第1話「眠れる子羊」
人間と魔人や獣人などの亜人が共存する剣と魔法の世界、ライルリアム。
そのレイルス大陸、レーヴェル王国のある街にて・・・
「何か面白いことでも起きないかな〜。」
次の瞬間、少女は長い眠りについたーーーー。
この少女、ルイレーク・ライムは、みんなからはルイレと呼ばれ親しまれている。
彼女の一番の特徴は、「特徴がない」ということ。
体力も、学力も、短い黒髪に茶色が混じった黒い目という容姿まで何もかも平凡な彼女は、7歳の夏にいきなり倒れたのだ。
このことはすぐに王都に広まり、王国一の医者が駆けつけた。
しかし、その医師にも原因が分からず、ルイレは眠り続けた。
その時間、約5年。
ルイレは12歳になっており、体は成長しているものの、心や知識はまだまだという状態だった。
「ルイレ!」
「お、お母さん?それにお父さんも・・・一体どうしたの?」
「お前は眠っていたんだよ。5年もな・・・」
「・・・え?」
ルイレは最初は理解できなかったが、徐々にわかってきて驚いているようだ。
何しろ、5年も眠り続けていたのだから。
ルイレは起きてから、周りの人がとても優しくしてくれていることにすぐ気がついた。
その分恩返しがしたいと、ルイレは同じぐらい周りの人に優しくした。
そのおかげか、ルイレの周りには人が集まるようになった。
ルイレは眠り続けた5年間分の知識を一生懸命勉強した。
特に地理と、レーヴェル王国の歴史に力を入れた。
ここで、みんなもルイレと一緒に地理とレーヴェル王国の歴史を学ぼう。
まず、この世界「ライルリアム」にはたくさんの大陸がある。
レイルス大陸もその一つなのだが、他の大陸についてはまた機会があれば。
そしてレイルス大陸の中心部に位置する王国、それがレーヴェル王国だ。
レーヴェル王国のこれまた中心にある街が王都マルツヘイル。
王国の北端には、「レイルスゲート」と呼ばれる巨大な門があり、魔界とつながっている。
このレイルスゲートがライルリアムと魔界の主な交通手段であり、よく人が出入りしている。
次にレーヴェル王国の歴史だが、代々王家が政権を受け継いでおり、王家内での争いは全くと言っていいほどなく、逆に譲り合っていたほどらしい。
しかし、現王のレーヴェル王は別名「金王」と呼ばれ、貧しい人々から税をむしり取り、その金で
自分たちだけ贅沢をするという悪政を敷いている。
息子はいるらしいが、今は行方不明らしい。何しろ、国民は王子を名がまだ決まっていない赤子の時しか見ていないのだから。
「なかなか大変なんだね、今。」
ルイレはそう呟くと、ベッドに入って目を閉じた。
なにか不思議な出会いがあるかもしれない。そう思いながら・・・