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「あなたは生徒会で彼女と一緒だものね」
王妃は納得したようで頷いている。
「あなたは災害補助金についてはどう考えているのかしら?」
頷いただけでは終わらなかった。
あんなネックレスや髪飾りつけて頷いたら肩凝らないのかな。
「適正に補助金が運用されているのかが気になります。ですが、毎回職員を派遣して確認するのも現実的ではないでしょう。そこが課題かと。やはり、専用の部署は必須ではないかと思っています」
さらさらとネメック侯爵令嬢が答える横で他の令嬢たちが緊張している。
そりゃあそうか、どう答えるかで将来が決まるかもしれないもんね。同じことを話しても王妃に好印象は与えられない。
「確かにそうね。そこまでは部署も把握していないでしょう。あなたはどう?」
王妃は次の令嬢を当てる。
「備蓄をしっかりしておけばいいのではないかと考えております」
次のご令嬢は模範解答だ。模範解答は理想論だけどね。
「備蓄は大切ね。でも、洪水でダメになったらどうするのかしら。土砂災害で備蓄用の倉庫がつぶれてしまう、水に浸かることもあるでしょう。それに何より足りない可能性の方が高いわよ?」
王妃の発言はもっともだ。うちも備蓄ダメになったな~。それに、豊かな領地でない限り前年度が豊作でなければしっかり備蓄できているかも怪しい。
そんなことを考えつつ、両脇を観察する。ボンボン王子は真剣に令嬢の話を聞いている、うん、座ってる場所はダメだけどあるべき姿勢だよね。
ユージーン様は話が途切れた時に私の前に食べ物を置いてくれた。というかこの人、私には食べ物与えておけばいいって本気で思ってる節があるわよね。
アーロン様は気にせずサンドイッチを一口で食べている。ニコラさんは笑顔だが、足でアーロン様のつま先を踏んでいるらしく足がグリグリ動いている。
ん? 私、多方面に気を遣っちゃってるけどよく考えたら騙されて連れてこられたんだから、こんなに気にしなくって良くない?
ボンボン王子もユージーン様も何もしないで座ってるんだから。私が気にしたところで中座して帰れるわけでもない。
ふむ、そうと決まれば遠慮なく目の前のお菓子やら美味しそうなブツをいただきましょう!
ユージーン様がお皿に載せてくれたものから食べる。何が入っているのか全く分からないが、大変美味しい。なんだろう、このゼリーみたいなやつ。
見られていないものの王妃の前なので、ガツガツではなくモソモソ食べる。持って帰りたいけど、言える雰囲気でもないのでお腹に入りそうなものは全部食べる。
「まぁ……不勉強な上に相手のことを笑うだなんて。そんなに人より優位に立ちたいなら他のお茶会でやって頂戴」
ん? なんか不穏な空気になってません?
色とりどりのマカロンから無理矢理、視線を外そうとする。マカロンってさ、なんであんなに口の中でサクッと早く消えるのかな? 美味しいかどうかわからないうちになくなるから悲しい。
あ、マカロンから目が離せてなかった。
次は緑のやつを食べようと決めて今度こそマカロンから目を離すと、一人の令嬢が青ざめて震えていた。
すみません、またトラウマになりそうなんで帰っていいですか……。




