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【連載版】私は脅迫されております!  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売


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いつもお読みいただきありがとうございます!

「では、目安箱に入っていた要望書を読み上げます。あ、こちらは殿下の婚約者や側近を狙う令嬢令息達からのラブレターです」


眼鏡の令息が箱からカゴに分けた要望書を手に取る。こちらと指示されたカゴには十枚ほどの紙が入っていた。意外と沢山ある。

王子は眉を少し上げただけで、ラブレターにはそれ以外の反応を示さなかった。


「『ジェンキンス伯爵家の姉は義理の妹をいじめている。あのような貴族の風上にも置けない令嬢が退学にならないのはおかしいのではないか』」


「「「は?」」」

「え?」


三人の男性の声と私の声が被る。


え、目安箱ってもっとほら「授業料下げて欲しい」「入学金下げて欲しい」「食堂の料金下げて欲しい」って意見が出てくるんじゃないの? あ、諸々の料金下げて欲しいは私の願望か。

でも男爵家や子爵家、うちみたいな貧乏伯爵家にとっては結構キツイんだよね。でも、学園卒業していないと就けない職種もあるし。一人前だとみなされないし。よほど病弱じゃない限りは皆通うよね。


「退学規定に抵触していない限り、退学にならない。それほど酷いことをしているというのか?」


退学規定って結構なことをしないと抵触しないはず。高いお金をふんだくる学園だもの。

聞いたことあるのは、令嬢の髪を切ってしまった女子生徒は退学になってたわね。痴情のもつれだったけど。


「ここに書いてあるのは、『愛人の娘』と義理の妹を蔑む、教科書などを破く、ドレスを使い物にならなくする、持ち物を奪うなどです。最近、階段から突き落した騒動がありましたよね、あれも書いてありますね。あれが発端でこの目安箱に入れたのでしょう」


最後の階段から突き落とすが傷害だから退学規定に抵触するかもしれないけど、他はまぁ……よくあるわけじゃないけど、まぁ……あるといえばあることよね。


「ふーん、そうか。ユージーン、ジェンキンス伯爵家の姉と義理の妹とはどういうことだ?」


あー、ウワサは聞いたことある。私、友達いないけどこのウワサは聞いたことある。


「姉であるシャロン・ジェンキンスが五歳の時に伯爵夫人が亡くなり、伯爵はその後再婚しました。その再婚相手との連れ子が義妹とされていますが、この再婚相手とは夫人が亡くなる前から関係がありました。つまり義妹とは異母妹のことになります」


「うわ、揉める典型なやつっすね~」


騎士団長の子息、アーロン様だったかな? どう見ても熱血系だけど喋りやすそうな方ね。


「そうか。ただ、教科書が破かれたり、階段から突き落とされたりしたにしては被害届が出たと聞いたことがないな」


「被害届は出ていないようです」


「変だな。被害届を出して精査されて受理されれば内容によっては姉を謹慎や退学にできるだろう」


「伯爵家なら婚約者がいるんじゃないっすか? 婚約者は姉を諫めるとかしないんすか?」


「学園で婚約者は義妹とよく一緒にいるところを目撃されている」


「うわぁ、絶対揉めるやつ、こわ~」


「兄のせいなのか? なんで兄みたいなことがそんなに起きるんだ?」


主に、王子・ユージーン様・アーロン様の三人が喋っている。ジェンキンス伯爵家の姉妹は私達とは学年が違い、建物も違うので情報が入りづらい。それに伯爵家や子爵家、男爵家って数が多いもの。うちもその中の一つだし。下の下の伯爵家。


入ってこない情報を補足しているのはユージーン様で、アーロン様は素直な感想を述べている感じだ。

眼鏡の令息もほんの少し会話に参加している、一言だけだが。

会計の女子生徒、大人しく奥ゆかしいと定評がある侯爵令嬢はほとんど発言しない。というか私にお菓子を出してくれた以外、発言していない。


「何か知っていることや気になることはないか?」


王子が侯爵令嬢に話を振る。そういえば王子に婚約者がいないからラブレターがあんなに届いているのよね。アンネット嬢がそのまま第二王子の婚約者になるのかと思ってたけど、そうじゃないならこちらの侯爵令嬢も候補なのかしら。


「……そうですね、伯爵家の姉妹問題なので何とも。学園でウワサがかなり広まっているのは事実です」


確かに伯爵家の姉妹問題、つまりは家族の問題なので高位貴族は介入したり、目を向けたりすることはない。親戚であれば別だけど。

これが後継者争いにまで発展して姉と妹がそれぞれ高位貴族の後ろ盾を得て争えばまた話は別だ。


ただ、今の所はまだ家族の問題だ。というか伯爵の下半身の問題、いや親がしっかりしていないのが問題では?と言いたくなる。ここまで家の恥とも言える部分がウワサになってしまっているのは痛い。


「そうか。君はどう思う?」


見学なので安心して焼き菓子を頬張っていると、王子は私に話を振ってきた。え、私、見学ですよね?


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