プロローグ
『スクランブルワールド』の続編であり、そちらを既読であることを前提として書かれています。
http://ncode.syosetu.com/n9206k/ ←前作
お久しぶりです、人鳥です。お待たせしました、『スクランブルワールド2』を開始します。
ジャンルが学園なのは、前作がそうなっているからです。
この作品、ジャンルはどれにしたらいいのでしょうか……?
この世界が仮にAとしよう。Bの世界にはもう一人の『ぼく』のような存在がいる。エレーナ・リューゼンディッヒの事件が終結し、吸血鬼を傷つけたぼくに黒木さんが話してくれたことだ。
本当はもう少し詳しく教えてくれたのだけど。
存在が顕現する仕組みについて。
それは人影兄妹のような、鏡の向こう側の世界のようなもの。
同一ではないけれど、限りなく同じなもの。
誰だって――そう、誰だって鏡を初めて見た時、その鏡に映るもう一つの世界を夢見たはずだ。
並行世界。
世界は広く、大きく、多い。それを理解するのは、リーゼ・ブリュスタンと出会い、エレーナ・リューゼンディッヒと対峙する、その期間で十分だった。世界学という欠陥と矛盾の学問よりも、黒木さんの説明のほうが納得がいく。
そうじゃないやつもいるけどな、と黒木さんはうそぶく。
リゼも言っていた。
『気づくのが稀』なのだと。
それはつまりそういうことで。
ぼくたちが気づいてないだけで、もしかしたら目の前で異常が起きているのかもしれない。
気づかないだけで――
巻き込まれているかもしれない。