ベランダに落ちていた天道虫
窓の外に夢を見る虫
自分の限界を知らずに
ただただ信じ続け
生命の終わりを遂げる虫
それでも
誰も気付かずに
静かに消えてゆく
虫が羨ましい
まるで元からなかったかのように
16でお腹に子供を宿した。
悦びも悲しみも無く
顔に濡れたタオルを置いた。
電車からみた世界は全て虚偽で
彼が死んでも世界は変わらなかった。
込み上げてくる吐き気を堪えて
点字ブロックの上の蟻を踏み殺した。
小さな命は簡単に潰れてしまった。
夜行バスの1番後ろで夢に堕ちる