ちょっとしたご褒美の視力検査
同級生の女子「身体測定を始めます」
これはおかしい。
君は保健室で視力検査を受ける。
「それでは開始しますよー」
君を担当するのは、紺色のブレザーの制服を着た同級生の女子だ。
君と彼女との距離は、五メートルほどある。
「切れ目のあるほうを答えて下さいねー」
おとなしそうに見える黒髪の女子は、壁にある細長い指標を視力指示棒を使って指した。
「上」
君は言った。
「正解です。上だから、たくし“上”げをします」
女子は視力指示棒を近くの台に置き、両手で紺色のスカートをたくし上げた。
同色のハーフパンツの裾が、君には見えた。
彼女は長めのスカートを戻し、再開する。
「次、行きますね」
「下」
君は答えた。
「正解です。下だから、“下”着を見せてあげます」
再び女子は棒を台に置き、両手をスカートの中に入れた。
制服の中に着た体操着の半袖とハーフパンツを強引に上下へと引っ張って、君に内側の下着を見せる。
白い下着だと分かった。
晒す時間はすぐに終わり、女子は視力検査を続ける。
「お次は、こちら」
「左」
君は伝えた。
「すごい、また正解です。左だから、“左”手だけでスカートをつまみます」
女子はスカートの左側……君から見たら右側を持ち上げて、君に紺色ハーフパンツを見せた。棒は反対側の手で持ったままだった。
「次、行きます」
「……右」
君は口にした。
「よく見えましたねー。右なので、“右”手で……」
女子は棒を台に置き、君のほうに近づいて来た。
すごく近寄って来た。
密着した。
彼女は君の真横にいる。
「ごめんなさい。右手で、耳たぶを引っ張りますね」
そうして、君の左耳たぶに、彼女は口を近づけた。
「おめでとうございます。視力、1.0です」
聴き心地の良い囁き声だった。
「これで視力検査は終了です。……今度は、私の身長体重を測定して下さいね」
君の心の弾みは、まだ止まらない。
(終わり)
この後は、きっと彼女が測定のために制服を脱ぐのでしょう。ご自由に妄想して下さい。
本作は、自分で書きながらも、視力検査ってこういうのじゃないでしょ、って思いました。
同じ測定ものでも、別作品『公爵令嬢が身体測定で平民に責められる!』とは全然違います。まだ読んでいなければ、そちらもどうぞ。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。