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報酬と専用武器

「えーっと確か、街のランドマークみたいなものって話だったはず……あっ、アレか」


 街中央の丘の上にある噴水広場で、虹色に輝く巨大なクリスタルが浮遊しているのを発見する。近づいてそっと手を翳すと、眼下に半透明の画面が表示された。


〈始まりの街『アインツトーン』のアーカイブクリスタルを登録しました〉


 このゲームにおけるセーブの方法は複数ある。一つ目は宿屋やセーフティハウスで仮眠を取る方法。消費したHPやMPなどの回復もできるため一石二鳥だが、前者はお金を支払う必要がある。

 二つ目は自前でセーブポイントを確保する方法。テントや安全地帯(セーフティエリア)などを利用して仮眠を取ることで、宿屋と同じようにセーブの合間に体力を回復できるが、それにはまず何より場所の安全確保が求められる。砲弾飛び交う戦地のど真ん中でテントを広げても、即座に体力が消し飛ぶのは想像に難くない。

 そして三つ目がこのクリスタルを使う方法。利用するには前以って登録が必須だが、一度登録してしまえばセーブ以外に街間の移動も一瞬で行える。体力の回復ができないのはネックだが、他の二つと比べて使い勝手は断然良い。故に、初めて街を訪れたプレイヤーは真っ先にこの場へ向かうのだとか。


 エムに教わった通りセーブを終えた私は、噴水の縁に腰掛けて一息ついた。


 始まりの街『アインツトーン』は一言で表すのなら円形都市だ。中央の丘に噴水広場という住民達の憩いの場があり、そこから南北それぞれの門まで広い街道が伸びている一方、東西には入り組んだ狭い道と無数の階段が存在している。基本的に南北の街道が商店街、東西が住宅街といった構造だ。

 それらをぐるりと取り囲むのは灰色の石壁。まさにファンタジー世界の典型とも言える街である。


「それにしても広すぎる……クリスタル探すのにかなり時間かかったぞ」


 視界の端で表示されている時刻は《20:58》。エムと別れてこの街に降り立ったのが《20:25》だったはずだ。つまるところ、三十分以上は街の中を彷徨っていたことになる。

 正直さっさとログアウトしたいところだが、その前に少し確認しておくことがあった。


「はぁ、何で私はあいつとの約束だけは覚えているんだか」


 ため息交じりにメニュー画面からフレンドリストを開き、放課後に悠真から貰ったメモに書かれていた文字列を打ち込んでいく。十桁程度の英数字なら記憶し慣れているため、然したる問題もなく奴をフレンド登録できた。それと同時に解放された各種機能についての説明を流し見る。


「フレンド同士で念話……か」


 ……よし。マナーモードにしておこう。喧しいのはあいつの口だけで十分だ。


 続いてアイテムボックスを開く。アクセサリーの項目に新規アイテム獲得の表示があった。



・清純の髪留め ⦅伝説級(レジェンダリー)

 ■■■■(※解放条件未達成)からの贈り物。何の変哲もない普通の髪留め……だと思ったか。あたしの念がギチギチに詰まったありがたーい髪留めだ。絶対に失くさないし盗まれないぞ! 盗もうとすると死ぬぞ!

 最後は流石に冗談であるが、何らかの(じゅ)もとい加護が付与されているっぽい。

《効果》

 紛失無効。窃盗無効。■■■■(※解放条件未達成)の加護?



「呪物……? テキストも色々と変だな……まぁ害が無いなら装備するけど、って私防具は装備できないんだった。仕方ない、見た目装備枠にしておくか」


 恐らく彼女もそのつもりで渡したのだろう。淡い光と共に背後の髪が揺れる。おもむろに噴水の水面を覗き込んで確認すると、彼女の付けていた髪留めに似た意匠のアクセサリーが装着されていた。


「これでよし。次はクエストのクリア報酬だが……なんだコレ?」



・神寵の小太刀 ⦅伝説級(レジェンダリー)

 神の恩寵が宿った小太刀。その刃は命を絶たず救済のみを与える。

《効果》

 剣神の加護を持つ者が自身に突き刺して死亡した際、デスペナルティを受けずにセーブポイントで蘇生できる。譲渡不可能。紛失無効。窃盗無効。


柞木(イスノキ)の白刀 ⦅希少級(レア)

 ただの木刀と侮るなかれ。その硬度は鋼をも上回る。

《装備効果》

 VIT + 100

 攻撃が全て打撃属性となる。

 敵の攻撃をパリィした時にのみ、確定でその一撃がクリティカルとなる。



 強い……のか? 一応デスペナルティとクリティカルについては学んだが、効果内容からして使い時が限定的過ぎる。小太刀は自決用。木刀に至ってはそもそも装備できない。あれ、もしかしてまた不運を発揮してしまった……?


「まぁ、別にいいか」


 剣聖ジョブを獲得した時点で貰いすぎな気もするし、武器ならさっき使った専用の刀があるから問題は無い。木刀の性能は少し気になるが、それは誰かに譲渡して使い心地を聞けば済む話だ。


「そういえば、この刀の性能もまだ確認していなかったな。どれどれ……」



聖刀(せいとう)無窮合一(むきゅうごういつ)〉 ⦅始原級(オリジン)

 歴代剣聖の魂の宿りし核そのもの。数多の武器と共鳴し闇を打ち払う無二の一振り。剣聖は生涯この刀のみを振るい、その死生を武器と共に廻る。

《装備効果》

 この武器はプレイヤーのレベルに応じて性能が上昇する。

 武器性能が上昇するごとに『ウェッポンスロット』が逐次解放され、本武器以外の所持武器をスロットにセットできる。ただし、その時点での本武器の総合能力値以下の武器しかセットできない。etc...



 他にも耐久値無限や状態異常耐性上昇など、様々な装備効果がてんこ盛りだったが、総じて私の抱いた感想は一つに集約された。


「頭おかしいんじゃないか? 開発者」

お気づきかもしれませんが、一応補足を。

《装備効果》は、文字通り装備しなければ発揮されません。逆に《効果》は、それ自体を装備せずアイテムとして使用しても発揮されます。誤字ではありませんのでご安心ください。

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