~辺境の王者~ -22. ボスモンスターの池 その8
四つの粗末な足しか無い不格好な木偶人形が、ぎこちない動きをしながらも周辺を歩き回る。
「よし、今度は走らせてみてくれ」
「分かったぜ族長。行け」
ローナの命令で木偶人形が走り出す。
その速度は大きさにしては意外と速い。
これなら行けるか?
俺は今、ローナの分体イーブル・ラーナンを使い、ある実験をしていた。
それは木とイーブル・ラーナンを組み合わせて、即席の巨大ゴーレムの様な物を作ると言う物だった。
柔軟性と硬質化を持ち合わせるイーブル・ラーナンならば、構造物同士の接続と同時に、関節的な役割も果たすのではないかと考えたからだ。
その実証実験を今行っている最中なのだが、予想以上に良い手応えを感じている。
これならば対ダナウン・ダナンザの為に、作戦が立てられるかも知れない。
俺は、それを軸にしてある計画を立て始めていた。
「・・・こんな感じなんだが、どうだろう」
数日後、俺は自分の考えをまとめ、その計画をみんなに話していた。
ただ、ターナやユーカと言った主要メンバーが聞くのは良いのだが、イーブル・ラーナン全員も囲んで話を聞いているので何とも落ち着かない。
ローナ一人が聞けば良いんじゃないのか?
「おい・・・ローナ、これ、意味あんのか」
「ん?族長、何だ」
「いや、お前の分体達まで、話を聞く必要はないだろ」
「んー・・・・出陣準備って感じで盛り上がって良いかと思って」
「いらん」
作戦の概要としてはこうだ。
リディがブレンダン・バーズを発動したまま隠れて待機する。
そこへ、ターナとユーカが囮になってダナウン・ダナンザをおびき出す。
そして、イーブル・ラーナンで作ったゴーレムが足止めをし、リディが止めを刺す。
ダナウン・ダナンザの力がどれ程かは分からないが、ブレンダン・バーズの直撃を喰らえば唯では済まないはずだ。
例えブレンダン・バーズで止めを刺す事ができなかったとしても、何らかの被害は与える事ができるはず。
そこを、イユキを始めとしたメンバーが追撃する。
何時もながら作戦と言うには行き当たりばったり感があるが、俺には他に良い案は思いつかない。
いや、何かを犠牲にしても良いのなら、もっとやりようがあるのかも知れないが、俺にそれは無理だ。
もっとも、その犠牲は少なからず払う上で今回の作戦も成り立っている。
基本的にローナが居れば幾らでも生み出せるイーブル・ラーナンは、その最たる物であり、彼らもろとも屠るのが成功への最低ラインとなっている。
また、ユーカとターナに囮をさせるのも、俺的には葛藤を少なからず抱える理由の一つだ。
彼女達なら大丈夫だとは思うのだが、絶対と言う事はない。
万が一を考えればできればやらせたくない。
しかし、他にできる者が居ない以上、やってもらうしかないのだ。
改めて自分の情けなさを思い知る。
ともかく、そのプランを元にして俺達は再び準備に入った。
全ての準備が完了したのは、バンドラナ攻略時よりも更に時間がかかり、二ヶ月以上も後の事だった。
一番の問題であったのがやはり即席ゴーレム作りであり、構造設計とかの知識が無い俺では、最初から計算して作る何て事ができない。
この為、昼夜を問わずトライアンドエラーを繰り返して、どうにか使える物を用意するしかなかった。
また厄介であったのが、ダナウン・ダナンザの情報収集である。
一応、ターナとユーカを囮にして何度か戦闘データの取得を試みようとしたのだが、それだけで暴風の様に暴れるので戦闘予定地が荒れてしまい、作戦その物に支障が出かねない事態となったので、結局は思った様に調べる事はできなかった。
それ故に、今回もぶっつけ本番となるのは避けられない。
しかし、そうした不安要素があっても時間をかけて準備したので、ある程度はカバーできると自負している。
何より、柔軟に運用できる兵数の数が多いと言うのは心強い。
即席ゴーレム作りの為にあれからイーブル・ラーナンは、更に数が増えており、大凡二千体がこの作戦の為に生み出されていた。
もっとも、その内の千体以上はゴーレムを構成する為に使われているので、自由に動かせるイーブル・ラーナンは実質的に五十体くらいだ。
ただし、即席ゴーレムを構成するイーブル・ラーナン達も、イザとなれば人型に戻る事ができるので、多少の予想外に対しても対応はできるだろう。
この作業に専念しすぎた為に、ローナもあれからレベルは上がっていない。
よって、基本的な能力はイーブル・ラーナンも含めてそのままだ。
そこがまた、不安材料の一つともなっている。
だが、あまり悠長にしてもいられない。
バンドラナの勢力が居なくなった事で、今度は別のモンスター達が流入してくる様になり、その数が増えつつあるのだ。
このままでは、再び背後を突かれかねない。
その為、一応の準備が整った時点で作戦を決行する事にした。
どの道これ以上の作戦も思いつかないし、兵力の調達もできない。今ある手持ちの物で遣り繰りできる最善の方法がこれだろう。
そう信じるしか無い。
「リディ、良いぞ」
俺の合図でリディが一瞬だけ身を屈める様にし、次の瞬間に体を開くと、装甲の幾つかが展開して砲口の様な物が迫り出してくる。
そして、その砲口から赤い光が漏れ出し、同じく赤い光球を形成し始めた。
これがブレンダン・バーズか。
俺は初めて見るが、何となく禍々しく見える。
だが、威力は十分そうだ。
「ローナ、準備良いな?」
「大丈夫だ族長。ヴィーダル及び合図、警戒、支援部隊、共に位置に付いた」
「ユーカ?」
「こちらも何時でも行けます。主様」
「主君よ、ブレンダン・バーズ、最大パワーに到達した。行けるぞ」
「よし、作戦開始!」
俺の合図によって、ターナとユーカが池の直ぐ側まで近づく。
そして、ソロリソロリと距離を縮めていった。
と、ある程度まで近付いた所で、池の水に変化が起きる。
一瞬だけ色が変わったと思ったら、次には盛り上がり、恐ろしいスピードでダナウン・ダナンザが浮上してきた。
それを確認すると、ユーカとターナが退却を始める。
数回しか試していないはずだが、彼女達はタイミングを見極めていた様だ。
派手に水を纏い滴らせながら岸辺で一瞬だけ停止したダナウン・ダナンザは、その幾つもある複眼を点滅させ、敵の位置を確認する。
ターナとユーカを確認すると、再び無数の足を使って移動を開始してきた。
だが、加速に入る前のタイミングを狙って、アニーとイユキが思いっきりロープを持って走る。
すると、地面に伏せられていた木で作った柵状の杭が起き上がり、ダナウン・ダナンザを下から突き上げ、その動きを止めてみせる。
しかし、奴は強引にその力を使って簡単に柵を破壊してみせた。
破壊された木の柵は、その力の前に為す術無く弾き飛んで行く。
様に見えたのは一瞬だった。
直ぐ様、振り子の様に戻ってくると、奴の体に纏わり付き、あるいは絡まる。
柵には、ダファンドの糸をタップリと巻いておいてやった。
糸その物には流石にダナウン・ダナンザを拘束する力は無かったが、その粘着力を持って柵を奴の体に張り付かせる事に成功する。
今までこんな攻撃を受けた事がないらしい奴は、明らかに嫌がる仕草をして、その場で動きを止めた。
チャンスだ。
「ローナ、今だ!」
「了解、族長」
その号令によって、一見すると木々が折り重なっているだけに見えた場所が盛り上がり、次の瞬間、それらを跳ね飛ばして巨大な何かが猛然と走り出した。
その姿は、木でできた十本足の巨大ヘラクレスカブトムシと言った姿をしており、かなりの箇所に緑色の斑模様が見える。
もちろん、斑模様に見えるのは全部イーブル・ラーナンだ。
このカブトムシもどきは、イーブル・ラーナンが関節となり、動力源となって動いていた。
ローナ命名により、このカブトムシもどきはヴィーダルと呼ばれていた。
更にカブトムシと異なるのは、尻の部分からも角に当たる様な物が突き出ている事だ。
スパイク状の十本の足を交互に動かし、かなりの速度でダナウン・ダナンザに突進する。
自重を支えるのは流石にそれだけでは無理なので、下腹部には車輪の様な物が付いていた。
しかし、そのお陰で高さの調節を一定に保ちながら、ダナウン・ダナンザの下に角・・・と言うか、ヘラに近い物を差し込む事に成功する。
そのまま上の角で挟み込むと、先端部分に仕掛けられたロック装置をイーブル・ラーナン達が操作して、ガッチリと固定した。
その固定装置も太めの木でできてはいたが、更に力がかかる部分はバンドラナを倒した時に頂いた戦利品、即ち、武器などで補強してある。
同時に十本の脚部が一本ずつ順に高々と上がってから180度回展し、鋭い部分を地面に打ち付けて本体を固定する。
更に、この為に用意したニ千体近いイーブル・ラーナン達が内部に仕掛けたテコの原理を応用して、ダナウン・ダナンザを持ち上げ始めた。
イユキやターナ、アニーも加勢する。
地面に足を食い込ませ、それに抵抗して見せようとしたダナウン・ダナンザであったが、ヴィーダルのテコにより遂に持ち上げられ、空中で為す術無く藻掻く。
巨大なハサミで抵抗を試みようとするも、地面から剥がされて踏ん張る場所が無いのと、挟んだヴィーダルの角もある程度の隙間がある為、打撃で破壊しようとしても単に自分の体を左右に揺らすだけに終わる。
また挟んで壊そうとしても、角の外側にはダファンドの油がタップリと塗られているので、強くはさもうとしても滑って上手く行かない。
「リディ、止めだ!」
「まかせろ主君よ。ブレンダン・バーズ!」
既に発射体制を整えていたリディが、その体を更に開く。
だが、この時、同時にダナウン・ダナンザの周囲に、青い何かのライン状の物が横に回る様に走り、やがてそれが高速で回転するのが見えた。
直後、リディからは赤い光の帯が放たれる。
当たる。
誰もがそう思ったその時、最高速に達した青色のラインが、ドーム上にダナウン・ダナンザを覆い、ブレンダン・バーズはそれに遮られその手前で威力を散らされた。
「何だ?」
慌ててアニーズで調べると、フラドと言う防御魔法を発動させているのが分かる。しかし、これは想定の範囲内だ。
「ローナ、投石隊を」
「了解、族長」
俺の合図で、ローナの持つロングソードが薄っすらと光る。他のイーブル・ラーナンに命令を出しているのだ。
すると、遠方から巨大な石が次々と打ち込まれてくる。ただし、それぞれにタイミングがずれて到達した。
即席ゴーレムと同様、イーブル・ラーナン達で構成された投石機が、攻撃を始めたのだ。
その数は全部で五台。
二発が奴に直撃し、後は外れる。更に、一発がヴィーダルに命中した。
「誤差修正。1、2番は左に一体分、5番は右にニ体分、後部を軸に回転」
「おうよ、ユーカ。分体共、動け」
投石機の攻撃結果を分析し、その修正をするのはユーカの役目だ。
この為に、色々と試行錯誤も重ねてもらった。
一体と言うのは、彼女なりに出したイーブル・ラーナンを使った単位だ。
基本的にイーブル・ラーナンの人型形状は全部同じなので、良い着眼点だと言える。
更に投石部隊の発射タイミングをズラして打ち出させる事で、どの投石機の石が命中し、外れたのかが簡単に分かる様にもなっていた。
もっとも、投石機の正確さには更に別の要素が加わる事で成り立っており、それもやはりイーブル・ラーナンとローナが関係している。
ヴィーダルを構成するイーブル・ラーナンの情報を元に、ローナを通じて投石機部隊にそれを伝え、それによって目標の大体の位置を把握しているのだ。
これが無ければ、目視だけでこの初弾の結果は得られなかっただろう。
誤差を修正された二射目が打ち出され、今度は全弾が命中する。
それによって、ダナウン・ダナンザの防御魔法にたわみが生じた。
効いて・・・・いるのか?
「お、おおお!」
それに応えるかの様に、更にブレンダン・バーズの照射を継続し、防御魔法を破らんとするリディ。
暫く両者の力比べが続いたが、先に怪しくなったのはダナウン・ダナンザの防御魔法の方だった。
青い筋を引きながら回転していたそれが、不規則な挙動をする様になり、遂には亀裂の様な物が走って、ブレンダン・バーズがそこから筋状に漏れていく。
その漏れた筋がダナウン・ダナンザに届くと、その爪痕を僅かではあるが残していく。
後少し。
そう思った瞬間、急激にブレンダン・バーズの赤い光の帯が収束を始め、遂には消えてしまった。
「リディ」
「す、すまぬ、主君よ。力が足りなかった・・・」
ガックリと膝を突くリディ。まだだ。
「イユキ、ターナ。突っ込め」
合図により待機していたターナとイユキが、ダナウン・ダナンザに肉薄する。
その甲羅の上に乗ると、懸命に攻撃を開始した。
しかし、硬い。
多少はブレンダン・バーズの攻撃により焦げた部分が見えてはいたが、甲羅の表面しか削る事はできなかったようだ。
それでも、イユキとターナが諦めずに攻撃を仕掛ける。
「我も行くぞ」
そう言って飛び出して行ったのは、リディだった。
「お、おい、お前大丈夫なのか。ブレンダン・バーズで力を使い果たしたんじゃ・・・」
「心配無用。大技の発動に必要な魔力は空っぽになったが、この身にはまだ力が残っている」
その様に返答すると、リディもヴィーダルを伝ってダナウン・ダナンザの背に乗り、大槌で渾身の一撃を叩き込み始める。
しかし、それでもなかなか有効な打撃は与えられず、アニーズで確認してみても損害の程度は見えない。
どれだけ防御力が高いんだよ。
「アニーも行く」
それまで俺によって待機を命じられていたはずのアニーが、独断で駆け出し始めた。
俺を主人として認めてはいるのだが、人化した武器は必ずしも言う事を聞くわけではない。
制止しようとした俺の行動も虚しく、アニーは、ダナウン・ダナンザの下側に潜り込んでいった。
直後、風の補助を受けたアニーの回転ナックル攻撃に、ダナウン・ダナンザの目が妙な反応を見せる。
光っていた目の幾つかから、その光が一瞬だけ消えたのだ。
続けて、二回、三回とアニーが突き上げる度に、その反応が拡大する形で見られる。
もしかしてコイツ、腹が意外と弱い?
見た限りでは腹の部分も装甲化されており、硬そうに見えるのだが、上の部分と比べるとそうでもないのかも知れない。
俺も含めて感覚的に理解していた為に意見のすり合わせはしていないのだが、腹の部分は足やハサミの可動範囲が大きい為、危険と判断して敢えて攻撃対象から外し、届き難そうな背中の甲羅を狙ったのだが、そもそもそれが間違っていたのか。
「みんな、腹だ。下に回って腹の部分を攻撃しろ」
俺のその言葉に一瞬、動きを止める甲羅攻撃組。
しかし、直ぐに意味を理解したのか、次々と飛び降りるとダナウン・ダナンザの腹に攻撃を仕掛ける。
それにより、目の光が消える部分が増える。
やはり、効いている。
それを裏付けるかの様に、ダナウン・ダナンザの藻掻きが激しくなる。
そのパワーに耐えられず、数十体単位で、ヴィーダルを構成するイーブル・ラーナンが、飛び散って消滅した。
体が千切れかけた者もいたが、自然治癒力が働いたのか何とか持ちこたえる。
ここが踏ん張りどころだ。
「ローナ、追加の分体を出せ。奴を、このままにするんだ」
「分かった族長。おら、どんどん行け」
ローナが地面に剣を刺し、それによって八体単位ではあるが、再びイーブル・ラーナンが補充されていく。
分体はローナの魔力ではなく、別の何かを媒体にしているらしく、俺の推測では土かあるいは地中の何かと考えている。
それにより成形にこそ時間はかかるが、際限なく生み出せる。
もっとも、減る数に対し追加分が少ない感じだが、これで耐えるしかない。
と、ダナウン・ダナンザの動きが更に慌ただしくなった。
でかい図体故に全体的な動きは緩慢であったのだが、急に無数の足やハサミを小刻みに素早く動かし始める。
その振動により、ヴィーダルが激しく揺さぶられた。
「みんな、攻撃を継続させろ。休むな」
それを聞いたターナ達が、今まで以上にハイペースで腹を突き上げ始める。
しかし次の瞬間、何かがダナウン・ダナンザの中心部に集まり、水の帯の様な物が周囲に傘状に照射された。
ターナ達はかわした物の、ヴィーダルがまともに喰らい、裂け目がアチコチにでき、中には切断されて構造物の一部が脱落する。
ウオントとか言う広範囲攻撃魔法を使ったらしい。恐らくだが、高圧で打ち出した水で、切断攻撃する物の様だ。
「いい加減に倒れてよー」
思いっきり屈み力を溜め、更に回転を加えたアニーが、渾身の一撃を叩き込む。
すると、やや遅れる形で線状にヒビが入った。
「勝機!」
それに続き、リディが更に追加の一撃をそのヒビに入れる。
途端に放射状にヒビが広がり、血が出た。
誰もが勝利を確信したその時、ヴィーダルが支えの一部を失い傾く。
それにより、ダナウン・ダンザの足の一部が地面を捉え、ズルズルと移動を試みようとする。
「させるか」
地面を捉えた足の方にリディが回ると、大槌でそれらを叩いて回る。
辛うじて移動する事は阻止できたが、傾きはどんどん大きくなって行く感じで、リディの対処だけではだんだんと間に合わなくなってくる。
と、軋みと割れが合わさった様な音がして、ヴィーダルの一部が大きく崩壊する。限界だった。
まだ、ヴィーダルの角はダナウン・ダナンザを捉えてはいたが、逆に奴の足も地面を捉えていた。
思った以上にダメージを与えていたのか、普段よりも鈍い動きで池に逃げ込もうとするダナウン・ダナンザ。
「不味い。みんな、そいつを絶対に水の中に入れるな。ローナ」
「やってる・・・・が、族長、流石に限界かも知れん」
ヴィーダルを構成するイーブル・ラーナンが形状を人に戻し、移動して直接ダナウン・ダナンザに飛びかかって動きを止めようとする。
だが、奴のパワーの前には僅かな抵抗にしかならない。
リディやイユキと言ったパワータイプのメンバーも必死になって脚部に攻撃を加え、数本は折る事に成功する物の、それでも移動を阻止するまでには至らない。
遂に、奴は池の縁に到達すると、徐々に水の中に体を沈めていく。
「ローナ、援護射撃です。直接当てなくても良い。奴の進路前方を狙って」
「分かった、ユーカ」
それによって石がダナウン・ダナンザの進路上に落ち、激しい水飛沫を上げる。
しかし、それまでだった。
尚もリディ達が猛攻を仕掛けたのだが、奴の動きを止めるまでには至らず、遂には水深の深い場所に逃げられてしまった。
そこに入った途端、重力の枷からも解き放たれたのか、奴はもの凄いスピードで潜っていった。
俺達はただ、それを黙って見ている事しかできなかった。




