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24 魔法学院、日々

 

「ヒカル、起きろ。学院に行くぞ」

「うーん?」


 俺はアズリアの声に目を覚ました。

 布団の中で伸びをして、それから起き上がる。


「おはよう」

「うむ、おはよう。――私は学院に行くが、ヒカルはどうする?」

「――ついてく」


 手櫛で髪を撫でつけて、ごそごそと制服に着替えた。

 

「顔、洗った方がいい。目が覚める」

「そうする……」


 言って、俺はアズリアの部屋を出た。

 寮生に見つかるのはまずいので、最近はかなり早い時間に目を覚まし、寮を出ている。

 本当に早い。

 ほとんど夜明け前だ。


「ねみー」


 欠伸をしながら呟いた。




 現在、アズリアの部屋を拠点として、魔法学院に潜入中だ。

 朝アズリアと一緒に学院に向かい、日中は図書館に籠ったり実習場をうろついている。学院が終わるとアズリアに合流して、彼女の部屋まで帰る。


 あの日、アズリアに俺が部外者であることがバレて、俺とカミラは必死に言い訳をした。


 もともと学院側に知らせるつもりはなかったようだけれど、俺が冒険者であることが分かるとアズリアは強い興味を示し、是非来てくれと言いだした。


 冒険者に興味があるようだ。  


 とはいっても俺は冒険者として特に実績があるわけではなかったので、この間のワイバーン戦のことを話してあげた。

 アズリアは最初は疑わしげだったけど、カミラが話を補強し、真実だと証言したおかげでようやく信じたようだ。

 そうなると、アズリアはどんどん質問してきた。

 ワイバーン、エルダーワイバーン、バハムート、ポラリスの外見と特徴。どのような行動をとるのか。集団戦での魔術師メイジの戦い方。他の冒険者との連携。他のモンスターとの戦闘。訓練の仕方。冒険者としての心構え、などなど。


 俺は答えられる範囲で何とか答えた。一通り話終わるとアズリアは俺のことを「勇敢で歴戦の可憐な冒険者」と勘違いし、すっかり信用してしまったようだった。

 信用に関しては、カミラの友人というのもプラスに働いたみたいだ。


 そんなわけでアズリアは特に警戒することなく自室に俺を置き、俺は学院内に便利な拠点を持つことができた。




 学院に向けて早朝の通学路を移動中。

 寮は学院の敷地内にあるので、かなり短い通学路だ。


「今日は実習林で二年の実習がある」

「へえ、カミラとアズリアも?」

「もちろん。見に来るだろう?」


 アズリアには俺が魔力の制御法を調べていることを打ち明けていた。

 魔力制御は個人の感覚に拠るところが大きいということは以前カミラから聞いていたので、今回の潜入目的は書籍の検索だということも伝えた。

 アズリアは、それならば実習も見学したほうが良いのではないか、と提案してきた。なんでも、実際にモンスター相手に魔法スキルを行使する実戦形式らしい。

 初日の経験から、それも一理あると思った俺はなるべく実習を見学するようにしている。

 今までは生徒や教員たちに見つからないよう遠くから伺う程度だったけど、彼女とカミラの手引きがあれば、かなり近くで実習を見学することが可能だろう。


 他にもアズリアには、図書館の蔵書検索や俺向けの魔法入門講座、種々の情報のリークなど、かなり手伝ってもらっている。



「行こうかな。いつ?」

「3限だから、昼からだな。カミラにも言っておく」

「よろしく」

「うむ。プロの冒険者に見てもらえるとなると、張りきらねば」

「プロって……」


 教えることは特にねぇよ。

魔術士メイジ』じゃないもの。


「昼からは私たちのところに来るとして、それまでヒカルはどうするのだ? また図書館か?」

「そうだな。もうちょい調べたい感じだし」




 3日ほど図書館通いをし、夜はアズリアから入門講義を受けて、俺はようやく魔力の制御法を知ることが出来た。

 そしてある事実も発見した。


 それはMP=魔力は成り立たないということだ。

 正確には、魔力<MPのようだった。

 おそらく、魔法を行使できない戦闘職でもスキルは行使できるため、MPの考え方に差別化がなされたのだろう。魔力とは、魔術士メイジ魔法スキル行使を普遍・体系化するために生まれた単語のようだった。 

 そして、体系化したのはノンプレーヤーの『魔術士メイジ』達だ。

 彼らが積み重ねてきたノウハウは、プレーヤーであり『制圧者タイラント』である俺にそのまま適用することが出来なかった。

 

 さらに、魔法学院についても俺は勘違いしていた。


 てっきり『一般人モブ』が魔法スキルを習得して『魔術士メイジ』になる場所だと思っていたのだけれど、実際には生まれつき『魔術士メイジ』の素質のある者が一定の水準に達するまで学ぶ場所らしい。

 『魔法スキル』を使えるようになる場所ではなく、『魔法スキル』を使える者のみが入学できる場所。

 

 スキルを使えることが前提だ。


 ……あーあ。


 しくった。

 普通に、スキルを使える冒険者を訪ねればよかった。

  

 そう思いもしたけど、俺は学院潜入を継続した。

 手ぶらで帰るというのも悔しい。

 図書館の蔵書は膨大なので、探せばヒントくらいはありそうだし、それに学校は見学しているだけでもなぜか楽しかった。

 なにやら空気を吸っているだけで、元気が湧いてくるような気がする。

 学生時代は、学校なんてあんまり楽しくなかったはずのに。




「なにか修正すべき点を見つけたら、夜の散歩のときに教えてくれ」

 

 小さく握り拳を作って、アズリアは言った。


「はいはい。なにかあったらね。頑張れよ」

「うむ!」


 そう言って、てってっと走って行くアズリア。


 すでに図書館の前。

 どうやら、図書館まで送ってくれたようだ。




 ▼




「また、あんた。えらいものを持ち込んだなぁ」

 

 魔法学院のどこかにある『院長室』。

 その部屋の主であるレクトールが呆れたように呟いた。

 古いが豪奢な椅子に腰かけ、これまた年代物の机の上に置かれた、木箱を見つめる。

 正確には木箱の中身を見つめていた。

 細やかな装飾が施された杖が入っている。


「ううむ……」


 レクト―ルは杖にゆっくりと手を伸ばす。

 すると、杖からゆっくりと黒い霧が出てきた。

 偉大な魔術師と称賛されるレクト―ルでさえ、あまりの不吉さに眉をひそめるほどだ。

 レクト―ルは伸ばしかけた手をひっこめた。


「なにか、強力な呪いがかかっておるようだな」

「それは、わかっている」


 院長室の隅。応接用のソファに腰掛けた男が言った。

 闇色のローブを身にまとった、壮年の魔術師だ。

 レクト―ルのかつての同僚でもある。


「鑑定を依頼したい。出来れば、その杖の制御法も」

「……。そんなもの、お抱えの魔術士団を使えばよかろうに。研究部門は今でもあるだろう」

「彼らでは、近づくことさえできなかった。――触った者は発狂した」

「なんと。そのようなものを「学院」に持ち込むとは……」


 レクト―ルは丁寧に木箱を封し、机の隅に自身の杖で追いやった。


「お返しする。いかな魔法学院でも、王国の魔術士団が放り出したものを受け入れるわけにはいかぬ」

「放り出したのではない。調べようにも、われらでは調べることができなかったのだ。――その杖は強力だ。なんとしても制御法を明らかにし、王国の管理下に置きたい」

「どうせ、モンスターたちとの戦いに使うつもりだろう」

「強力な物なのだ、当り前だろう」

「……そりゃそうか」


 レクト―ルは椅子から立ち上がり、備え付けてあるティーセットの傍によった。

 ゆっくりと淹れる。


「なら、あんたが自身で研究すればよろしいだろう。触れぬまでも、近寄ることは出来るのだろう? 実際に持ち込んできたのだから」

「魔術士団の顧問魔術師というのは、多忙でな」

「魔法学院の長も、多忙よ。研究者はともかく、遊びたい盛りの学生らにはいつも頭を悩ませておる」

「……私によって閑職に追い込まれたから、断るのか?」

「そうではないよ」

「であるなら、引き受けるべきだ。器が知れるぞ」


 男の言葉に、レクトールはため息をついた。

 そのような考えに至るということ自体、彼の器が知れようというものだ。

 そもそもが、自身の後任者がこのような人物であると知った時、レクトールは再選考を宰相に直訴したのだ。

 王国に二人しかいない秘儀の使い手。

 その腕前を差し引いても、彼は魔術師団の顧問にはふさわしくないと。

 ひょっとしたら、そのことが彼の人格に影を落としたのか。

 しかし、その程度も払拭できないとは、あの頃から成長が見られない証でもある。

 やはり、ふさわしくない。


「挑発だと受け取っておこう。……預かるにしてもだ。このほど強力な呪いが掛けられた杖では、わし自身が一人で調べるしかない。時間がかかるぞ」

「結構」


 そう言って男はソファから立ち上がる。

 そのまま背を向けてドアへと歩いて行った。


「あわただしいやつだな。茶くらい、飲んで行け」

「多忙なもので」


 そう言って、男は出ていった。

 男が出ていったドアを見つめながら、レクト―ルは自分で淹れたお茶を飲んだ。


 まずい。


「「黒翼竜」と「黄金翼竜」がギルドから運ばれてきたり、強力な杖が持ち込まれたり。退屈しないのはいいことだが、いささか、忙しい」


 楽隠居のつもりだったが、魔法学院の院長にはすべきことがあり過ぎた。




 ▼




 アズリアよりもカミラが先に来たので、カミラと図書館で談笑中。


「どっちが強いか?」


 俺の質問にカミラは首をかしげた。


「そう。アズリアと」

「うーん。どうとも言えないかな」


 カミラは言って、杖を取り出した。


「魔力の最大保有量の測り方って知ってる?」

「ああ。こないだアズリアから訊いた」

「ふうん」


 頷いて、カミラは杖を握り直す。

 するとカミラの近くに一つの光球が現れた。



『魔術士』系統職業の通常魔法攻撃。その光球だ。


魔術士メイジ』系統職業は『攻性術師ソーサラー』『聖職者クレリック』、『魔導師ウィザード』『召喚師サモナー』『大司祭プリースト』を指す。

 

 接近職の通常物理攻撃とは違い、『魔術士メイジ』系統の職業は通常攻撃も魔法攻撃だ。通常魔法攻撃はMPを1消費して光球を飛ばす遠距離攻撃である。『エリュシオン』では時間経過とともにHPとMPが回復するので、MP1という消費量は大したことはない。『弓士アーチャー』系統の通常攻撃と同様、連射の効く便利な遠距離攻撃だった。


 アズリアに訊いたところ、この光球が魔術師の力を測る基本になっているらしい。

 魔力の保有量を調べるには光球の個数、魔法行使の力を調べるなら威力を見るそうだ。

 たしかに、魔術師の通常魔法攻撃がMPを1消費するということは、出現する光球の数がそのまま最大MPと考えて良い。

 あと、高位の魔術師の場合は『炎弾ファイアボール』や『霧弾ミストボール』が測定の基準になるとか。こちらは普通にスキルだ。



「私はこれを200個くらい出せるんだけど」


 ということはMP200くらいか。

 クラスチェンジしていないレベルの低い『魔術師』ならそれくらいだろう。

 クラスチェンジをすると基本ステータスが上昇し、その後のパラメータの成長率も変動するので飛躍的に強くなる。

 『制圧者タイラント』のHP同様、『魔導師ウィザード』ならMP10000越えはざらにいた。


「アズリアはこれを250個くらいかな。実際に見たことはないから、詳しくはないんだけれど」

「じゃ、アズリアの方が強いの」

「とも言い切れない。一発の威力は私の方が強いもの。威力だって重要でしょう?」

「なるほど」


 カミラは「魔法力」が高いということか。

 「魔法力」は魔法攻撃の威力に関連するパラメータだ。

 多分、任意で振り分けられるレベルアップ時のボーナスポイントの振り分け方の違いだろう。

 カミラとアズリアは同じ人間なのでパラメータ成長率は同じ。レベルも同じくらいだとすれば、カミラは「魔法力」に集中して振り分け、アズリアはMP上昇のために「抗魔法」にも振り分けているのだ。


「じゃ、シルヴィアは?」

「シ、シルヴィアっ!? ―な、んで彼女の名前がでてくるのよ!?」

「カミラのルームメイトなんだろ? どうなの?」

「シ、シルヴィアは……」


 カミラはがっくりとうなだれた。


「個数も威力も彼女の方が上よ……」

「ありゃ」


 てことは単純にシルヴィアの方がレベルが上なのか。


「でも、仕方ないでしょう? 彼女は貴族なんだもの。小さいころから魔法の英才教育を受けているから、それくらい当り前なのよ」

「そんな言い訳するとは……」


 カミラが言い訳をするなんて、ちょっと意外。

 シルヴィアにかなりのライバル意識を持っているらしい。

 

 ――あれ?

 でもこないだ一応「連戦」に参加したし、ワイバーンにはトドメを刺した。もしかしたらレベルが上がっているのではなかろうか。


「最近、光球の個数確認した?」

「したわよ。休暇前に教練棟で」


 ワイバーン戦以降は確認していないのか。


「今、確認してみたら?」

「えー? そんなにすぐに魔力保有量は上がらないものなのよ? ずーっと訓練して、ちょっとずつ上げていくものなの」

「ワイバーンとかと戦っただろ」

「って言ってもね……。ただ見ていただけだし、それに一回きりだったじゃない」

「いいからいいから」

「うーん……」


 渋りながらも、カミラは杖を構える。


「……いくわよ?」

「ごー」

「ふぅー……。――っ!」


 カミラが杖に力を込めたのがわかった。

 それに応じるように杖は淡い光を帯び――



 突如、視界を埋め尽くすほどの光球が出現した。



「えッ!?」

「おぉ、すげえ綺麗。――カミラ、どう? 魔力上がってる?」


 軽く見ても200は超えてそう。

 倍の500位あるんじゃない?


「あ、上がってる! すごいッ!」

「おー、やったな」


 MP500てどのくらいのレベルなんだろうか。

 魔法職じゃないのでよくわからない。


「わ、やったっ!」


 きゃんきゃんとカミラははしゃいだ。



 ドン! ドン! ガシャン!



 突然、そんな音が響いた。


「あ。やばい、カミラ。光球が着弾してる」

「えっ!?」


 見ると光球が机や椅子に触れて小さな爆発を起こし、突然の魔法攻撃に生徒たちがパニックを起こしていた。


「や、やめなさい!!」


 中央の巨大な机に座っていた司書が大音量で叫んだ。


「ご、ごめんなさい!」


 カミラはあわてて杖をおろす。

 すると、光球が消えた。


「あ、あなたが一人でやったの……?」

「すみませんすみませんすみません」


 司書は目を見開いて驚き、カミラはそれに気がつかずにひたすら謝っていた。


「カミラ……?」


 不意にそんな声がした。

 

 俺は後ろを振り向く。


 アズリアだった。




 ▼

 



「黄金翼竜!?」


 アズリアから話を聞いて、カミラは叫んだ。


「そう。――多分、ヒカル達が倒したものだと思うんだが」

「まあ、だろうな。ポラリスがうじゃうじゃいるとは思えないし」

「ポラリス?」

「黄金翼竜の名前だよ。本当はポラリスって言うんだ」

「へえ……」


 アズリアは感心したように俺を見た。



 ひょっとして、こんなことでもアズリアの中の俺の冒険者株が上がったりしているのだろうか。


 ……。


 上がれば、どうなるのだろうか。


 なにか、期待してもいいのだろうか。



「なんで学院に黄金翼竜が運ばれて来るのよ!?」

「カミラ、ヒカルが言ってた。ポラリスだぞ」

「どっちでもいい!」


 カミラはドン! とテーブルを叩いた。

 先ほどカミラの光球の被害にあった生徒がビクリと体をすくめる。


「なんでも、冒険者ギルドの依頼という話だ。これから数日かけて対魔法属性の検証を行うとか」

「対魔法属性?」

「うむ。――ということで、今日の実習は全て中止だ。あそこが搬入場所となるらしいからな。生徒は速やかに帰寮せよ、とのことだ」

「……帰寮? 講義はないの?」

「教員総出で行うようだぞ」

「……へえ」


 カミラは頷くと、いそいそとバックに荷物を積み込み始めた。


「? どっか行くの?」


 なにか用事でもあったのだろうか、と思った俺は訊いてみた。


「教練棟よ。魔力保有量を測定してくるわ!」

「あ、そう」


 はしゃいじゃって。

 よっぽどうれしいんだな。


「そうだ、カミラ。先ほどのことは、どういうことだ?」

「え?」

「私が図書館に入ってきたときの光球。あれは……あなたがやったのだろう?」

「ああ――良くわからないのよ。なぜかいきなり魔力量が上がったみたいで……」


 首をかしげながらカミラは言った。

 本当に不思議そうだ。



 それは多分、カミラが学院の実習だけでレベルを上げたせいだろう。


 適正レベルの敵を倒せば、相応の経験値が入る。しかし学院の実習は低レベルのモンスターが相手、つまり格下が主だ。生徒に配慮してだろうけど、それでは少量の経験値しか手に入らない。

 実習を通してしかモンスターとの戦闘経験がなかったカミラには、モンスターとの戦闘に間違った認識を持っていたのだと思う。

 つまり、モンスター相手の戦闘を行ったとしても魔法の力は簡単に上がるものではないという認識だ。

 だから突然MPが上昇したことに驚いだのだろう。



「多分、光球の威力も増してるぞ」

「うそっ!?」



 しかし、自身よりも格段に高レベルの敵からは、生き残るのが難しい代わりに大量の経験値を入手することが出来た。

 一応俺とパーティを組んでの戦闘だったので、カミラはその恩恵に与ることが出来たのだ。ワイバーンを倒し、ポラリス戦も無事に生き残ったカミラのレベルは、一気に上がったはずだ。



「多分な。新しい魔術も覚えたり?」

「わっ、わっ」


 ピョンピョンとカミラが跳ねた。


「な、なぜだ?」


 アズリアがずいっと俺に詰め寄った。

 ちょ、近い。

 なんか恥ずかしい。


「ぽ、ポラリス相手に、カミラと一緒にパーティー組んで戦ったもの」

「……それは、ヒカルと一緒に戦ったのが理由だろうか? それとも、ポラリスを倒したのが?」

「両方かな。直接的にはポラリスなんだろうけど、俺と一緒じゃなきゃ無理だったろうし」

「……そうか」


 言って、アズリアは俺から離れた。

 何か考え込んでいる。


「ね、ね。私、行くわよ?」


 そわそわしながらカミラは俺に言った。


「はいはい。いってらっしゃい。――スカートはちゃんと押さえて走るんだぞ。カミラ、すぐパンツ見せつけるんだもん」

「見せるか!!」


 叫んで、カミラは走って図書館を出ていった。


コメディ少なめでした。

魔法学院編はこんな感じかな?

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