さりげない手
この世界は、とてもとても素晴らしい世界だった。
誰もが行きたいと思う世界。
そんな世界を目指す1人の男性がいた。
違う世界線から理想の世界線へと移動するために、この男性は、いくつかの実験をしていた。
実験を重ねるが、一向に別世界の扉を開くことがなく、男性の時間だけが虚しくすぎていった...。
「私も歳だけ取っていって、何も達成できなかった....」
そう落胆していると、男性の肩に優しい手の感触が伝わった。
男性は、その感触を確認するかのように後ろを振り向いた。
しかし、そこには誰もいなかった....。
なんだか分からない気持ちになった男性は、
「この世界をもう一度だけ楽しむか」
と一言呟くと、実験をやめて自分のベッドに足を運んだのでした。