表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

1話 依頼は猫探し

古い雑居ビルが並ぶ1室に探偵事務所があった。

「今月も支払いでギリギリですよ!」

と大声で怒鳴っている女性がいた。

その声は事務所の外まで聞こえていた。

「まあ、依頼が2件くらいしかなかったからな」

「2件の依頼でも1件はタダ同然でやってましたよね!」

この2人、探偵事務所の探偵と助手。

実際は助手というより事務員。

請求書の束を持って、怒鳴っているのが我妻陵あずま あやあ

そして、怒鳴られながらあまり聞いていないのが江崎弘樹(えざき ひろき)

1か月に1件か2件探偵の仕事の依頼が来るが、生計を立てているのは探偵としてではなく何でも屋としての依頼だ。

実際、探偵事務所と書いているが何でも屋の仕事ばかりだ。

そして、彼女が持っている請求書の束は彼が聞き込み調査での飲み屋代が大半だった。

「で、ティッシュ配り行くんですか?」

ため息をつきながら、彼女は言った。

「今日はなんか行く気が~」

と言いながら、パソコンでネットニュースを見ていると突然

「ごめんください」

とポチャッとしたふくよかな女性がドアを開けた。

いかにもお金持ちというような格好の女性を彼女は応接セットに案内した。

彼は自分の机から動こうとしない。

それを見た彼女は、仕方なく机の上においてあるバインダーを手に取り、女性の用件を聞くことにした。

「えっと、何か依頼ごとがあってこられたんですよね?」

「うちの猫ちゃんが居なくなって、それを探してほしいんです」

「はぁ・・・猫探しですか?」

とあまり乗り気ではなかった。

それもそのはず、猫は気まぐれな生き物であり、狭い場所とかにも行ける。

見つけ出すのはまず無理に等しい。

しかも、見つけたとしても仕事量=報酬ではない。

それを知っているから彼女は猫探しの依頼は嫌だったのだ。

この事務所自体が赤字に近い状態だから尚更だ。

だが、自分の机から動こうとしないこの男の返事はこうだ。

「どんな猫か写真を、あと首輪とか何か特徴があればそれも教えてください」

といって受ける気満々だった。

そっと彼女が近づきバインダーで口元を隠して

「猫探しよりももう少し良い仕事を請けましょう。

 これだと採算取れないどころか、赤字に向かっていく一方ですよ。」

と彼の耳元で囁いた。

「まあ、仕事がないよりかはましだろうし、見つからなければそれでいいじゃないか」

そういいながら、彼は依頼者の元に行き猫の好物や行きそうな場所を聞いた。

そして、最後に報酬の話をしていた。

「報酬なんですが、要望としてはどのくらいですか?」

ここの報酬はほぼ依頼主が決めた金額で決まる。

ただ、依頼内容によって最低金額は彼らの中であるらしい。

「50万でお願いしたいのですが」

「ええ、50万・・・えっ!50万?!」

と2人は声を揃えて言った。

猫探しの依頼で良くても5万だが、それが今回はその10倍の額提示された。

そして、2人はその依頼を受けることにした。

「じゃあ、お願いします」

と言って依頼者は帰っていった。

依頼者が階段を下りていったのを音で確認して2人は

「でっかい仕事きたー!」

と喜んでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ