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多分きっとねこだった

作者: もちづき かおる


夕暮れや誰かが作ったカレーの匂いをかぐと哀しいきもちになる経験はみんなあると思う。


何故だか分からないけれどわたしは小さいピンクの鈴の着いた首輪を見るとそんな気持ちになる。



あんまり暖かくないしわしわのゴツゴツの手に撫でられるのが好きだった気がする

けれどあまり視界ははっきりしていなくてどんな顔だったのかも思い出せない。


灰色の様な白色の様な毛の色に、模様があってしっぽが尖って細くて。


もう少し一緒にいたかったのはおぼえてる。


わたしはもう何年も生きてしまったからきっとまた会えることはないけれど。


小さい頃はご近所中のおばあちゃんの家を回って毎日遊んでもらっていた。けどやっぱりあのひんやりしたしわしわでゴツゴツの手は見つからなかった。


わたしはしあわせだった。たまにくれるしゃばしゃばに水の入ったしゃけとご飯がすきだった。


ご飯をあまり食べないから。あんたはこれがすきねって。かりかりと違ってそれは食べ終わるまで一緒にいてくれるのが好きだった。

おくちのまわりを拭かれるのはいやだったけどあごを撫でられるのはすきで。たくさんすきだって伝えるべきだったのに先に居なくなってごめんなさい。



今でも夢に見る、優しく撫でてくれる硬い手も

すこしバリバリになった床にたたみ。ちいちゃな毛布

うとうとしながらあなたのそばにいるのがすきだった



どうしようもなく、哀しいきもちになる

ちいさいころからずっとそれだけがわすれられない。


わたしは私であるまえに多分きっとねこだった。







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