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2話 猫は突然現れる

依頼者が帰った後、2人で情報共有をしていた。

「ローズという名前の三毛猫のオスです。首輪はブランド物をしていて、特徴としては背中にハートの模様があって、人懐っこいことです。特に男性に擦り寄るらしいです。」

写真を見ていた弘樹は、ふと猫の種類が気になった。

「もしかして、この猫って珍しい猫か?」

「ええ、三毛猫のオスは生まれる確率が3万分の1なのでかなり貴重ですね。1匹1千万円で取引されていたりもしますよ。」

と聞くと彼は驚いていた。

三毛猫のオスは、繁殖力があまりなく遺伝する可能性も低いので滅多に出会うことはできない。

「あれだけの金額を出すのもわかる気がします。それよりも驚くべきところは他にあるのでは?」

「驚くことか?別にないだろう」

彼は気づいていなかった。

探す猫の情報に1か所違和感があることに。

「いや……メス猫が男性に寄りつくならまだしも、オス猫が男性に寄りつくのはね~」

と言いにくそうに彼から目をそらしながら言った。

それを聞いてやっと気がついた。

「まあ……そう言われてみればな。でも、相手は猫だから!人だったらちょっと俺は手を引くが」

そして地図を出して依頼人の家の確認と探すエリアを決めていこうとした。

「じゃあ、いつものエリアを探すか」

と言って

「俺は裏路地探すから、大通りを頼む」

「私が探すより、サボってばっかりの江崎さんが探すほうが猫も出てくると思うので私は事務所にいますよ」

そう言って、彼女は残っている帳簿の整理を始めた。

彼はしぶしぶ事務所を出て行き、裏路地でいそうな場所を探し始めた。

「ローズちゃん出ておいで~」

と言いながら、大きめの鰹節を持って歩き回っていた。

30分ほど歩き回ったが、全く猫の気配すらなかった。

「あ~もうどこにいるんだよー!」

諦めながら近くの自動販売機でコーヒーを買って休憩をしているとズボンのポケットに入れているケータイが鳴った。

「もしもし~」

『猫見つかりましたか?』

声の主は、事務所で帳簿整理をしていた だった。

「全く見つからないな、いつもなら猫1匹くらい見るのにそれすら……」

『整理が終わったから大通りでも探してきましょうか?』

と仕方なさそうに彼に言った。

そして、2人で別々の場所を探すことになった。

路地を探していると突然彼の目の前に何かが飛び出してきた。

「ミニャー」

そのまま飛び出して、彼の足元にすり寄ってきた。

飛び出してきたのは猫だった。

だが、ただの猫ではなかった。

背中を見るとハートの模様があり、ブランドの首輪がついていた。

その猫は依頼で探していた三毛猫のローズだった。

足元に寄っているのをそっと抱き上げて

「お前はどこまで遊びに行ってたんだよ~探したぞ」

といって、抱きかかえて連れて帰ろうとした時

「その猫をよこせ!」

突然、彼に向かって大きな声で言ってきた。

「この猫は渡せるかー!依頼主から頼まれて探していた猫だ!」

「こっちだって、その猫を探して連れてこいって言われてるんだよ!」

と相手は若いがいかつい顔の男性だった。

ただ、彼の周りには何人かの柄の悪い若者がいた。

そして、江崎の嫌な感が一瞬頭をよぎった。

柄の悪い男=ろくなことにならない。

「絶対に渡せないからな!」

と言って全力で大通りに出て事務所に帰る道に出ようとした。

その瞬間、バンッという音がした。

それと同時に彼の足元ギリギリに弾痕があった。

撃ったのは若者の1人だった。

「おいおい、そんなの反則だろう」

と言いながら、猫を抱えた状態で人通りが多い大通りに出た。

スマホを取り出して、綾に電話をかけた。

「猫見つけたから事務所に帰って鍵開けておいて!」

『あっ、はい』

と彼が焦って電話を切ってそのまま走った。

相手は急いで捕まえろと言わんばかりに追いかけてきた。

彼はあの瞬間、全員が銃を持っている可能性を考え人混みの中に紛れながら事務所へ戻った。

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