第5話 アポの実ゲット - 全部で2万個
ストックに余裕ができましたので連投します。
1投目
さて、金剛杖を手に、再び北に向かって歩き始めた。水の流れも北に向いており、それに沿うように歩く。緩やかな下り坂ということか。おそらく、「ビギンの街」はこの方向であっていると思う。「初まりの街」が山の上にあるわけが無い。時間は午前11時。僕の腕時計の時間がこの世界でどのような意味を持つのかわからないが、正午までには食事ができそうな場所を探そう。
少し歩くと、3匹のホーンラビットに遭遇した。こちらに気づいて飛びかかろうとしてきたので、金剛杖で打ち払ったら簡単に死んでしまった。収納・解体したが、これから先、肉には困りそうにないな。そう思ったそばから、今度は5匹のホーンラビットが現れた。3匹は金剛杖で瞬殺したが、後の2匹は逃げていった。しばらく行くと、今度はオオカミが3匹現れた。魔物鑑定をかけると
[種別 (フォレストウルフ)、ランク(F)、出生地(ビギンの森)、スキル(爪 撃、噛み付き)]
と出た。ランクから考えてラージフォレストウルフより弱く、ホーンラビットより強いと言うことになる。即座に手裏剣を3本取り出し、続け様に投げた。3本ともオオカミの眉間に命中し、あっさりと倒してしまった。鑑定をかけると
[名称(フォレストウルフの死体)、用途(緑魔石小、牙・爪は下級武器の素材、肉は食用可であるが不味い、毛皮は下級革鎧用)]
とりあえず、収納・解体した。解体を自分の手でやっていないせいか、魔物を殺すことに、あまり忌避感を感じない。異世界小説では、人型魔物はともかく、獣であれば、何の迷いも無く攻撃し解体している。そして、それらは糧となり、金となる。まぁ、悩んでもしょうがない。多分この世界は、やらなきゃやられる世界なんだろう。あと、手裏剣は忍者の武器なので、この世界では今まで存在しなかった武器だと思う。忘れずに回収しておこう。
さらに足を進めようとしたら、また、フォレストウルフに遭遇。今度は5匹。手裏剣と薙刀を取り出し、まず、手裏剣で3匹を仕留め、残り2匹は、薙刀で仕留めた。[収納1]は素材だらけになったが、容量からすると、ほんの少し埋まっているだけだ。
やたらと魔物に遭遇すると思っていると、進行方向から、かすかに甘い匂いが漂ってきた。匂いの元に急ぎ足で進んで行く。すると、小ぶりのリンゴ程の大きさの赤い実が鈴なりになっている木が、10本ほど立っているのに出くわした。その下では、数匹のホーンラビットとフォレストウルフが落ちた実をむさぼり食っている。この辺りに魔物が多いわけはこれか。こちらに気づいている様子がないので、転がっている赤い実をそっと手に取り、[鑑定]した。
[名称(アポの実)、用途(食用。栄養価が高く、森の魔素を取り込んでおり、若干の体力を回復するので、「森の弁当」と呼ばれている。なお、魔物に対してのみ催淫効果があり、成分の多い種子から「魔物寄せ」を作成する。)]
なんて素敵な果実なんだ。たくさん収納しておこうと、アポの木に意識を向けたその時、木の根元の落ち葉がグイっと持ち上がりミミズが現れた。超巨大な!
そのミミズは、イソギンチャクのような大きな口を開け、アポの実を食べていた魔物を次々と飲み込んでいく。僕を含め、数匹の魔物は後ろへ飛び退いたが、巨大ミミズはそれ以上追って来ず、落ち葉の下に戻って行った。
唖然と立ちつくす間に、助かった魔物の姿は消えていた。残された僕は、とりあえず、落ち葉の下の魔物に鑑定をかけた。
[種別 (フォレストワーム)、ランク(D)、出生地(ビギンの森)、スキル(押しつぶし)、形態(全長8~10m、皮は硬い。頭部は伸び縮み、大口で獲物を一飲みにする)]
今まで出会った魔物の中で、一番ランクが高い。硬い皮ってのは、どのくらい硬いのだろう。手持ちの武器が皮を通さなければ勝てそうにない。かと言って、このまま退却すると、アポの実が手に入らない。何時でも逃げ出せる体勢で、一度チャレンジしてみるか。
僕は[収納1]からフォレストウルフの肉を取り出し、右手に石槍を構えた。肉をアポの木の方に放り投げると、予想通りフォレストワームが飛び出してきて、肉に食らいついた。
「今だ!」渾身の力を込めて石槍を投げたが、硬い皮に弾かれてしまった。フォレストワームは、何事もなかったかのように、落ち葉の下に潜っていった。
「だめだ、こりゃ」退却するしかない。しかし、少しでもアポの実を収納しようと、ビクビクしながら10mの範囲まで近づいた。数十個しか収納できなかった。
どんな味がするのか、1個囓ってみた。「なんじゃ、こりゃ」と心で叫んだ。見た目どおり、味はリンゴなのだが、とっても甘い、とってもジューシー。数十個じゃ物足りない。全部、取り尽くしたい。木の下に近づくためには、フォレストワームをどうにかしなければいけない。いろいろ考えてたどり着いたのが「毒肉」作戦。
[収納1]からフォレストウルフの肉とブスの木を10cm程取り出した。[錬金術]でブースの木の毒だけを分離し肉にたっぷりと振りかけた。
その毒肉をアポの木の方に放ると、またもフォレストワームが飛び出してきて、毒肉を一飲みにした。10秒ほど経って急にのたうち回り、1分後には静かに横たわっていた。鑑定すると、
[名称(フォレストワームの死体)、用途(茶魔石中、硬い皮は中級防具の素材、特に収縮する頭部の皮は可動防具の高級素材、消化嚢内の消化液は溶解液の素材、肉は悪臭のため食用不可)、体内に緑魔石中32個、緑魔石小973個、青魔石小286個]
茶の魔石はフォレストワーム自身の魔石だろう。体内の魔石は、これまで捕食した魔物の魔石かな。排出も消化もしていないなんて、1万個貯めれば、ラージフォレストワームに昇格する、ってことは無いよなぁ。青の魔石はなんの魔物だろう?
とりあえず[収納1]に取り込んだが、時間停止していると言え、悪臭の肉が同居しているのは気持ち悪い。試しに、肉だけ[検索取出]したら、いきなり嘔吐しそうな臭いが漂ったので、速攻で[収納1]に取り入れ廃棄した。
次は、アポの実の収穫だ。魔物たちには悪いけど、全部収穫することにした。木の下に立ち、[収納1]を繰り返すこと10回、全部で約2万個になった。毎日3個食べたとして20年近く持つ。場合によっては、ジュースにしたり、料理にも使える。他にも「バナンの実」や「オレンの実」とかあったら良いのに。「ラーメの実」や「カレの実」でも良いな。そこまでくれば、「ヤキニクタベホーの実」でも良いぞ。馬鹿なことばかり考えないで、サッサと歩き出すことにした。歩き出す前に、地面に転がっている食べかけや、腐ったりしているアポの実を[収納]し[解体]、種子だけを残し、あとは廃棄した。その内、残った種子で「魔物寄せ」でも作ってみよう。




