見知らぬ神の話
「次は、世界の調整ですか」
「げ、面倒なのが来たな、何年ぶりだ」
「前は確か、百二十年位前じゃなかったかしら」
「正確には百十九年。全員でとなると八百五十二年ぶり。でも、次は少し特別かもしれない」
「そうだよ!次は魔法系の世界だって!楽しみだね!」
「そうか?魔法系の世界は常識を覚えるのがな・・・」
「・・・(すぐに覚える。問題ない)」
「楽しめばいいのさー。楽しめばー」
「少し長目の仕事になるから、久々にゆっくりできるかもしれないね」
「ええ、悪魔たちが介入してこなければ、ね」
白い床、白い壁、白いテーブル、白い椅子。
影もなく、光もない空間。
それなのに、テーブルや椅子に施された彫刻や天井に描かれた絵画、壁面に飾られている石像は光も無いはずなのに、凹凸がはっきりと明瞭に見え、その技巧の高さが伺える。
その空間には、椅子に座る十人の存在がいて、人型に見えるそれらは、これからの仕事についての打ち合わせをしていた。
その中で、白に近い水色の髪と目をした青年が全員を見ながら、確認するように話す。
「悪魔達の介入は否定できませんが、今回はあちらの世界の神々との取り決めや、因果律の調整も済んでいるようなので、悪魔達の介入は限定的でしょう。基本的には穏やかな世界にしたいという要望は上がっていますが、何かあれば、私達の判断で動いて構わないそうです。ですので、世界の調整は基本的に各々の判断で行うことにしましょう」
青年の言葉に全員が頷くと、「連絡は以上です」という言葉を最後に、全員の姿が消えた。
最初から、そこには何もいなかったかのように。