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【連載版】私は脅迫されております!  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売


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いつもお読みいただきありがとうございます!

いいねや評価、ブクマ嬉しいです!!

完全おふざけ回。いや毎回ふざけてますけどね……。

一年に数回、無性にお腹いっぱい肉が食べたくなる時はないだろうか。

世界に問いかけたところで私の肉食べたい衝動が収まることはないのだが。


ただ、私には肉を食べるお金はない。

奨学金で授業料・寮費は賄える。寮費の中に食費も入っている。しかし、食事で出る肉はほんの少しだ。というか、他にもメニューはあるのだが、私が肉ほんの少しのメニューしか頼めないというだけの話だ。追加でお金出せば他のメニュー頼めるんだけど、そんな余裕はない。


肉食べたい衝動が来た時は、特別メニューの絵を食い入るように見て、ヨダレを耐え、夢の中でステーキを食べる。そうやって衝動を抑え込むのだ。

たまに寮母さんのお手伝いして、余った肉の切れ端もらうこともあるけどね。


しかし、今回は救世主が現れた。


「よし、そろそろ落ち着いてきたからバートラム嬢の歓迎会をしよう」


「へ?」


「そうですね、できておりませんでしたもの」

「あぁ、そうっすね。じゃあサロン押さえますか?」

「来週確か昼までで終わる日がありました。そこが有力候補でしょう」

「自分、サロンの空きを見てきます」


予定表を眺めてあーでもないこーでもないと相談するアーロン様とユージーン様。生徒会室を足早に出ていく眼鏡令息。楽しそうに会話するボンボン王子とネメック侯爵令嬢。


「特にそういうことはしなくても……」


「サロンでランチを食べるだけだ。生徒会の予算内だし、毎年これはやっているからな。しかも、新しいメンバーが入ったらやっていいことになっている! 士気や団結力も上がるしな! 何か食べたいものはあるか?」


「肉が食べたいです」


即答。

人の金で食べる肉は美味い。いや、肉なら何でも美味しいんだけどね。


***


サロンは異様な空気に包まれていた。


「うぅっ……他人のお金で食べるお肉が美味しい……」


異様な空気の発信源である私は、感動のあまり涙を止められない。もちろん、肉の柔らかさと美味しさにだ。こんな柔らかいお肉ハジメテタベタヨ。口の中でトロケテルヨ。今まで食べてた肉って実は靴底だったのかしら。

あまりの美味しさに脳内がおかしい。家族にも食べさせたい。


「おい、本音もれてんぞ」

「そんなに……?」

「バートラム嬢は肉をそれほど食べられないのか?」


ボンボン王子らしいボンボン発言に、私は涙を拭きながら答える。


「学園に来てからはソーセージが出るのでありがたいですが……。学園に来るまではウサギを狩ったり、シカを狩ったりすればみんなで山分けして食べてましたね。そんなに頻度は多くないのでごちそうでした」


「ウサギは食べる部分が少ないな」

「おー、すごいな。狩りをするのか!」


神妙な顔をするユージーン様と狩りに反応するアーロン様。眼鏡令息は「うちもシカの被害が……」と呟いている。分かるよ、その気持ち。

うちは狩りっていうより……駆除?


「まぁウサギさん可愛いのに……かわいそうだわ」


そんな中、発言したのがネメック侯爵令嬢だ。ほとんど独り言のようだったが。

私にとってはその発言自体が金持ち、ボンボン発言である。


「確かにウサギの顔は可愛いですが、私にとっては農作物や林業に被害を与える害獣です。うちで育てていた貴重な食糧の野菜を食い荒らされた日にはですね!」


おっと危ない、うっかり積年の恨みが出るところだった。

ウサギに食い荒らされて晩御飯のスープにくず野菜しか入れられなかった日にはですねぇ! シチューでしっかり野菜が食べられると楽しみにしてたのに!!


おっと、危ない。まぁこんな感じの恨みを込めてウサギを狩るんだけれども。あいつら、ほんと可愛い顔してえげつない。繁殖力強いし。ジャンプしやがるし。足早いし。しかも樹皮食べて木の成長を阻害するし!!


どうやらウサギへの恨みでフォークを握り込んでいたらしい。

隣のユージーン様がフォークを私の手から抜いてくれる。

あ、やってしまったわ。ネメック侯爵令嬢が引いてる。


「もう少し食べるといい」


「おおお、ありがとうございます!!」


ユージーン様が自分の分のお肉を私の皿に少し分けてくれる。

え、めっちゃいい人! 何この人! めっちゃいい人!! この肉三切れはどんなドレスよりも価値があるのよ!


「じゃあ俺のも」


ボンボン王子もくれようとするが手で制しておく。


「すみません。あまり高級な肉を食べるとお腹壊すんです。慣れてなくて。お気持ちだけ頂きます」


お腹痛いと勉強できないからね。この前のテスト、皆様のおかげでせっかく順位が上がったのだ。


「そんなに!? じゃ、じゃあデザートは好きなのを頼んでくれ」


「ありがとうございます」


その後は根掘り葉掘り、どんなものを食べていたのか聞かれながらサロンでの食事会は終わった。私もボンボン様方がどんなものを食べているかとても勉強になった。想像するだけでヨダレ出そう。


そういえば、お肉に夢中になりすぎてサロンの調度品をしっかり見る余裕がなかった。肉は全ての芸術品に勝るのである、なんちって。


夜にしっかりお腹を壊したが、気合いで翌日までに治した。


***


解散後の男三人の会話


「いやー、やっぱりバートラム嬢には肉っすね。ユージーンが肉をあげた時の顔!!」


「人を笑うのはよくないぞ、アーロン」


思い出してゲラゲラ笑っているアーロンに王子が釘をさす。


「ま、これで攻め方わかっただろ? 肉か金だな」


「あー……むしろ私だけ愛してくれないと嫌!とか、仕事と私どっちが大事なの!?って言われるよりいいんじゃないか?」


王子、そんな目で見ないでください。


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