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波瀾万丈。  作者: NANA
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私は小学校に入学した。

毎日幼なじみの拓也クンと登校するのが楽しみだった。

そう、私の初恋の人。

拓也クンは頭も良く、スポーツ万能で女子の憧れ。

その拓也クンと登校する私は皆から羨ましがられてた。


学校が終わるとピアノ、水泳、習字、英語と習い事の日々だった。

全部頑張れたのは拓也クンと通ってたから。

拓也クンが何か始めるならナナも始める。

真似ばっかりしてた。


ナナが拓也クンの事好きって事もちろん母は気付いてた。

母は私の初恋を応援してくれた。

そして母は小1の私に教えてくれた。


『バレンタインデー』


1年に一回だけ2月14日は女の子が好きな人に気持ちを伝える日って事。


そんな話し聞いたら作るしかない!あげるしかない!と胸を高鳴らせた!

早速、母と百貨店に材料とラッピングを買いに行った。

母は手慣れた様子で次々と材料を決めていく。

そんな母の背中を見ながら私は訪ねた。


ナナ「ママはパパにあげるの?」


母は一瞬悲しい顔をしたような気がした。


母「そうねー」


幼い私はママはパパの事が好きでないの?って少し複雑な気持ちだった。


母「ナナちゃんはパパの事好き?」


ナナ「パパ好きだよ」


母「ならパパの分もお兄ちゃんの分も作ろう!ナナちゃんが渡したら喜ぶよ!」


ナナ「うん!」


私はこの時、好きなら何人にも渡して良い物なんだ!とただ単純に納得した。




バレンタインデー前日。

母と仲良くチョコ作り。


母はお兄ちゃんに500円玉サイズ位のハートのチョコを何個か作ってた。


私は大きいハートの形したチョコを作った。

もちろん大きいハートは拓也クンのチョコ。


そして私は母の真似をし500円玉サイズのチョコを何個か作り父に渡すチョコも作った。


ドキドキしながら眠りにつき、明日を待った。




バレンタインデー当日。

拓也クンに渡すチョコを持ってその日も拓也クンと登校した。

学校に着いたら渡そうか、休み時間に渡そうかなど考えながら通学道を歩いた。


学校に着いた。

着くと同時に同じクラスの女の子が拓也クンにチョコを渡しにきた。


拓也「ありがとう!」


嬉しそうな拓也クンの顔。。。

何か失恋した気分だった。。。

え。拓也クンはあの子が好きなの?


渡すタイミングなくした。


休み時間の度に同じクラスの女の子、隣のクラスの女の子色んな子がチョコを拓也クンに渡しにきた。


私はただ指を加えて見てるだけだった。


沢山のチョコを持って帰る拓也クンといつも通り帰った。

いつもより口数少ない私。

もう心の中で渡さないって決めてた。



帰り着いた。

母が出迎える。

さすが母。私の表情だけで全て把握した。

何も言わず抱きしめてきた。


ナナ「渡せんかった。。。」


母「まだ間に合うよ?」


ナナ「もういい。」


母「手洗ってうがいしておいで」


ランドセルからチョコを出し見つめてた。


兄が帰ってきた。

兄も沢山チョコを貰ってた。

その中、母は兄に手作りチョコ渡した。


母「昨日ナナと作ったんだー」


兄「ありがとう!」


拓也クンと同じく嬉しそうな顔を兄もしていた。


ナナ「ナナはパパにも作ったんだよ!」


きっと父も喜んでくれる!

私は父にチョコを渡すのを楽しみに待った。


夜ご飯も食べて、お風呂にも入って父の帰りを待った。

眠気と戦い続けたけどいつの間にか寝落ちして

しまった。

起きたから朝。

急いで父にチョコ渡そうとリビングに。

居なかった。

そう父は帰って来てなかった。


母の悲しそうな後ろ姿。


何も聞かず学校に行く準備をした。


人生初のバレンタインデーは誰にも渡すこと出来ず終わった。












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