久しぶりの神様、ここでついに
『簡単だよ。』
「え?」
頭に声が流れてくる。
この声、あの時の神様?
ーーパチン
指を鳴らす音が聞こえた。
すると騒がしかった室内も一気に静まり返り一瞬にして時が止まった。
動いているのは私だけ。
『神様でーす。あ、ちょっと時間止めただけだから安心して?それにしても、覚えててくれて嬉しいな〜。ねぇクロエ、前にあげたプレゼント、覚えてる?』
もちろん!でも、結局何か分からなくって…
『ふふふっあれはね僕の加護だよ。《神の加護》かな?他にも《天使の加護》や《戦神の加護》なんて色々あるけどね、《神の加護》はそんなのものと比べ物にならないくらい凄い力を秘めているんだ。』
ええぇ!?そんな凄いもの貰っちゃったんですか?
いいんでしょうか…私なんかで…
『勿論だよ。僕が選んだキミならね。さぁ、使い方は簡単!』
はい!
『って言っても説明が面倒だからキミの脳に直接情報を送ったから後、よろしく!』
えぇぇ?
そして大量の情報が私の頭の中に流れ込んでくる。
あ、なるほど、これは長くなるね。
何はともあれありがとう神様!
するとスゥ…と時間が動き出した。
私はジークさんに下ろして貰うと急いで扉を出たゼノ様を追いかける。
幸い、外に待機していた兵士と打ち合わせしているようだ。
うぅ、話かけるの緊張するぅ!
「そうだ、ギルド長と副ギルド長も来るから団長に報告頼む。…ん?」
はっ!無意識のうちにゼノ様の足にしがみついてしまった!
「ご、ごめんなしゃい…」
私に気づいたゼノ様はゆっくりとしゃがみ、よしよしと頭を撫でる。
「は、はぅぁ…」
「大丈夫だ。もう話は終わったからな。君はさっき副ギルド長に抱っこされていた子じゃないか。どうした?」
は!またしてもゼノ様のなでなでマジックによって意識が飛んでた!大きな手、最高です!
「あ、あの、はじめましゅて、ぎるどちょうのむすめのくろえ、でしゅ。しつれいでしゅが、てを…てをかしてくだしゃい。」
「ああ、それでか。えーと、手か?ほらよ。」
先ほどまで私を撫でていたおっきくてごつごつした手を差し出す。
あぁ…本当はむしゃぶりつきたい…最高!
…じゃなくて、
私はゼノ様の手を両手で包み…きれてはいないが、そこは置いといて、《神の加護》を発動する。
「このものを、あしきものからまもりたまえ。」
ーーパアァァ
「な、なんだ?」
光はすぐに止みゼノ様は驚いた表情で私を見る。
「えへへ、おまもりでしゅ」
任務完了!満足した私はにんまりして母の元に戻った。
数秒間程驚きで固まっていたゼノが口を開く。
「…なんだったんだ…今の光は。」
先ほど触れられた右手を見るが一見、何も起こってないようにも見える。
が、なんだか力が湧いて来るような、心地いいような、不思議な気分だ。
今ならエンシェントドラゴンでも魔王でも倒せそうな気分だ。
天使か?なんて騎士団長のブレインなんかに聞かれたら一生馬鹿にされ続けられる気がする。
ゼノはクロエが入っていった扉をジッと見つめていた。