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真夏の暑い日。
7月26日。
私は生まれた。
会社を経営する父。
専業主婦の母。
8個上の優しい兄。
7個上の気の強い姉。
私は末っ子として生まれた。
名前は『ナナ』
何処からみても幸せの溢れる家族だった。
実際にそうだった。
毎週土曜日の夜は外食。
買い物はスーパーではなく百貨店。
欲しいものは何でも手にすることができた。
でも
そんな幸せな日々が徐々に崩れていくのが
幼いの私にも目に見えて分かった。
-幼少期-
私はその当時人気だった幼稚園に受験して入園した。
あれは父親参観日。
年長さん。(6才)
ナナはパパっ子でした。
大好きなパパが大好きな幼稚園に来てくれる。
すごくテンション上がってた。
授業の課題は父親との工作だった。
凄く楽しかった。凄く嬉しかった。
ハズだった。。。。
私の父親は、黙々と作品を作り上げていきました。
パパ凄い!ナナも一緒に作らなきゃ!
しかし、6才の私にも何かが違うと感じた。。。
何処の親子よりも早く作品が出来上がった。
作品を父と先生の所へ提出しに行く。
その瞬間、父は
『帰ります。娘を宜しくお願いします。』
私の顔も見ず帰っていった。
私は1人皆の作品が出来るのを待ち続けた。
同級生の楽しそうな顔。
友達のお父さんの優しい顔。
そして長い父親参観日は終わった。
友達は皆、お父さんと帰っていった。
私は1人、大きな幼稚園バスに乗って帰った。
虚しかった。
自宅に着くと玄関で母が悲しそうな顔で待ってた。
私はバスを降りる瞬間、笑顔に切り替えた。
母「ナナ…ごめ……」
私は母の言葉を遮るように
ナナ「ただいま!ママおやつ何?後でままごとしよーよ!」
母の胸に抱き付きながら言った。
私は母の優しい手。母の優しい匂いで一気に安心した。
そして私はこの時から強がる事と嘘を覚え始めた。