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思いつきの短編

嘘から出たまこと

作者: 空音

いや、嘘って恐ろしいですね。

寝る前に思いついて一気に書きました。誤字脱字はすいません。

ある日、男は思った。

信仰心の厚いこの人たちならば、それっぽい恰好をして世界が滅びると言ったら信じるだろう。

それをいい事にお金を……。

いい事に、来月は日食と月食が同じ月にある。こんな事は滅多にない。これをネタにして……


男は白いローブに身を包んで群衆の前に立った

「来月、日食と月食が起こる。この時に世界の地軸は狂い、動物は暴れ、天変地異が起きるだろう。地球の危機がやってきます」

「私の話に耳を傾けて真摯な気持ちになりなさい。そう私を信じるのです」


そう言うと、信仰心の厚い人々は近づいてきて

「おぉ、そんな大変な事が起きるのか、どうにかしなくては」

「そう言って、総力を挙げて地球に地軸、磁場、日食、月食について詳細に調べ始めた」

そして、研究者たちが結論を出して、

「地球を救うためには今すぐ大規模な装置が必要になる」

と言った。


男は実際の所良く分かっていなかったが、こうなったら便乗するしかない。

「おぉ、神のお告げです。みなで協力してその装置を作り上げれば、地球を救うことができるでしょう」


男は思った。そんな事あるはずがないと。

しかし、日が経つにつれ、小規模な地震が頻発するようになった。

まさか…、とは思ったが、まさかそんなはずは無いと思い、逆にこれを利用しようと考えた。

「地球が震えています。装置の完成を急いでください」


人々は前にもまして、熱心に働いた。

その間、男は人々に差し出される食事を平らげて、神のお告げを聞くふりをしていればよかった。

日食当日、ぎりぎりになって装置は完成した。


「ありがとう、あなたのおかげで装置が完成しました。あなたの言葉が無かったらこの装置は無かったでしょう」

「いいえ、私は神のお告げを伝えたまでです。装置を完成させたのはみなさんです」


男は思った。装置を完成させるとは、いったいあの装置は何をするのだろうか…

それにしてもそれっぽいことを言っているだけで意外に信じるものなんだなと感じていた。


その時、地鳴りが響き草木が大きく揺れだす。

大変だ!地震だ!

男は急いで隠れようとした。


人々は思った。

「あぁ、これが地球の危機なのかと」


「装置を起動させろー」

大きな声がこだまする。


装置がウィィーンと動き出した。

そうすると不思議なことに、地揺れはおさまり静かな時が戻った。


男は地揺れの間、家の中に隠れていた。

人々が心配して家の方へ来る。


「神のお告げです。みなさまのおかげで危機は回避できました」


「おぉ!そうだったのか。やったー!」

そういって先ほどの装置を誰かが止めた。


そうするとまた地鳴りがこだましてくる。

人々は慌ててまたその装置の電源を入れた。


「これは、装置の電源を止められないな…」


人々は男へ聞いた。

「装置はいつになったら止められるのでしょうか?」


男は困っていた。まさか本当にこんなことが起きるなんて。

神のお告げなど初めから聞いていないので、地鳴りがいつ終わるのかなど分からない。

どうしようか困り果てていた。

とりあえず、時間稼ぎをするために

「まだ神のお告げではしばらく続くと言っています。次のお告げがあるまで装置は止めないでください」


そう言って、男は家の中へ入っていった。


「やれやれ、とりあえず危機は脱したが、装置が止められないとは困ったな」


男も困り果てていた、


「どうしたものか、ウソがばれる前に遠くに逃げなくては」


男はその夜、こっそり逃げ出した。

「遠くの町へ行こう。そしたら誰も俺の事を知らないだろう」


逃げ出している途中、小高い丘で休憩することにした。

あの装置を作った彼らはすごいな。

しかし装置を止められないとなると彼らはどうするのだろうか…


そこへ目の前に光を放った人が現れた。

「どうですか?嘘が本当になった気持ちは?」


「あなたは誰ですか?」


「私は神です」


「えっ!?」


「あなたが嘘をついていたので、その嘘を本当にしました」


男は茫然と立ち尽くしていた。


「あなたが改心するなら地鳴りは取り消しましょう」

神様は言った。


男はもうこりごりだった。

「申し訳ありませんでした」


そう言うと、神様はにこやかに立ち去って行った。

「やれやれ、もう嘘はこりごりだ」


これが嘘から出たまことというやつである。




そんなわけないでしょう~。チャンチャン


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