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第十六話 射撃訓練

朝起きるとイーちゃんがメールが届いている旨を連絡してきた。

「東雲様から連絡ですぅ。昼休み中庭で待つですぅ」

東雲さん気が変わったかな?美里さんなら参加するように判断するだろうし。

眠たい顔を擦りながら、朝の準備を済まして部屋をでる。

太陽が昇ったばかりでとても清々しい。その中をジョギングする。

朝の早い時間の為、生徒の姿は見えない。

いつも走っているが他の生徒と会ったことはない。

通常訓練は午後にしているので、朝からトレーニングする生徒はいないみたいだ。

1時間ほど走った後、寮の裏手で型の練習をする。

いつものルーティーンを済まして、寮の部屋に戻り登校の準備をする。

『イーちゃん、出雲にいろは起こすように言ってや』

『ハイですぅ』

しばらくして、地下からいろはが出てくる。

「いろは、おはよう。ちゃんと寝たんか」

「3時間ほど。京、ショートソードできた」

寝ぼけ顔のいろはの手には刃渡り50センチほどの剣が握られていた。

「おおきに、助かるわ」

いろはからショートソードを受け取って、鞘から抜いてみる。

ショートソード自体はバトンくらいの重さで、刃は肉厚、刀身は黒味がかった銀色をしていた。

かるく、上から振るとブンといい音がして、手に馴染む。

「流石やな。いい仕事してるわ」

そう言って、剣をストレイジにしまう。

その後、制服に着替えた後、朝食を取る為に食堂に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


お昼になったので、中庭に向かうと昨日と同じように東雲さんが一人で昼食を取っていた。

「生徒会に参加する気になったか?」

「ええ、気が変わったわ」

「助かるよ」

俺は食事の終わった東雲さんと生徒会室に向かう。

生徒会室の中では相変わらず、会長が昼食を取りながら事務処理をしていた。

「会長、連れて来たで」

「少年ご苦労。東雲さん、初めまして、生徒会長をしている三井だ。今回は生徒会に参加してくれてありがとう」

「いえ、こちらこそ、お誘い頂きありがとうございます」

両名が挨拶をする。

「とりあえず、これで学園にいる唄姫は確保できたのか」

「ああ、全員揃ったな。東雲さんは唄姫については何処まで知ってるんだ?」

「椎堂君、唄姫とは何?」

東雲さんも知らんみたいやな。

「イーちゃん出てきて」

「ハイですぅ」

返事とともにイーちゃんが現れた。それを見た東雲さんは驚いた顔をしてこちらを見る。

「誤魔化さんでもええで。会長も唄姫のマスターやから」

ウイも姿を現す。東雲さんはため息を吐いて、キヨに姿を現すよう促した。

生徒会室に三人の唄姫が揃う。

「三井様、初めまして、唄姫のキヨと申します」

「ん、ウイと違って礼儀正しい感じだな」

「マスター、心外なの。ウイは礼儀正しいなの」

ウイが会長の一言で怒っている。

「東雲さん、唄姫の名称も知らんのなら細かいことも知らんよな」

「キヨと同型のサーバントが在ることも知らなかった」

東雲さんが何も知らないみたいなので、昼休みの時間を使って、昨日と同じく唄姫について東雲さんに説明した。

「大体はこんな感じやな」

「椎堂君、ひとつ良いかしら?残りの唄姫は何処にいるか解らないのは何故?」

そう質問してきた。

「その事か。いろはが普通の流通にばらまいたからや」

「鬼灯君は何故そんなことをしたの?」

「詳しくは知らんねんけど。自分の知らない人に使って貰わんと自分の欲しいデータがとれんゆうてたな」

「誰が使っているか解らないとデータも取れないと思うけど」

「ごもっともやな」

確かにいろはも出会わなければ、データも取れないはずなので、東雲さんが言ってることが正しい。

そんな話をしているといきなり、唄姫たちが消え、暫くすると、生徒会室に人が入る気配がする。

「うい~。ん、んん?この子誰?」

「追加の生徒会メンバー東雲さんや」

「東雲です。よろしくお願いします」

「おお、更に追加メンバー入れるんや。私は麻生礼、よろ~。八人パーティーなるの久しぶりだね」

麻生先輩が嬉しそうに東雲さんの手を握ってる。

暫くして生徒会のメンバーが揃い、東雲さんと皆の挨拶も済んだ。東雲さんいろはと挨拶するとき、顔が少し引き攣ってるたな。そらそうか。

「東雲さん、実力を見たいので模擬戦をやろう」

そう会長がいいだしたんだが、俺が東雲さんの射撃を見たいと言ったので、生徒会メンバーで射撃訓練場に向かうことになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


訓練場に入ると場内のあちらこちらから射撃の音が木霊し、硝煙の匂いがした。

各ブースの生徒は銃を構えて遠い的に向かって銃撃を繰返している。メンバーは空いているブースを二つ確保して、射撃訓練の準備をする。

「まずは東雲さんお願い出来るか?」

そう会長が切り出したので、東雲さんはブースに入り、射撃の態勢に移る。

構えてる銃はスナイパーライフル、いろはが作った唄姫の銃、《今》だった。銃の大きさは東雲さんの身長より少し小さい、彼女はその銃に覆い被さるようにしてうつ伏せになるとボルトを引き、スコープを覗いてトリガーの横に指を寄せる。パン、少し甲高い発射音がブースに響くと500メートルに設定された的に見事命中していた。

「流石だな。遠距離射撃でここまでの腕前とは」

ハンターには余り遠距離射撃が得意な人は少ない。基本、銃撃は威力より数である。長距離から魔物の急所に一撃で銃弾をぶちこむより、中距離からマシンガンで銃弾をばらまくほうが有効であると考えられている。

「東雲さん、これなんの冗談?」

柚先輩が青い顔をして聞いてきた。

ブースの上に設置されているモニターに先程の銃撃のダメージが表示されている。

「7652、スゴいな。大概の生徒、ワンキルできるで」

「京君、凄いですまないわ。通常の銃撃は100以下よ。こんな数値出るはずがないわ」

柚先輩がしかめっ面で応える。

「さくらさん、本気で斬りつけたらどれくらいダメージがを入れる」

「最高でも5000ぐらいかな」

通常、銃撃はマナを通しにくい為、直接武器で攻撃するよりダメージは低い。たから、数で勝負するのだが、《今》はその常識が通用しないようだ。

「柚先輩、的を良く見てみ。クリティカルボーナスついてんで」

「500メートルよ」

「スナイパーライフルなら、キリングレンジです」

東雲さんがしっれっとすごい事言うなぁ

「東雲、アウトレンジはいいとして、ミドルレンジはどう対処するんだ」

「立って打つこともできるんですが、反動がすごいんで命中率はおちますね」

「それでも、ミドルでもできるんか。おっ、いい感じで援護要員が増えたな」

そして、東雲さんが連続5回クリティカルボーナスを取得するころには会長と柚先輩が射撃のコツを聞くようになり他のメンバーも実力を認めたようだった。

「いろは、東雲さんどんな感じや」

「あの射撃技術はピカイチだな。あのレベルは防衛隊にも中々いないぞ。さすが美里さんが唄姫を託すだけはある」

「って言うことは、強敵ってことやな」

「いざと云う時は暗殺要員になると思うが、あからさま過ぎるな」

「本命は別やな」

「ああ、だけど、本命探しをする意味もないな。東雲さんもこのままで、美里さんへの連絡要員になってもらうよ」

「そうか。いろはがほっとくゆうならそれでかまへん」


いろはと話し合った後、近接組は模擬戦の為ドームに移り、残りのメンバーはそのまま射撃練習を続けた。


『東雲様の射撃は一級品ですぅ』

『マスターは射撃の天才ね』

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