表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のLVは上がらないのに、  作者: 松戸真 寿司
32/81

~辺境の王者~ -32. ボス討伐






 アニーズで調べてみるとダナウン・ダナンザ周辺のモンスターの勢力は、意外な連中によって占められていた。


それも二種類の種族が拮抗状態にある様だ。


一つはイフィール達の拠点を制圧していたパジャーブで、後の一つは俺が槍の材料に使ったモンスター、カナブンの被り物感が強いフォッドだ。


両者とも防御とパワーに優れるが動きが鈍い連中だ。だが、それがかえって互角の勢力を生む結果となったのだろう。


両者ともに相当な数が確認できるのだが、明確な形で活動範囲が別れており、特に池の周辺は避けている。

これなら心配はいらないだろう。もし動き出したとしても、連中の速度なら簡単に囲まれる事も無い。


念の為にバンドラナの反応も確認してはみたのだが、数匹がまばらに存在するだけで、大規模な群れは存在しなかった。

遠すぎて情報としては不明確だが、かなり距離が空いた所には居るらしく、俺達に負けたせいで生存圏その物を移動させたのかも知れない。


とは言え、これで背後は気にしなくて良いだろう。

後はダナウン・ダナンザを全力で狩るだけだ。



「だから、私一人で良いと言っているだろう」


いよいよダナウン・ダナンザ戦と言う時になって、再びマツリカが我儘な事を言い出す。


「駄目だ。 万が一の事を考えれば、これらの布陣や準備は必要なんだ。 大体、出発前には説明しておいただろう」


「私は一度も了承していない。 そんなに私の事が信用できないのか」


「・・・・お前の事が心配なだけだ。 本当の事を言えば、全員を含めて危険な事はさせたくない。 この中で一番情けないのは、何の力にもなれない俺自身なんだ。その辺り、分かってくれないか」


「き・・・貴様が情けない事などない。 情けないのは・・・私だ・・・すまん」


そう言って後ろを振り向くマツリカ。分かってくれたのだろうか。


「あっと、もう一つだけ注意しておく。俺が退けと言ったら絶対に言う事を聞けよ」


「な、それは」


「お前のミスを帳消しにする為に、誰かが犠牲になる可能性を考えてくれ。 この中で一番お前を助けに行ける者としたら、それはターナだ。彼女を失っていも良いのか」


「・・・・・」


マツリカは、それ以上は言い返してはこなかった。聞き分けてくれると良いのだが・・・。


ともかく、俺達は準備を進めた。

作戦その物としては前回と変わりがない。

攻撃準備をしたリディとヴィーダル二世を隠し、ターナとアニーを使っておびき出す。

前回と違うのは、隠し柵と投石機が無いくらいだ。

これらは準備が間に合わないのと、マツリカが戦闘を一手に引き受ける前提では役に立たないと踏んだからだ。


因みにだが、ヴィーダル二世の操作に専念させる為、ユーカとローナには結構な距離を取らせた上に、即席とは言え十分な安全地帯を確保させて待機を命じた。

それに関しては二人と少し揉めたのだが、体を捻っているので短くは見えるが、今や三十メートル近くにもなっているこの怪物を十分に扱うには相当な集中力が必要ともなっている様なので、防御まで気を回すとしくじる可能性があると判断しての事だ。


ただ、そこには俺と彼女達では不安部分に違いがあった。


てっきり俺は視覚的な面で不具合が出るから文句を言っているのかとも思ったのだが、彼女達は単に俺と離れすぎるとイザという時に助けられない事を危惧していたのだ。

逆に視覚的な面はローナが完全にカバーできるらしく、遠距離でもある程度なら問題ないとのこと。ユーカは視覚面では不完全となるのだが、それでもローナの方で補えるらしい。


ともあれ、こっちにもリディやターナ、アニーと言ったメンバーが居るのだ。

最終的には彼女達を信用しろと説得し、二人には渋々了承させた。

まだ戦闘は始まっていないのだが、俺だけ何だか疲れてしまう。




 全員が所定の位置に付いた所で、アニーとターナがそろそろと池に近付いて行く。


二人揃って行かせたのは、どっちかが逃げ遅れると言う事態に陥った場合、どっちかが囮、もしくは担ぎ上げて逃げる為だ。

もっとも、この二人の速度で考えれば、そんな事は起こりえないだろうと言う自信もあった。


池を二人して覗き込む様にし、アニーが水面をかき混ぜた直後、ターナがアニーを僅かに引っ張り離れる様に促す。

すると、池の色が遠目からでも変化するのが見え、水飛沫を辺りに散らして池の主、ダナウン・ダナンザが現れた。



「待っていたぞダナダナ池のヌシよ。お前にどれだけ会いたかった事か」


逃げる二人と入れ替わりに、横からマツリカがダナウン・ダナンザの前に現れる。

複数の目を点滅させて敵を確認したダナウン・ダナンザは、ハサミを振り上げると突進しながらマツリカ目掛けて振り下ろした。


だが、振り下ろされたはずのハサミは真中付近から切断され、地面に届く前に宙を舞う。

それが落ちるのを確認する事も無くマツリカは走り出し、相手の身体を踏み台にして甲羅に飛び移ると、刀を片手で大きく振りかぶる。


「全防御喰い破り、破槌の兜割り!」


掛け声と共に刀が光を反射した様に見えた瞬間、ダナウン・ダナンザの甲羅に衝撃と共に何かしらの破片が飛び散った。

しかし、一撃では致命傷を与えられなかったと見て、マツリカが更に身体を翻して二撃目を繰り出す。

それによって、ダナウン・ダナンザの殻が真ん中から大きく一直線に割れた。


殻のみとは言え、見た目には真っ二つになった。


構造的な結合をなくした為か、ダナウン・ダナンザの身体が前後に沈み込み始め、更には各手足が藻掻くようにして、てんでバラバラに動く。

確実に大ダメージを負った状態だったが、マツリカは更に追撃を加える。


大きく飛んで空中で身体を捻ると、斬撃をその割れ目に向かって飛ばす。

それが柔らかい肉を喰い破り、更には甲羅下までも到達して中身をぶちまける。


普通ならこれで動けなくなっても良いはずなのだが、それでもなおダナウン・ダナンザは反撃を試みようと残ったハサミや足を振るい、前後に割れていても僅かに繋がる身体の部分を総動員でもしているかの様に、各部が動き回って抵抗してみせた。


すると、複数の足に何かが収束されて行く。

危険を察知したのか、マツリカが距離を取った直後、無数の何かの粒を全方位にバラ撒かれる。


それらは地面に当たればそこを抉り、木に当たれば穴を開けた。


アニーズで確認すると、テッパーとか言う魔法らしい。

そう言えばこいつ、後二つ『デビス』と『ミュール』と言う魔法を持っているが、それぞれの情報は射撃と拿捕と簡潔に説明されているだけなので、どんな物かは実際に見ないと分からない。


「マツリカ、気をつけろ。あと二つ、そいつは攻撃用と何らかの捕縛用の魔法を持っているぞ」


「分かった」


テッパーの攻撃を刀ではたき落としながら、マツリカは狙いを定められない様に小まめに動く。

元から狙いはデタラメなので、全く当たる気配がしない。

どうやら、ダナウン・ダナンザは相当なダメージを負ったらしい。

ドノロファル戦で分かってはいた事だが、圧倒的な戦闘力をマツリカは見せつけてくれた。

後は、止めを刺すだけだ。


だが、その状態でもダナウン・ダナンザは最後の力を振り絞るかの様に、その場で土園を巻き上げながらターンをし、移動を開始し始めた。


タフさで言えば、こいつはドノロファル以上かも知れない。


オマケに、デタラメに撃ちまくる魔法が牽制となり、マツリカも攻撃に入る事ができない。魔力量も相当あるだろう。

マツリカも合間に遠距離攻撃でもある『必殺の斬撃』を繰り出すが、その程度だと多少の傷をつける程度で動きを止めるには至らない。


既に千切れ始めた後部を引きずりながら、前部にあるハサミで地面を掴み、動く足で懸命に池に戻ろうとする。


何となく可愛そうにも思えたが、回復でもされたら後々厄介だ。


「マツリカ、もう十分だ。 後は、全員の力を持って当たるぞ」


俺の合図により、隠れていたヴィーダル二世が姿を表す。


「何故止める!? まだやれた。 あれを見ても、私の力に信用がおけないのか」


文句を垂れながらも、素直に俺の所に戻ってきたので、ちょっと安心する俺。

何だかんだで言う事は聞いてくれる様だ。

力云々に関して不満を漏らしているが、レベル差を考えればこの結果は十分以上だ。


それに、俺はマツリカの手足が微妙に震えているのを見逃さなかった。

やはり、身体の方が力に対してまだ追いついていないのだろう。

これ以上の無理はさせない方が良いと考えての決断だ。



魔法をバラ撒きながら移動を開始するダナウン・ダナンザを横目に、低い姿勢で池に突っ込んだヴィーダル二世はそのまま水の中を泳いで魔法への防御とし、前方から進路を塞ぐ様にして浮上すると、奴の身体に巻き付いた。

そのままゴロゴロと転がり動きを封じる。

パワー差が懸念されてはいたが、マツリカに喰らったダメージが大きかったらしく、意外と簡単に捕縛できた。

多少は被弾もしたが、身体に密着されては流石に奴の魔法もあまり効果を発揮できない。


更には何かしようとする度にヴィーダル二世を捻らせ、体制を整えさせる暇を与えない。

その度にメリメリと音がなり血肉が飛び散る。


巨体同士のぶつかり合いは、端から見ると怪獣の決闘だ。


しかし、これだけのダメージを負ってなお、ダナウン・ダナンザは活動を止めようとはしなかった。

防御魔法のフラドを展開してみたり、広範囲攻撃魔法のウオントを撃ってみたりと、可能な限りの抵抗をしてみせる。

攻撃力その物は今も衰えないので、やはりこいつはボスに相応しい力を持っていると言えるだろう。


だが、それもこれまでだ。


ヴィーダル二世はある意味、このダナウン・ダナンザの天敵として生み出された即席ゴーレムである。ただ巻き付いている分けではなく、奴の手足さえも折りたたむ様にそのまま絡めとり、力を発揮する為のキッカケすら奪っていく。

加えてマツリカが与えたダメージにより、本来の力さえ失っていた。

もはや、俺達の勝ちは絶対的に揺るがない。

たまに、ハサミ部分から太い水流の様な物を照射したが、そもそも根本から完全にヴィーダル二世に押さえこまれているので、それも空を切るだけだった。

恐らく、これがデビスとか言う射撃の魔法なのだろう。

まともに喰らえばリディのブレンダン・バーズにも匹敵しただろうが、明後日の方向に向いていては全く脅威ではない。

もっとも、外れたその攻撃は木々を根こそぎ吹き飛ばし地面を抉るので、まぐれ当たりでもすればただでは済まないだろう。

拿捕魔法を残しているのが気にはなるが、切り札はコッチにだってある。


しかし、切り札云々の前に勝負は急ぐに越したことは無い。



「・・・マツリカ、止めを刺せ」


「え?」


「ただし、接近しないで済む技で頼む」


一瞬、困惑した顔を向けたマツリカだったが、直ぐさま意を決した表情に戻り、その場で構える。

恐らく、戦いには彼女なりの矜持みたいな物があったのだろう。

俺はこの瞬間に初めて気が付いたので不味いかとも思ったが、最終的には従ってくれた。


リディを使うと言う選択肢もあったが、彼女の持つ技は広範囲に被害を及ぼすので、できれば使いたくない。

それに、ダナウン・ダナンザを調べたいと言う気持ちもあったし、万が一の切り札として備えておきたい気持ちもあった。



「必中の一閃、必殺の斬撃、全防御喰い破り」


そう言って僅かに目を瞑ってから見開いた瞬間、振られた刀から斬撃が走り、ダナウン・ダナンザがヴィーダル二世もろとも斬り伏せられた。


一瞬だけ金属をこする様な音が聞こえたのだが、それが奴が最後に上げた断末魔の叫びだったのか、単に甲羅を斬撃が断ち割る音だったのかは分からなかった。





 ヴィーダル二世に拘束を解かれたダナウン・ダナンザは、グッタリとその骸を晒した。


マツリカの一撃は奴の主要部分を両断してはいたが、地面の底に着いた部分だけが辛うじて繋がっているらしく、それが何かしらの作用を及ぼしているのか、甲羅は不自然な形で反り立っていた。

だが、止めとしては申し分の無いダメージを与えた様で、アニーズで確認すると『死状態』と出ている。


止めを刺したマツリカは行儀良くするのも嫌な程に疲れたらしく、その場で手足を放り出して休んでいる。

アニーズで様子を見てみると『疲労・大』と出てはいるが、同時に『回復』の情報も出ているので深刻な状態では無いらしい。少し休めば動ける様になるのだろう。


俺は用心しながらもダナウン・ダナンザの死体に近付いてみた。

一応、何かあった時の為にヴィーダル二世も直ぐ側で待機させてはある。

マツリカによってコイツも切断されたのだが、強欲の根も再生能力と言うか、切断面から直ぐに根を伸ばしてくっつくのと、変化したイーブル・ラーナンも補充したのであっと言う間に元に戻っていた。

と言っても、この芸当は動き回っている間はできないので、ヴィーダル二世の回復能力は限定的だと言える。



 ダナウン・ダナンザは硬い甲羅が見る影も無く割かれた状態になっており、中の血肉が今も滴り落ちている。

匂いは特に気にならないのだが、大量の血液が流れ出ていて直ぐ側までは寄れなかった。


もっとも、ターナとリディに阻まれて、一定の距離からは近付くのを阻止されてもいる。


特にリディは前面に出ている上に、その巨体の掌で俺を遮る真似をしてくるので良く見えない。

一応、その手をどけようと努力もしたのだがビクともしない。

回り込もうにも、背後からはターナが両腕を俺に回してガッチリ固定しているので、実質的にその場からは動けなかった。


チラッと抗議の目を向ければ、逆にターナからは「めっ」みたいな視線を向けられる。

子供か俺は。


仕方なしにその場での確認を余儀なくされるのだが、必死に見ようとしたのには俺なりに理由がある。


ヴィーダル二世にコイツが巻き付かれた時、一瞬だが、何かを思い出しそうになったのだ。

それが何かは分からないのだが、丸められたダナウン・ダナンザの形状に見覚えがあった様な気がした。


動かなくなった骸を見ながら、俺は暫しそれに付いて考える。



 と、何かが動いた様な気がした。いや、実際に動いている。

奴の足の幾つかが、ピクピクと痙攣を起こすかの様に動く。

慌ててアニーズで確認すると、『死状態』の表記が点滅しており、『大怪我』の表示と不規則に入れ替わる。

どうやら、まだ完全にはくたばっていないらしい。呆れるほどのタフさだ。


俺は遠くで待機させてあるユーカとローナに、イーブル・ラーナンを通じてヴィーダル二世を使ってコイツの身体を切断箇所から引き千切る様に命じた。


用心の為と言う事もあったが、楽にしてやろうと言う気持ちもあっての事だ。


どれ位生きていたのかは分からないが、この一帯のボスとして君臨し続け、辺境の王者であった事は間違いがない。

そこまで辿り着く間に、このダナウン・ダナンザにも苦労があったはずだ。

殺しておいて手前勝手ではあるが、そんな相手に僅かばかりでも敬意を表したいと考えたのだ。


ヴィーダル二世がその長い胴体でダナウン・ダナンザの後部に巻き付き、頭部に当たる大アゴで残りの前部分を挟むと、強引に引き千切った。

更に大量の血肉がバラ撒かれ、筋肉が収縮を始めたのか、全ての足が折り曲がって動かなくなる。


アニーズで確認すると『死亡』と言う表記に変わり、完全に止めを刺した事が確認できた。


池のボス、ダナウン・ダナンザは、こうして討ち取られたのだ。




 

 どうやら、騒動は終わったようだ。


"あ"の目論見通り、愚か者はこちらの思わせぶりな動きに釣られ、わざわざガーディアンを倒してくれた。

こうも上手く行くとは、正に笑いが止まらぬとはこの事を言うのだろうな。


キッカケは、小さな魔力を感じた事だった。

それが最初は何かは分からなかったが、何度も"あ"にその魔力を向けられるのを感じて、"あ"はそれが何かしらの探知魔法だと考える様になった。


最初は脆弱な物だと思っていたのだが、近付いてくるに連れ、実際には強大な魔力を持って遠くからでも多数の情報を拾っているらしい事を知り、"あ"も驚愕を覚えたものだ。


別に魔力に驚いた訳ではない。


直接戦えば負ける気はしなかったのだが、問題は、"あ"を縛り付ける事に特化したガーディアンの存在だった。

もし、"あ"の討伐を目的にしている上に、ガーディアンの役割まで知っている者であれば、"あ"は戦うこと無く葬られてしまう。


それが一番恐ろしかった。


魔力が高い者であればガーディアンを操る事も容易く、"あ"よりも劣っている者でも止めを刺すのは容易い。


ところが、その者はガーディアンと直接やり合おうとしていた。

"あ"は探知から逃れる為に欺瞞行為を敷いていたのだが、それにはあまり興味を持たず、どちらかと言うとガーディアンの方に興味を持っていた。


それで確信した。


何者かは知らぬが、コヤツは唯の愚か者であると。

しかし、それ故に随分とヤキモキさせられた物だ。


最初のガーディアン戦ではアッサリと敗れてしまい、てっきり諦める物だと思っていた。

ところが、再戦を挑んで来て、今度は今一歩の所までガーディアンを追い詰めた。


その後、再びその者は去って行ったのだが、コチラに興味を失わぬよう、出来る範囲で奴の探知に無理やり拾われる様に仕組んでやった。

それで来るとは確信は無かったのだが、"あ"には何となく予感はあった。

そ奴は、反応がある度にこちらへ魔力を向けていた。

それはつまり、"あ"にまだ興味を持っている証拠だった。


そして案の定、その者は三度この地を訪れ、三度目の正直とでも言うべき形でガーディアンを葬ってくれた。

僅かに残っていた魔法の軛さえ、わざわざ取り払ってくれた為、"あ"はこの忌々しい拘束から簡単に抜け出す事ができる。


その礼として、まずは"あ"の復活祝いに最初の生贄として選んでやるとしよう。

どの道、魔力が高い相手は放ってはおけぬ。


両手足を拘束していた軛を強引に千切り、"あ"は歓喜した。






 ダナウン・ダナンザの息の根を完全に止めたその直後、池から何か光の様な物が引いて、奴の死体に戻って行く感じの光景が見られた。

アニーズで確認すると、『ミュール』と言う拿捕の魔法だった。

既に発動されていたとは驚きだが、池全体にそれが張り巡らされていた感じがして、その意味に悩む。


何かしらの策を取ろうとでもしていたのだろうか。

ともあれ、これで完全に終わったのだ。


そう思って安心した矢先、池の表面がゴボゴボと泡が吹き出し始め、表層は澄んだ色をしていたのが、底から着色料でも流し込まれたかの様にどんどんと青く変色していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ