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詩集⑥

苦しくないよ

作者: 桜ノ夜月

暗い、暗い闇の中で


「痛いよ」


って、叫んでいた。


ーお前なんて大嫌いだ


ーこの役立たず



ーお前の菌が付いた



その沢山の言葉たちは、何時の物かはもう解らない。



小学生の時のもの。中学生の時のもの。もっと、ずっと昔のもの。



ずっとずっと昔の言葉たちが、耳の奥に貼り付いて離れないんだ。



ーごめんなさい



僕はただ、暗闇の中に蹲って、泣いていた。



ごめんなさい。



全部全部、僕が悪かったんだ。



運動が苦手で、クラスが一番になれなかったから。



勉強が苦手で、皆に迷惑かけたから。



僕がだらしないから。



皆に迷惑ばかりかけるのに、のうのうと生きているから。



ごめんなさい。ごめんなさい。



僕がばい菌だから。僕が太ってるから。



だから皆、嫌な気持ちになる。



全部全部、僕のせいなんだ。



責められたって、仕方無いんだ。



全部僕が悪いから。



僕が頭が悪いから。だから、グループで問題を解くときに遅くなった。


僕が太ってるから。だから、僕はばい菌なんだ。



皆を嫌な気持ちにさせちゃうんだ。



ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。



先生、ごめんなさい。



僕はやっぱり、強くなれなかった。



優しく、強くなるって、約束したのに。



ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。



ーお前なんて消えてしまえ



ーお前なんて大嫌いだ



ー気持ち悪い



嗚呼、もう、涙も出ないや。



先生、僕、もう、涙も出ないよ。



悲しくないよ。苦しくないよ。何も感じないよ。



先生、僕、優しくなれたよ。



誰のことも、悪口言わなかったよ。



皆の言うこと、ちゃんと聞いたよ。



ーねぇ、先生。



苦しくないよ。



ーねぇ、誰か。



「止めろ」って、僕を止めてよ。



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― 新着の感想 ―
[一言] この詩が創作ならばいい。 もし、そうでないのならば『止めろよ』と言ってあげたい。 そういう生き方はしんどすぎるから。
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