏で進めている計画。最初はそれに驚いたアライアルだったのだが、不確定要素が次々と発生すると言う現状を見せられては、流石に協力せずにはいられなかった。

しかし、最悪な結果を自ら知ってしまい、それを報告した身としては、その後にラウナルが下す決断を予見してしかるべきであった為にも後悔していた。

故に、ここから先は独自の計画を、主君であるラウナルには黙って進める事を決める。


「アライアル」


突然名前を呼ばれた事でアライアルはビクッとする。

もしや考えを見抜かれたのかとも思ったが、ラウナルの口から出た言葉はより一層決心を固めた者のそれであった。


「姉さまと、この国を君に頼みたい」


「それは・・・私には荷が重すぎます」


「私も一緒さ。 でも、君は姉さまの事・・・・いや、だからこそ頼みたいんだ。 もっとも、過酷な道を君に行かせるかもしれないんだから、頼むってのも変だよね」


アライアルは、それには無言で頷くだけにした。

それらの言葉には色々と重い意味が含まれており軽々しく返事できなかったのと、やはり考えを見透かされたのではないかという思いがあったからだ。

もしかしたら、そうさせない意味も含めて投げかけた言葉だったのか。

そうだとしても、いやだからこそ、アライアルはラウナルの為なら死ねると誓うのだった。

そして、より一層拳を地面に押し付けたのだが、微かな振動を感じた気がして顔を上げた。

見ると、ラウナルが窓の方へと移動している。

恐らく、それが床を通して拳に伝わったのだろう。

何気なく視線を追うと、彼は窓の外を険しそうに見ている事に気が付くのだった。




 セッタス・マイヤールは城壁を軽く叩いてみた。

うむ、頑丈だ。

等と確認するまでもない石積みの手応えを感じる。

彼は今、国王ラウナルがかつて視察に来た時に、遠くを眺める様にしていた場所と同じ所に立ち、やはり同じ様にして外を眺めていた。


 あの時、国王は準備が無駄になるかも知れないと言っていたが、それはある意味で現実の物となったと言える。

勇者なる存在の登場により結局は籠城戦とはならなかったからだ。

それはそれで喜ぶべき事ではあるのだが、色々と複雑な思いがセッタスの胸の内に去来して、ついつい考え込んでしまうのだ。

この結果は果たして良かったのか、国王の指示を続けたままで良いのか、等である。

実はセッタスが行っていた準備と言うのは、彼自信は当初は緊急に用いる為の物だと考えており、本気で使われる物ではないとも考えていた。

いや、最初聞いた時は何かの冗談かとすら思っていた程である。

それは下手をしたら国を捨てるに等しい行為であり、本来であれば最終手段としての決断すべき物でもあったはずなのだ。

しかし、国王は最初から切り札・・・と言うか、それを作戦の根幹として対シーゼス戦では用いようとしていたらしく、今考えても本当に実現が可能だったのかは疑わしく思う様にもなっていた。

当時は切羽詰まっていた上に他に取れる手段も確かになかった為、備えとしては確かにしておいて悪くはないとは思ったが、今になって冷静に考えると相当に無謀な準備を任された物だと考える様になる。

そして、その準備は継続して行うように指示は出たままとなっていた。

しかも、今まで以上に内密に進める様にとも付け加えられていた為、セッタスはどうしても不安な気持ちを抱えずにはいられない。

もしかしたら勇者と言う存在が、何かしら自分が知らない形で悪影響をこの国に与えているのではないか?

対シーゼス戦で用いようとしていた準備を継続したまま、更に秘密裏に推し進め様としているのは、何かしらの不味い事態が進行していると見ても良いのかもしれない。

防衛に関して一端を担うセッタスではあったが、ある意味で一兵士の立場に過ぎない彼にはそれ以上は知りようが無く、それ故にモヤモヤとした物をずっと抱え込んでいたのだ。

ただ、彼のそうした考えとは裏腹に、だからこそラウナルは頼ったと言う事情もあったのだが、今の彼は知る由もない。

溜め息を一つついたセッタスは、考えても仕方ないと頭を振って自分で切り替えると、ただ只管に国王と国の為にやるだけだと決心を新たにする。

もっとも、準備の方は既に終了していた為、彼のやる事はもっぱら確認して回る事くらいだ。

本音で言えば、この準備は使わないだろうと言うのが彼の持つ本当のところだが、同時に国王ラウナルの鋭さが心には常にあった為、やはりバランスを保つのが難しい。

その危うさが体にも影響を及ぼしたのか、彼は自分でも体がフラフラする感じを受けた。

しかし、それが物理的な作用を伴っていると気が付くのに、彼の今の精神状態がそうさせたのか、少し立ってから気が付く事になる。





 書類関係に目を通していたセイレアヌは、何だか辺りが静かになった様に感じて、ふと顔を上げてみた。

しかし、御目付役の連中が私語をボソボソとやりあっている程度であり、特に変わった様子は見受けられない。


(何だったのかしら?)


首を傾げながら再び書類に目を通したが、ある事に気が付いてハッと顔を上げると、それに今度は御目付役連中が反応してコチラを注視する。

良く見ると、何時の間にかユーカレブトが居なくなっていたのだ。

いや、ユーカレブトだけではない。

イーブル・ラーナンとか言う緑色の方も居なくなっている。

気配でそうだと感じていた物をよく見てみれば、それは普段から部屋に置かれていた植物だった。

相手が意図的にそうしたのか、それとも自分の勝手な勘違いかは分からなかったが、ともかく何も言わずに居なくなるのは流石に不味い。

不思議そうに御目付役連中がこっちを見ているが、どうやら連中もユーカレブトが居なくなっているのに気が付いていないらしい。

これなら、そのまま知らない振りをしていたらバレないかもと思った矢先、御目付役の一人が気が付いて騒ぎ出してしまう。


「あ、あいつらが居ない」


それを見てセイレアヌは頭を抱える様にしたが、放っておく分けにも行かないので仕方なく対応する。


「静かに。 その内に戻ってくるでしょう。 騒ぎを大きくしないで」


「し、しかし・・・」


「例え連中を見つけたとして、それでどうするつもり? 力づくで言う事を聞かせられる様な相手じゃないでしょう」


それを聞いて、御目付け役連中は顔を見合わせて黙ってしまう。

単純な戦闘力で言えば、あのユーカレブトは下手をすると魔装騎士に匹敵する。

ただの一般兵である彼らにはどうしようもない。


「ふぅ」


大人しくなった連中を見て、セイレアヌは溜め息を付きながら窓に目をやる。

気泡と不純物が多少混じった窓ガラスから見る外の風景は、フィルターが入っている感じで、まるで御伽話の風景を見ている気がしてセイレアヌは好きだった。

ロウバル連合と関係が良好だった頃はもっと質の高いガラスが使われていたのだが、現在ではレパンドル製の物を使わざる得ない状況になっており、ある意味で技術的に不足している事を突き付けられる部分でもある。

しかし、今のセイレアヌは別の事を窓の外を見ながら考えていた。

砦の様子を見に行ったハルタ達の事である。

全員無事であろうか。何事もなければ良いのだが。

等と暫しボーッと眺めていたら、強い風でも吹いたのだろうか。窓が少しビリビリと震えた。

残念な事に、ガラスの質だけではなく立て付けも悪いらしい。

更に強い風が吹いたのか、更に窓ガラスはビリビリと音を立てて震えるのだった。

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