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第十話 ごはんを食べよう

食堂は、長いテーブルが二つあり、各々、10人づつ座れるようになっていた。

テーブルにおひつを置いて周り、姉貴の隣の席に着く。

みんなが席に付いたのを見て、隊長さんが喋りだす。

「今日は椎堂副隊長の弟君が物資を運んでくれた。久しぶりの鍋だ。ごはんも弟君が炊いてくれたので、美味しく頂こう」

掛け声が掛かった瞬間、皆が鍋に箸を伸ばし、ごはんを頬張る。

「久しぶりの野菜、うーん、美味しい」

「鍋はほっこりするね」

「ごはん、ん、何これ!!!地上で食べたのより、美味しい!!!」

「凄い、むっちゃ甘い。甘いよ。ごはん」

「ん、美味しいわ、京、流石ね。だけど、このお米美味し過ぎるわ。何米?」

「ベースは知らんけど、儀○衛の翁霞や」

笑顔で返事をしながら、ストレージから卵と醤油を出す。

「卵かけごはん専用卵と龍○の刻」

姉貴の驚きの顔が見える。姉貴は醤油を手に取り、ごはんにかけ軽く混ぜる。卵を少し、両手で温め、割って器に入れ、黄身を解す。そして、ほぐした卵をごはんと混ぜ、箸で黄金色になったごはんを掴み、口に入れる。

姉貴の顔は自然に口角が上がる。箸をが止まらないのか。一気にごはんを掻き込む。

「京、ありがと。良く準備できたね」

「本当に美味しいな。ごはんもだけど、卵も濃厚やし、醤油もキリッとしてるがトゲがなくスッキリして卵かけごはんにあってるな」

姉貴の真似をして、卵かけごはんを食べた隊長さんが誉めてくれる。

「これ、京都の儀○衛で食べた卵かけごはんの再現やねん、姉貴が食べたいと思ってな。うん、美味しいな。ごはんは儀○衛のほうが美味しいけど、上手く炊けてるな」

「ごはんが止まらないわ、ん、おこげもいいわね」

姉貴が喜んでくれて満足である。

「ああ、おなかいっぱいだよ。久しぶりに美味しいごはんを食べたよ」

亜希さんがもう動けないという感じで椅子にもたれてる。

「みんな、スイーツも有るのよ」

姉貴の掛け声を聞いて、俺は冷蔵庫から包みを取ってきて、良く冷えたプリンをスプーンと共に皆の所に運ぶ。

食べる先から、歓喜の笑顔が咲く。

壺プリンは正義で最強でした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夕食の後は、お湯で体を拭い、そのまま、深い眠りに付いた。

朝、まだ、太陽が昇る直前に目を覚まし、外に出る。

広場には、姉貴がいた。

「朝の訓練は、続けているのね」

そう言って、構え、両者無言の組み手が始まる。

相変わらす、姉貴の攻撃はしなやかだった。

こちらの攻撃は流され、蹴りは鋭く鞭のよう。突きはこちらの防御の隙間をついてくる。

途中までは、攻撃も入れれたが、最後は防戦一方だった。

「それまで!」

姉貴の正拳突きが胸に決まった時、隊長が声をかけてくれた。

「蘭とここまでできるなら、闘いでも充分活躍できるな」

「冗談でしょ。組み手やから、どうにかなってるだけですわ」

「ううん、京、あなたは強くなっているわ。この半年でマナの扱いが上手くなっているもの」

「姉貴に誉めてもらえらるのは正直、嬉しいわ。そしたら、隊長、これで御暇します」

「そうか。済まないがこの手紙を防衛隊に届けて貰えないか?」

「直接は難しいですわ、協会経由でもええですか?」

「ああ、構わない」

「そしたら、お預かりしますわ」

封印がほどこされた手紙を受けとり、ストレージにしまう。

「京、途中まで送るわ」

姉貴の好意に甘え、キャンプを後にする。

「どちらに向かうの?」

「あっこの山の低くなってる所」

「そしたら、こっちから行くのがいいわ」

と言って、左手の方向に早足で進んで行く。

姉貴は何回か止まっては、進むを繰り返しながら、魔物に会うこともなく、山の裾野にたどり着く。

「蘭様、魔物の気配をどうして捕らえることができるのですぅ?」

イーちゃんが3Dホログラムで実体化して質問する。

「あら、イーちゃん、久しぶりね。その答えは経験よ。音、匂い、記憶、全てを動員すれば、感じられるわ」

「うっう~ですぅ」

さすが防衛隊のエースである。言うことが違う。

「京、今度からはここから、光で合図しなさい。迎えを寄越すわ」

「やっぱり、単独で十階層はあかんか」

「ちがうわ。いける、いけないではないの。京はコンテナでいいのよ。私達の物資だから、安全に運ぶのは私達がするべきなの」

「………そっか。おおきに、次からはお願いするわ。そしたら、ここでお別れやな」

「う~ん?崖まで送るわ」

「そしたら、進もうか」

そうして、今度は俺が先頭になって、岩山を登る。

岩山は登りにくい所にロープを張っていたお陰で、スムーズに進み。稜線も風が強いことを除き、順調に走破した。

「ふぅ~。ここが崖下や」

「あんまり、時間が掛からないわね。それに魔物が少ないのがいいわ。後は、この崖を登ったらいいのね」

「ああ、ロープと重りを使って登るつもりや。ここらで休憩しよか」

ストレージから、朝ごはんを取りだし、姉貴にも渡す。朝ごはんはおにぎり、塩むすびである。

「ん~。やっぱり、翁霞のごはんは美味しいわ」

「上手いこと陽子さんにやってもらったからな。蘭ちゃんは、かなりまいってるはずやから、少し贅沢できるようにしたのよってゆうてたわ」

「流石、陽子さんわかってるわ。お礼言っておいてね」

「ああ、会えたらゆうとく。そしたら、のぼろか」

おにぎりをたいらげ、重りを腰に付け、ロープを持つ。

「気をつけて登りなさい。後、緊急の時はこのルート使うわ」

「かまへんけど、ロープだけでこの崖登れるんか?」

「余裕よ」

笑顔で言われた。ん~少し凹むな。

「後、私も防衛隊に手紙を届けて」

「ああ、ええで。そしたら、又、来週」

手紙をストレージにしまい。別れの挨拶をして、崖を登っていく。

重りがあるお陰で、少しは楽なのだがそれでも腕が疲れるので、休憩を挟みつつ時間を掛けて登っていく。道中、危ないこともなく、崖の上まで行くことができた。

『ふぅ、無事戻ってこれたな』

『御苦労様ですぅ。一つ進言ですぅ。時間も有りますし、周囲の魔物退治をやるべきですぅ』

『さよか。いっちょ、やりましょか』

少し、休憩をした後、周囲の探索を実施する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『前方 15メートル コボルトの集落 数 さん以上』

イーちゃんが警告をあげる。

前方に見えるコボルトに気が付かれないよう、風下から近づく。そっと、背後に立ち、頭を両手で押さえて首を折る。そして、近くにいた次の目標を掌で顎を打ち、倒した後、喉を足で潰す。残り一匹が叫び声をあげようとしたが、左のハイキックで頭を飛ばす。このようにして、集落にいたコボルトを一匹づつ、殺して周る。

『素手でもええけど、ナイフが欲しいな。いろはに頼もか』

『それがいいと思いますぅ。銃は使い所を選びますぅ』

それから、近くのゴブリンの集落を二つとコボルトの集落、一つつぶして、学園に戻った。


『卵ごはんは日本人の心ですぅ』

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