都市伝説好きな少女とのすれ違い際に爆裂したターボババァ
本文中の挿絵の画像を作成する際には、「Ainova AI」と「Gemini AI」を使用させて頂きました。
すっかり日も落ちた予備校の帰り道、私こと鳳飛鳥は奇妙な物を目にしたんだ。
「ほう、あれは…」
幹線道路である国道を猛スピードで疾走して次々と自動車やバイクを追い抜いていく、山姥を思わせる和服姿の老婆。
それがこの世の理を外れた存在である事は、自動車の制限速度を凌駕する速さと半透明の身体からも一目瞭然だった。
運転手の中に愕然とした表情を浮かべる者がいるのは、彼等が微弱ながらも霊感を備えているからだろうね。
怪異という手合いは、霊感がある人間を見かけると仕掛けてくるんだよ。
当人としては愉快犯のつもりかも知れないけど、それが交通事故を引き起こす要因になるなら害悪と見做されても仕方ないよ。
物珍しい光景を見られたのは僥倖だけど、目にした以上は看過は出来ないね。
「山奥のスカイラインに引きこもっていれば良かったのに、ドライバーを驚かす刺激が欲しくて人里まで降りて来たか。こんな交通量の多い道で事故なんか起こされたら、こっちまで迷惑だよ…」
そう言いながら、私は自転車に跨り精神を集中させたの。
霊能力の出力を上げる為にね。
すると予想通り、車道を疾走していたターボババァは急ターンしてきたんだ。
そして真っ直ぐに私の方へ向かって来たの。
「フフフ、そうだよね…これだけ霊感の強い人間に興味を持ちたくなるのも怪異の性だろうね。これ以上ない刺激的な目に遭わせてあげるよ!」
そう言って私は自転車を始動させ、迫り来るターボババァに向かっていったの。
「たあっ!」
そしてポケットから取り出した物を、車道にいる奴に目掛けて放ったんだ。
「なっ…何いっ!?」
すれ違い様に垣間見たターボババァの驚愕に引き攣った顔ったら、もう傑作だったよ。
まあ、無理もないだろうな。
自分の顔面目掛けて一直線に飛んできた紙飛行機が大きく広がり、目隠しの役割を果たしたんだから。
「うわあああっ!?」
そうしてバランスを崩して転倒したターボババァは、横倒しの姿勢のまま猛スピードで路面を滑っていき、半透明の爆発となって消えてしまったんだ。
もっとも、それが分かるのも霊感を持つ人間だけだけどね。
「流石は霊験あらたかな真言密教の御札…紙飛行機にしても効果が減衰する事はないし、怪異に触れたらキチンと広がってくれるんだね。」
そうして己の成果に満足した私は、自転車に乗って家路を急いだの。
明日も学校だからね。
それ以来、あの幹線道路にターボババァが現れる事は二度となかったんだ。




