傭兵会社
傭兵というのは、古来からある職業のひとつだ。
手野グループでは、特にスイスやアメリカを中心として傭兵を雇い入れ、活動させている。
ついでに武器販売も裏でしている。
公然の秘密となり、本国が武器輸出を解禁してからというもの、売り上げは急上昇している。
俺は、そんな手野グループの傭兵会社でスカウトを担当している。
各国の軍や警察組織や、場合によっては準軍事組織や消防組織からもスカウトをする。
給料の決定権はお互いの合意によるものではあるが、潤沢な資金を背景として、かなりの高額であっても合意することができる。
戦死者というのがいないというのがわが社の誇りだ。
というのも、徹底した助命機能を備えたベストや諸々の装備品を自社グループ内で製造し、販売しているからだ。
それを流用し、実地テストを兼ねて傭兵に渡している。
かなり評判は高く、どこにいっても引っ張りだこだ。
ただ、俺自身、こんな仕事はなくなってほしいと思う。
戦争がなくなれば、食い扶持に困るわけだが、別の仕事、例えば営業やら役員スカウトなどなど、まだまだ俺を求める仕事はあるはずだ。
手野グループ全体で人員のやり取りをするということもしょっちゅうある。
それでも、今はまだ仕事を続けなければならない。
ならば、もうこれを突き進むしかないのだ。
だから今日も俺はスカウトをする。
戦争を止めるための力を得るために。