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()な灰被り  作者: よづは
13/20

13:舞踏会開始


舞踏会は・じ・ま・っ・たー!!!


一応シンデレラのパロディなのである程度展開は読めてしまうと思いますがまあ…生暖かい目で…?


さあLet's Go!!


 満月が空に浮かび、街が静寂に包まれる夜。

 夜の街が静寂に包まれるのはきっとこの日だけだろうと、誰もが思う。今日は全ての店が閉まり、仕事のない女性たちは静かに家の灯りを消して寝息を立てている。

 だが、そんな中で唯一つだけ賑やかな喧騒に包まれる場所があった。

 そこは城内でも最も広い、舞踏会の為だけに存在している場所。今日は姫様の婿選びの為の舞踏会だけあって、男たちは何処か緊張した面持ちで舞踏会の開始の合図を待っている。

 この舞踏会は男性限定である。下手に女性を招いてしまうとそれはトラブルすらも招き入れたことになる。よってトラブルを防ぐ為に女性を招かない事にしたのだ。


 この舞踏会の主役である姫様は、会場の隅にある姫様のための花見に続く扉の向こうから何処か緊張した面持ちで舞踏会場を覗き込んでいた。

「…どうしましたか?」

 その後ろから、声をかけるのは白髪の男性。かなりの年だろう。




「…こんなに居たら、また囲まれるんじゃないかしら…。」

 そう、私が心配してるのはその事だ。今、会場に集まっているだけでも予想外に人が多く、まだ増えているのだという事が信じられないくらいなのだ。

 そんな様子の私に白髪の爺は静かに言った。

「大丈夫です。姫様の瞳の魅力でメロメロになっているのならば、そのまま言う事を聞かせてしまえばいいのですよ。」 私は爺の提案になるほどと、感心した。そんな事ができるとは知らなかった。そういえば何故か爺は私よりも瞳の事に関して詳しい。

「それに、その瞳は特定の人には効きませんから…。」

 それは初耳だ。私は爺にどういうことかと詰め寄ろうとした時。


 ゴーン、ゴーン、


 鐘の音がなった。

 その音を合図に、会場内の人間が沸き立つ。舞踏会の開始の合図だ。

 私は、爺の持つ蝶をモデルとした目元のみを隠す仮面を被り、深呼吸する。


「仮面もありますし、瞳の影響を受ける方は少ないと思いますよ。」

 姿勢を正して、毅然とした態度に変化する私に爺はそっと背中を押して進むように言った。

 扉が開かれる。


「姫様のご登場です。」

 沸き立っていた会場内に静寂が訪れる。皆一斉に私の姿を見ようとこちらを見る。

 私は決して隙を見せぬように唯正面を見据え、歩き出す。その姿に一瞬誰もが息を呑むのが分かる。当たり前だ、私はその様に育てられたのだから。立ち姿に誰もを静めさせ、歩く姿に息を呑ませろと。

 一歩一歩踏み出し、開けられた紅い絨毯の上を歩く、黒い豪勢なドレスを身に纏い。その長い髪はストレートのままで、小さく豪勢な髪飾りを一つだけつけて。


 余計なものを身に纏わない。それが姫たるものの信念だと言う。

 戦いに慣れているものは必要最低限のものしか持たない。余計な補助をつけてしまえば、できることが制限されてしまうのだから。


 花道の先、そこは王座だった。

 一度王座に座り、開会の挨拶をしなければならない。そして、その後ダンスを踊るのだ。備えられたディナーは余計な人間を惹き付ける為の【ふるい】のようなものだ。私と添い遂げる人間には余計な欲を持つ人間は要らない。

 王座に座り、会場内を見渡す。そこにあの特徴的な赤は見あたらない。

(…彼は、)

 居ないということないのだろうか。それとも、単なる遅刻だろうか。どちらにしても王座にいるうちにどうか、来て欲しい。此処から降りてしまうと捜す事がとても困難に成ってしまう。


「…会場の皆様。ようこそ、我が城へ。」

 静かに話すだけで、声が響き渡る。私を追っていた視線が私の顔をでは無く【姫】である私を捉える。

「今宵は私の婿選びの舞踏会にご参列いただき有り難う御座います。」

 「婿選び」その言葉に無言のまま会場内が沸き立つのを感じる。

「この舞踏会はご存知のように仮面舞踏会です。お互い、容姿や身分に関係なく交流をさせていただけるようになって下りますので可能性を嘆いている方はご安心下さい。」

 そう、そのためだった。美しい容姿のみに惹かれないようにこの舞踏会は決まって仮面舞踏会だった。商談も、偏見も関係ない、そんな舞踏会をするのだ。

(もしかすると、)

 彼もまた、身分を隠す為にその赤毛を隠しているのかもしれない。あの赤毛を見れば、誰もが彼の正体を見破ってしまうだろう。

「…挨拶の後、私は王座から降ります。ダンスに誘う事も許されますので、どうぞ舞踏会をお楽しみ下さい。」

 私が王座を立つ。するとそれが合図のようにオーケストラが演奏を始める。最初は、単純なワルツだ。


「姫様、私と踊りませんか?」

 そう言って私に近付いてきたのは金髪の髪の短い男だった。私はその男が手を差し出すのを見て、そっと、その手をとった。




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