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「僕」の過去

物語の構成を考えてたら更新が遅れちゃいました。少しずつ進めていきます。ブックマークとかいいねしてくれたらなぁ

 天界はいつも明るかった。頻繁に来るわけでもないのに、記憶に残るような場所。それは、僕たち「七神」が同時に集う場所であった。

 人間を統治する計7柱の神々、「七神」。だが実際は1柱欠けており、実質6柱で統治している。皮肉なことに、1柱欠けていることもおろか、七神が存在することすら人間には知られていない。

 一応、人間界にも神や神話などの単語があるにはあるが、どれも実話の神話を掠めたものばかり。

 だからといって、それらが偽物の神話であるとは言い切れない。その理由としては、自分たちが統治してきた500年間の以前は誰が統治していたのかは分からないのだ。もしかしたら、その空白の期間には、創った神話ではなく本当にあった神話があるのかもしれない。

 カンッ……。

 自分の歩いたところから甲高い音がする。ただそれだけでなく、魔術を使うためによく自分が使う杖も原因なようだ。

 少しずつ天界の広間に近づいてきた。そのためか、僅かに自分の歩く音のテンポが上がった気がした。

 次の瞬間、自分に大きな何かが飛んできて僕は倒れてしまった。転んだのは久しぶりだ。常に魔力障壁を使っていたはずなのが、他の神に会えるのが楽しみになって疎かにしてしまったのかもしれない。

 「重いな…」

 七神の内の1柱、草神兼魔術神フォールはその細い腕で、ぶつかってきたものをどかした。しかし、そのものというのは物ではなく神だった。

 飛んできたのは七神の内の1柱、風神テンペスタス。風流を愛し、「風」を統治している神。フォールに似た、その華奢な体は、金色の血で覆われていた。

「テン……?」

 フォールはいつものように彼を愛称で呼んだ。しかし、いつものように「フォール」という愛称で返してくれる彼の姿は見れなかった。

 なにがあった?

 フォールは原因を探るためにテンが飛んできた方をおもむろに見る。

「え……」

 天界の広間が金色で染まっていた。ぐったりと横たわる七神たちがそこにいた。血まみれでよく顔が見えない。でも、I柱の胸に突き刺された一本の銀色の剣はよく見えた。僕は呼吸を忘れてしまったかのように、少しずつ息が苦しくなってきた。

 誰がこんなことを…?

 神は死なない。それが僕の持論だ。自分を信じろ。ただ再生が間に合ってないだけ。自分のやるべきことをしろ。

 剣が胸に刺さった神のもとに這いつくばりながらゆっくりと近づく。血だらけの顔に対し、銀色の剣は血がついていなかった。

 このことについて、ひとつ思い当たる節がある。神を致命傷まで追い詰め、かつ汚れることも壊れることも無い武器、「神器」。炎神が七神のために製作した七つの武器。それは神々が神器で互いを牽制し合うことで、裏切りをなくそうという魂胆で作られたものだった。

「何が牽制だよ…牽制できてないじゃんか…」

 フォールは手にギュッと力を込めるも、すぐに力を抜いた。さらに剣に近づき、誰の神器であるかをよく見る。

 疑いたくはなかった。七神の誰かが裏切るなんて。でも、その銀色の剣は間違いなく神器グラム、つまりは七神の内の1柱、闇神テネブラエのものであった。

 もうダメだ。七神の中で欠けているのは神々の王である水神。今は代理で僕が神々の王となっているが、テネブラエには勝てる気がしない。いとも簡単に七神の何柱かを相手して、全員に致命傷を負わせる奴なんかに手も足も出ないだろう。

 あぁ、水神が居てくれたらどうにかなったんだろうか。テネブラエがいとも簡単にこの最悪の事件を成し遂げたように、水神はこの状況から簡単に脱却出来るのだろうか。僕の存在した価値は…ないのだろうか。

 フォールはなにかに侵されたようだった。全ての闇を取り込んだかのように。

「テネブラエ?」

 突拍子の無いフォールの言葉に、後ろにいたテネブラエはうろたえながら答える。

「なぜわかった?」

「テネブラエならこうすると思って」

 テネブラエは自分の思考を読まれていることに驚いた。

「ならわざわざ術にかかる必要はないだろう」

「話が…したくて」

 フォールが少しずつ、術式に堕ちているのは誰から見ても分かる。なのになんだコイツは。()()()ごときが「話そう」とか、そんな言葉を使うんじゃねえよ。

「話す…つもりは無い…の?」

 息が上がってきてるのに何言ってやがる。

「なら、こっ………って…」

 何を言ったか聞き取れなかった。なにかをしようとしているのか?

 次の瞬間、模様のようなものが自分の周りに現れた。

「なんだこれは?!」

 テネブラエは焦燥感と恐怖に支配されて口走った。

「テネブラエ…が力を隠して…たように…僕も隠してたからね…」

 意識がとおのいていく。そういえばフォールは代理とはいえ、神々の王。相当強いことは間違いないのに…俺としたことが…


 フォールは意識がとおのいていくなかで、自分の使った「魔術」に、誤りがないことをおもむろに確認した。

 「輪廻転生」――魂を切り取り、別の時間軸に移動後、その時間軸に肉体を生成し、そこに宿るという、成功確率は0といっても過言では無い魔術。さらにその対象を個人ではなく、一定範囲内に発動し、魔術陣をわずか数秒で完成させた。正直、どこか見逃したミスがあってもおかしくはない。

 もし、この魔術を使わなくても、この体はそのうち回復はするだろう。ただテネブラエの方が回復が速かったら?テネブラエなら致命傷を負わせた神をどうするかくらい計画を練っているだろう。その場合はテネブラエに完全敗北することとなる。そんなことは絶対にダメだ。他の神の無念を晴らせない。それを晴らせない限り、僕は死ねない。

 転生してでも、テネブラエを改心させてやる。

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