01「O川の滝壺に潜む影」
北海道道南函館のとある田舎町に住む一人の釣り好き少年がいた。
彼の名前は海晴という。とても変わり者で釣り一心に生きている。
釣りの事ならなんでもやり、どこにでも行く。例え雨の中でも雪道でも遠い所でも。そんな釣りバカ少年は見かけによらずそうとう釣りがうまいらしい?が釣り仲間の中では腕が低いのに一番釣れてる人でもあった。
友人の黒が海の漁港からはじめて30cmのヒラメを釣り上げたそれを悔しく思った海晴は一人で別の漁港に行き40cmのさらなるビックヒラメを釣り上げた。
またみんながボウズの時も海晴だけは小さな魚を1匹は釣り上げていて今年何回も釣りに行ったが一度もボウズの時はなかった。
また釣りの事に関して絶対の自信を持つほど物知りで普通の釣り人では見分けがつかないような魚でも瞬時に答える。
北海道の雪が解け桜が咲いた頃、海晴は一人ですぐそばのO川に出かけた。
街中でも20cm前後の岩魚が釣れるが海晴は少し上流の山へチャリを出して行くことにした。
行ったことのない場所だが釣れそうな場所を探して歩いてると隣にある木が何かに引っかかれたような跡があるのに気付いた。
更に獣道を歩いてると大きな糞が残されていた。
「間違えないクマだ」と確信し獣道をさらに歩くととうとうポイントを見つけた。
3mぐらいの滝で川底は2mはあり底が見えない。
「こんな小さい川にこんな場所があったなんて!!」
さっそく竿を出すと今まで味わったことがないほど魚影が濃い場所だった。
一投目で25cmの良型岩魚が釣れた。そのあとも3匹岩魚が釣れ、
もういないと思い竿を片付けるため竿をあげた。
その時、突然下から真っ黒の魚影が見えその瞬間竿が異常ににしなった。
糸がものすごいスピードで横へ走っていく、
切らさないようにゆっくり竿で魚を誘導し岸のほうへ持って行き魚を水面へ浮かせた瞬間、
その巨大な魚が大ジャンプしその時にハリスが簡単に切られてしまった。
しかしジャンプした魚は狂ったのか岸の方へ飛んでいき見てみるとそれはまさにその川にすむヌシのようだった。
60cmをゆうに超え巨大な斑点と大きく曲がった鼻。
パンパンに膨れ上がった腹。
巨大なアメマスだった。
そういえば昔どこかのおじいちゃんがこの川にヌシがいるって聞いた。
そのヌシは大きな滝壺を好み蛇をも丸呑みにするほど獰猛で人目のつかない山奥に住んでいると、
そのヌシが死ぬと川も死ぬと聞いた。
釣ったアメマスは逃がしてやった。
その巨体はもう1度跳ねて滝の底に消えていった。
今思うとその大岩魚が釣れたことに恐怖を感じる。




