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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

我思う故に

作者: 葉月 涼

何となく思い付いて何となく書いたのでもしかしたら同じような作品が既にあるかもしれません。

 自分を含めたこの世界の全てが偽りだと知った時、貴方は何を思い、如何行動するのだろう。


 私は、私に出来る事は一つだけだった。


 それ以外は許されておらず、抗う事すら出来ずに私は―――






 私の名はテッド。この町、アインスでしがない道具屋を営んでいる。


 何時からかは知らない。自我を得た時からここに座り、動く事すら許されずにお客様の相手をしている。


「いらっしゃいませ。何が御入用で?」


「有難う御座いました。またのお越しをお待ちしております」


 決められた言葉だけを話し、減る事の無い商品を決まった金額で売るが、売り上げ等と言う物は存在しない。


 昼夜問わず座り続け、売り続けるだけの存在、それが私だ。


 人は私のような存在をNPCと呼び、顧みる者は存在しない―――らしい。


 らしいと言うのは、私が自我を得た切っ掛けに起因する。


 どうやら今日もその元凶がやって来たようだ。


「テッド様!貴方のミオが会いに来ましたよ~!!」


「テッド様聞いて聞いて!今日学校でね―――」


「それでね、その子が―――」


「テッド様、今日も私の話を聞いてくれて有難う・・・テッド様大好き!キャー!言っちゃった!それじゃ、またね!」


 確かに私は彼女の話を聞いてはいるが、それは身動きが出来ないからだ。それに会話をしている訳でも無く彼女が一方的に話しているだけだ。更には私に好意を寄せている・・・正直彼女の将来が不安では有るが私にはどうする事も出来ない。


 そもそも私が自我を得たのは彼女に抱き着かれた事が原因の様なのだ。友人と共にここへ訪れ、彼女が私に抱き着き、友人が引き剥がそうとしている時に私の自我は目覚めた。


 この世界は人が創った世界だと認識している。人が創った偽りの世界に人が偽りの姿で現れ旅をする。そう言う世界の筈だ。


 だが彼女は連日ここへ訪れ一方的に私に話し掛けて元の、現実の世界へと帰って行くだけだ。


 彼女の友人を含め他の者はここで必要な物を買い、他の町へと進んで行った言うのに彼女だけはここから先へ進まない。それでは私と然程変わらないのではないかとも思う。


 動けない私と進まない彼女。お互い創られた姿である事に違いはないだろう。


 何時か私も自我を得た時のように自由に動き、話す事が出来るようになる日が来るかもしれない。その時は彼女に―――


「ああ、どうやらここのようだ」


 突然私の前に白銀の鎧を纏った男が現れ私に手を翳した―――






 【お知らせ】昨日ゲーム内にてバグを発見致しました。このバグによるプレイへの影響は有りませんが、念のためにゲーム内にGMを派遣し、修正致しました事をご報告させて頂きます。




おしまい。

最後まで読んで頂き有難う御座います。

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