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第2話 ビギンの森-ポイント10000!

 僕の名前は寺田光、大学1年生。学年末試験も終わって、春休みは彼女とデート三昧の予定だった。なのに、人間不信におちいり絶賛引きこもり中。原因は、大学入学と同時に付き合い始めた彼女の二股。でも、それよりもショックを受けたのが、相手の男が小学校から今まで、一緒につるんでいた親友だったこと。彼女が二股を始めてこの3ヶ月、あいつはこれまでと変わらない笑顔で僕と話していたんだ。


 世の中の何もかもが厭になったと言うわけではないが、人と接するのが億劫(臆病)になり引きこもった。現実世界がダメならファンタジーの世界へと、バイトで貯めたデート費用で異世界小説、異世界ゲーム(MMORPGは避けてコンピュータ相手のRPG)を買い込んだ。

 異世界沼にはまって丁度ひと月が過ぎ、パソコンの前での2徹目の朝だった。そのまま寝れば良かったのに、甘い物が欲しくなり、近所のコンビニへ出掛けて行った。250mlのお茶のペットボトル、餡子ずっしりの特大あんパンを手に取った時、急に意識が遠のいた。目覚めた時は、爽やかな春風が吹く草原にいた。


 そこで、女神から急かされるままに、5つのスキルと転移先を選ばされ、[ビギンの森]に転移した。


 転移先を押して暗闇に包まれたのは、ほんの一瞬だった。直ぐに視界が開け、木々が立ち並ぶ鬱蒼とした森の中にいるのが分かった。と同時に、20m程先にオオカミの様な動物がいるのに気づいた。向こうも僕のことに気づいた様で、ゆっくりと近づいて来た。


 全身に鳥肌が立った。捕まったら死ぬ。逃げ道を探すと、直ぐ横に大きな木があった。手の届く高さに枝はないが、上から太いツタが垂れ下がっている。イチかバチかツタをつかみ身体を引き上げた。背中越しにオオカミの足音が聞こえる。無我夢中で木を登り、もう少しで枝に手が掛かろうとした時、左足に鋭い痛みを感じた。それでもツタを持つ手を離さず、なんとか枝をつかみ、それに跨がった。


 下を見るとオオカミが恨めしそうにこちらを見上げていた。見た目はオオカミだが、大きさはトラほどもある。こちらへは届きそうもないが、念のため、もう一つ上の枝によじ登った。

 直面する危機は去ったので、一息ついたが、左足がズキズキ痛む。ふくらはぎの肉がえぐれて、血が流れている。オオカミの爪がかすったのだろう。傷を見た途端、痛みが増した。とりあえず止血しなければと思ったが、回復のスキルを取得したことを思い出した。

 「回復!ヒール!ホ○ミ!...」傷口に左手をかざして思いつく回復魔法を唱えたが何も起きない。血がダラダラ流れている。オオカミは地面に落ちた血を舐めている。焦って頭の中が真っ白になったが、その時、思い出した。「ポイント割り振ってな~い」


 「転移設定!」と唱えても何も起きない。そりゃあそうだ、もう転移済みだからな。だったら、「ステータス」。そう唱えたら、目の前にステータス画面が現れた。


名前[ひかる・てらだ]、種族[人間]、年齢[19歳]

称号[転移者]、職業[無職]、レベル[1]

HP[ 75/100]、MP[100/100]

スキル:ポイント[10000]

 収 納(初級)[0]△  →

 鑑 定(初級)[0]△  →

 回 復(初級)[0]△  →

 錬金術(中級)[0]△  →

 忍 術(上忍)[0]△  →

ステータス:ポイント[10000]

 STR(筋力)[0]△

 VIT(体力)[0]△

 DEX(器用)[0]△

 INT(知力)[0]△

 AGI(敏捷)[0]△


 とりあえず、[回復]が先だと思いポイントを上げようとしたが、とんでもないことに気がついた。初期ポイントが、1万ポイントになっている。どういうことだ、これじゃ上げ放題、やり放題じゃないか?

 でも今は考えている余裕はない、最優先は、[回復]のポイント上げだ。ステータスを見ると、


 回 復(初級)[0]△  →


となっている。ポイントの割り振りはどうすれば良いのか迷ったが、ポイントを表示している[0]の隣の△が気になる。空間に浮かぶステータス画面の△を押そうと指をあげたが、その途端ポイントが1上がった。別に画面に触れなくても、僕の意思を反映させるのかと思い、「回復(初級)のポイントを100へアップ」と唱えると、ポイントが[100]になった。そして頭の中に声が響いた。

「上限に達したので、回復(中級)へ、スキルアップします。」

 ステータスを見ると、


 回 復(中級)[0]△  →


に変わっていた。そこで、「回復(中級)のポイントを100へアップ」と唱えると、ポイントが[100]になった。そして、「上限に達しましたが、レベルが足りないため、回復(上級)へのスキルアップはできません」との、声が聞こえた。


 いろいろ気になることはあるが、[回復]は可能な限りアップしたので、治療を優先する。再度、傷口に左手をかざして回復系呪文を唱えた。「ヒール」の呪文に反応し、回復のスキルが発動した。ズキズキしていた傷口の痛みがスーっとなくなった。掌で血を拭うと、傷跡ひとつない足が出てきた。


 「魔法ってすごい」とファンタジーの世界に感激したが、足下の恐怖がなくなった訳ではないので、感傷に浸っている余裕はない。

 このままのステータスでは、オオカミの一撃でHPが0になりそうなので、まず、スキル、ステータスのすべてに、ポイントを割り振ることにして、もう一度「ステータス」と唱えた。


名前[ひかる・てらだ]、種族[人間]、年齢[19歳]

称号[転移者]、職業[無職]、レベル[1]

HP[ 95/100]、MP[ 95/100]

スキル:ポイント[9800]

 収 納(初級)[0]△  →

 鑑 定(初級)[0]△  →

 回 復(中級)[100]  →

 錬金術(中級)[0]△  →

 忍 術(上忍)[0]△  →

ステータス:ポイント[10000]

 STR(筋力)[0]△

 VIT(体力)[0]△

 DEX(器用)[0]△

 INT(知力)[0]△

 AGI(敏捷)[0]△


 転移前は、職業が「?」だったが、[無職]に変わっている。HPは、回復前に見たときは70台だったと思うが、95になっている。[回復]の効果か。そのかわりMPが5減っている。

 スキルのポイントは、[回復]に200割り振ったので、残り9800。ステータスのポイントは、10000。女神の話では、初期ポイントは、100。それに、100プラスして、計200だったはず。後で返せと言われることも考えられるので、今の内に可能な限り割り振ろうと思う。


 まずは、ステータスだ。「STRのポイントを2000にアップ」と唱えた。すると、「現在のレベルでは、200までしか割り振ることができません。」との声が聞こえ、STRのポイントが[200]になった。

 VIT、DEX、INT、AGIも同様に、200までしか割り振ることができなかった。この200という数値がどのくらいの強さを示すのかは分からない。検証が必要だろう。


 次は、スキルだ。[回復]と同じ初級を取得した[収納]、[鑑定]については、[回復]と同様に、(中級)[100]が限度だった。

 中級を取得した[錬金術]についても、上級へのスキルアップはできなかった。


 [忍術]については、上級を取得したはずだが(上忍)と表示されている。おそらく、(下忍)、(中忍)とスキルアップするのだろう。この(上忍)に100ポイントを割り振った。すると、「上限に達しましたが、レベルが足りないため、忍術(頭領)へのスキルアップはできません」との、声が聞こえた。


 なるほど、スキルには上級より上があるのか。そうすると、初期ポイントがふんだんにある僕は、レベルを上げ、スキルアップすれば最強ではないか。まあ、そのレベル上げをどうするかが問題だけど。


 こうして可能な限りのポイントを割り振った後、再度ステータス画面を開いた。


名前[ひかる・てらだ]、種族[人間]、年齢[19歳]

称号[転移者]、職業[忍者]、レベル[1]

HP[ 95/100]、MP[ 95/100]

スキル:ポイント[9200]

 収 納(中級)[100]   →

 鑑 定(中級)[100]   →

 回 復(中級)[100]   →

 錬金術(中級)[100]   →

 忍 術(上忍)[100]   →

ステータス:ポイント[9000]

 STR(筋力)[200]

 VIT(体力)[200]

 DEX(器用)[200]

 INT(知力)[200]

 AGI(敏捷)[200]


 職業が[忍者]になっている。スキルを見て強制的に指定されたようだが、昔、憧れていた職業だし、[無職]より良いか。

 また、ポイントを割り振るための△が消えている。消えたままだと残りのポイントが無駄になるが、レベルがあがり、割り振り可能になれば出現すると信じたい。

・年齢が20歳になっていた箇所を、19歳に修正しました。

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