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第十四話 唄姫

「あら、珍しく京君一人で先にきてるの?」

お昼休みが終わろうとしている時、柚先輩が生徒会実に入ってくるなりそう言った。

「そんなに、いろはと一緒にいるイメージついてんか?」

「フッフ、実際いるじゃない。恋人でもあんなに一緒にいないわ」

「そうでっか、今日は会長と事務処理しててん。いろははさくらと一緒やと思うわ。たまに席外さんとさくらが怒るしな」

「あら、仕事熱心ね」

「うぃー、みんな。あれ?京ちゃんが一人でいる?いろはちゃんは?」

「本当だな、いろはは休みか?」

麻生先輩と高倉先輩が入ってくるなり、そう言った。

「ちゃうちゃう、さくらと一緒や」

「そう言えば、さくらちゃんといろはちゃんつきあってるん?そう見えないけど?」

「付き合ってはないはずや。いろはには恋してる人がおるからさくらの片思いのはずやで」

「えっ、本当。だれだれ?」

「麻生先輩人のプライベートは言わんわ。後、さくらに聞くのもやめといてや。かなり荒れるはずやから、先輩あきらめや」

「うー、ケチ」

そう言っている間にいろはとさくらが来た。

「みんな揃ったわね。そしたらドームにいきましょう」

みんなが練習の準備をする。

「柚先輩、今日の訓練だが少年といろは君とでミーティングするんで他のメンバーでお願いできるか?」

「良いけど、三人でミーティング?」

「正確にはレクチャーやな。ダンジョンのあれこれを質問したいねん。だから会長に時間もろおてん」

「そうか、みんな行くぞ」

高倉先輩は疑問に思っている柚先輩を引っ張りながら、四人は生徒会室のを後にした。


『イーちゃん、監視と防音よろしくな』

『ハイですぅ』

その掛け声と共に、生徒会室に遮音フィールドが掛けられる。

「ん、遮音フィールドまでするのか」

「念のためですわ。いろは、すまんが唄姫について会長に説明することになったから付き合ってや」

「いいけど、それなら出雲も呼ぶか?」

「そうやな、呼ぼか。イーちゃん連絡お願い」

「ハイですぅ」

イーちゃんが姿を現して目をつむり、数秒後いきなりプロジェクターが起動して壁に出雲の姿が映される。

「えっ、誰だ?と言うか。どうやって映されてる?」

「初めまして三井様、出雲といいます。イーとウイの姉になります。ウイも出てきなさい」

「ハイなの」

ウイちゃんも姿を現した。

「ウイの姉?どう言う意味だ?」

「出雲それでは分からんわ。会長も詳しく説明するさかい。ちょとの間大人しく聞いてや」

そう言って、いろはに目配せする。

「ええと、会長。まず、唄姫シリーズなんだが俺が作った機能拡張型のサーバントなんだ」

「あい、サーバントを作った?」

会長が驚きのあまり、言葉を噛みつつ目むいてる。

「細かい技術的な話は置いといて、今のサーバントの機能に満足できなかったから、疑似人格、AIをメインフレームにして、課題ごとに特殊機能を持ったサーバントを作ったのが彼女たち唄姫シリーズ」

「えーと、驚きすぎて何から聞いたらいいかわからないが……。サーバントを作れるのも驚きだが、この唄姫のAIを作ったのも、いろは君なのか?」

「そうとも言えるし、違うとも言えます。唄姫のAIは出雲を元に、出雲と一緒に作ったんです」

「いろは様、それは謙遜がすぎますわ。ほぼ、いろは様が作ったと言って過言がないかと」

滑らかな笑顔で出雲が話す。

「ちょと、待ってくれ……、彼女もAIなのか?」

「通常のAIとは違いますが、大別ではAIですね」

「……………。いろは君、君は私を騙そうとしているのか?これがAIな訳がない。彼女の表情、仕草どうみても、人間の物だ。最新のAIなら、何度が見ている。こんな自然な動き、言葉のイントネーションは無理だ。どうしても、AIはぎこちなさがある。それに瞳がどう見ても生きている人間の瞳だ」

人形と意思有るものは目の輝きが違う。確かに出雲は意思有るものの目の輝きを持っていた。

「三井様、嬉しいですわ」

最高の賛辞を受けた人間のように満面の笑みで喜んでいる。

「会長、出雲はAIやで生身の体はないで、それに出雲自身は俺もいろはも居るのを知っとるだけで、作ることもできん。再現できん、正真正銘の突然変異や」

出雲の原型を作った者の名前は解ってる。作り方も。だけど、どう検証しても出雲のように意思有るものにはならない。故に、突然変異である。唯一、成功したのが劣化バージョンの唄姫シリーズなのだ。

劣化バージョンとは言え、出雲が凄すぎるのであって、唄姫シリーズでも、現在の世界技術からすれば、ハイスペックである。


「会長、出雲の事は置いといて唄姫シリーズに話を戻します。唄姫シリーズは俺たちが作ったんですが全部で八つあります」

「八つもあるのか」

「ハイですぅ。八人…………。出雲姉様入れて、九人姉妹です」

イーちゃん、出雲の睨みで訂正してるやん。

「そして、唄姫シリーズは外部装置に載せてあります」

といろはは次のように説明した。

  唄姫 外部装置  名 拡張機能

一 イー リボルバー 色 空間操作

二 チー 刀     散 近接攻撃

三 ワカ 鎧     我 総合機能

四 ツネ シールド  常 防御機能

五 ウイ 電探    有 探知機能

六 キヨ ライフル  今 遠隔攻撃

七 アサ 銃槍    浅 火力統制

八 ヨイ イヤリング 酔 認識阻害


「唄姫はウイのように拡張探知機ではないのか?」

「全くその機能がない訳ではないで。普通の電探よりはかなりの範囲を探索出来る。イーちゃんダンジョンでどれくらい探索できてた?」

「場所で色々ですぅ。平均で20メートルぐらいですぅ」

「確かに普通の電探よりも範囲が広いがウイよりも狭いな」

「ウイの探索は専門ですから」

「逆にイーのレジストリは一辺20メートルの立方体やからな」

「……………なんだって?普通、プロテクタと武器、アイテムぐらいじゃないのかレジストリに入れれるのは?」

「空間の広さじたいはマナでどうとでもなるんやけど、出し入れの管理が普通のサーバントなら会長が言ったぐらいが精一杯やな。空間が広がれば、その分、管理が難しくなるねん。簡単にゆうと家の中から、爪切り探す感じ?置場所わかってたら簡単やけど、置場所しらなかってら、めっちゃしんどいやろ。だから、何処に何があるかを管理し、直ぐに出し入れするイーちゃんが必要やねん」

「ウイは通常の倍で精一杯なの」

「そんな感じで唄姫は個々に特殊機能が違うんです」

「とりあえず、唄姫については解った。たが、残りの唄姫シリーズは何処に在るんだ?」

「五つは場所が解ってんねん。チーちゃんはさくら。ワカちゃんは知り合いの所」

「最後にキヨが一年Bクラスの東雲様の元です」


「それで、最初の彼女を生徒会のメンバーに入れる話になるのか」

「そうや。ちなみに唄姫である以上、実力は隠してると思うで」

「そうか?」

「はい、確実に。キヨの特殊機能が遠隔攻撃であるのに接近戦をしている時点でおかしいです」

「まっ、実力うんぬんより、こちらに組み込んで悪ないと思うで、唄姫やからな」

「解った生徒会のメンバーにする許可はしよう。しかし、断られたら無理意地はしないぞ」

「会長が勧誘せんでええで。勧誘は俺がするから許可だけ貰えるか」

「それはいいが、少年、くれぐれも変な勧誘はするなよ」

そうして、ミーティングを終了した。


『唄姫シリーズの秘密公開なの』

『イーは空間操作ですぅ』

『ウイは探知機能なの』

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