『スクランブルワールド2』も、はや最終話となりました。
残りわずかですが、最後までお楽しみください。
「早く姫さまに会いたいものですな」
赤い目を光らせながら、どこか姿に違和感のあるカラスが言う。
「そうだな。しかし……どうして姫さまの魔力の波動は突然消える?」
小型の、カラスよりも小さな影が言う。
その姿は町を襲ったインプをほうふつとさせるが、あのインプのような邪悪さは感じられない。
「なんらかの結界が張ってあるのでしょうな。もっとも、〈旋風に生きる者〉のような種族には通じないでしょうが」
「なら、一応安全ということか?」
「どうでしょうね? ワタクシたちがこちらに飛ばされて、最低でも一ヶ月は経っています。それに、少し前にはあの『大怪異』もありましたし。ここらへんも、あまり治安はよくないのではないかと」
「『大怪異』? ああ、あの魔術師が起こしたというあれか。人為的なものとはいえ、あれだけのことができるんだったな。注意も必要か」
「でしょう? ならば早く姫さまを見つけて元の世界に戻らなければ」
「戻る方法もわからんがな」
お互いに苦笑し、夜の闇に消えた。