表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

第一話 学園ランキング戦 その一

初投稿です。

楽しく読んで頂ければ、幸いです。



俺は椎堂 京 ハンター学園 一年生である。


百年ほど前にいきなり、世界中の数ヶ所で、ダンジョンという怪奇現象が発生した。


その後、ダンジョンの中から、多くの魔物が出てきて、世界中の街が潰れていった。

人類は抵抗しなかった訳ではないが、当時の兵器は魔物に通用しずらく、また、魔物数が多かった為対応が間に合わなかったのだ。


ただ、幸運にも五年の間にダンジョンの入口を封印する方法を見つけることができ、一時の混乱は収まった。


この不幸な出来事、後に言われる【厄災】は幸運も付随していた魔物が残す魔石はエネルギーに変えることが出来たのだ。人類は、魔石の力を使いながら、【厄災】から、数十年で、復興していく。


この復興の途中、ダンジョンの魔物を刈り、魔石を集めることを、専門にする者が現れ、その者たちをハンターと呼ぶようになる。

国は効率的な魔石の回収を行う為、ハンターを管理するギルドとハンターを養成する高校を作った。

それが、ハンター学園である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


キンコン カンコン


教室の中にベルが鳴り響く。

「はい、それでは、今日の授業を終わりまぁ~す」

担任の茜先生がそう宣言すると同時に何人かの生徒があわただしく、食堂にかけていく。


「京君、一緒に食堂に行こう」


綺麗な黒髪をポニーテールに纏めた、クラスメイトの 柊 さくらが声を掛けてきた。さくらは一年生で一番人気のスレンダーな美人さんである。


「いろはも、行くでしょ」

「うぁ~ モチロン」



授業中、完璧に寝ていた いろはが眠たそうに答えていた。いろはは、俺の幼なじみなんだが、大概、授業中は寝ている。最初の頃は、先生も注意していたのだが、全く治らない為、この頃は、無視されている。


俺たち、三人は、多くの生徒が進む流れに乗りながら、食堂にむかい。各々、好きな定食を持って、食堂の席に着く。


さくらが美人のせいで、少しだけ、周りの視線が痛い。まっそれも、入学二ヶ月ぐらいになると大分慣れてきた。


「いろは、部活何にするか決めたの?」

「料理部にする」

「えっ、そんな部活あったっけ?」


さくらが箸をくわえながら、不思議そうにしていた。


ダンジョンに潜る時、普通は同じ部活で潜る。

また、各々にあった技術を部活の先輩に指導してもらえる為、何処に入るかはとても、重要になってくる。

人気なのは、剣術部や射撃部など、ダンジョンの稼ぎが多い部で、生産職の文化系部活は不人気であるので、さくらが知らないのも納得できる。


「さくらが知らへんのも、しゃあないわ 。去年の先輩が卒業して、在校生ゼロになってもうた 部活やさかい」

「えっ、いろは、そんな無謀な部活にはいるん?」

「人が居ないところは、気軽やから、京がいれば、十分やし」

「京君も入るの?」

「モチロン、いつも通り、いろはと一緒に行動するつもりや」


いろはは、団体行動ができない奴なんで、大概、俺とつるんでる。


「そしたら、私も入ろうかなぁ」

さくらが無謀なことを言い出したので、

「止めといたほうがええなぁ。うちらに付き合っても、ろくなこと成らへんで」


実際、先輩が居ない状態はかなり不利であり、デメリットしかない。俺やいろはみたいな、変わり者以外選ばない選択である。


「まっ、主席のさくらやったら、引く手あまたやろうし」


さくらはハンター学園入学時、一番の能力、つまり主席で入学してきた。しかも、美人やし、頭もええから、天は二物も三物も能えるんやと素直に驚嘆する


「そうでも、ないよ 剣術部は流派がちゃうし。射撃部は論外やし」


さくらの獲物は刀である。しかも、実家が俺らと同じ桐生院流の家元である為、一般的な剣術とはかなり違う部分がある。


「まっ、希望の提出は明日やさかい 今日、じっくり考えたほうがええんちゃうか。それに、そろそろ、急いで食べんと午後の実習に、間に合わへんで」

「あっ、本当」


俺たちは急いで食事を終わらせて、少し急ぎ気味に実習の行われるドームに向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ハンター学園のカリキュラムは大まかに三つある。


午前中は、一般教養 国語、英語、数学、ダンジョンやハンターの知識などを座学で学ぶ。


午後からは、実戦を模した訓練や、ランキング戦など、実際に体を動かす授業。


そして、週末はダンジョンに潜る。


ここ、ドームは、訓練及び、ランキング戦を実施する場所である。


ハンター学園は、一つの学年が64名、AとBの二つのクラスに別れていて、ランキング戦は一つのクラス 32名の総当たりで実施される。


「今日は第三会場の二番やな」

試合会場の場所と順番を確認すると、いろはが眠たそうに電子掲示板の自分の名前を探している。


「いろはは、第一会場の一番ね」

さくらが自分の確認より先に、いろはの順番を確認しながら、自分の順番も確認する。

「さくらは、第五の一番やな 。いろはは、さぼんなや」

「了解、適当に戦うよ」

いろはの巫山戯た返事を聞きながら、第三会場に足を運ぶ。


第三会場の控え室に入ると、クラスメイトの高橋さんが、

「お先にぃ」

と言って、フィールドに出ていった。

それから、しばらくたつとビーとブザーが鳴り響く。


モニターの中では、クラスメイトが熱戦を繰り広げていた。


俺たちハンターは、学園に入学したとき、フィードバックという機器を貸与される。これは、体内のマナを様々な現象に置き換えることができ、人類が持つ魔物対策の切り札である。


フィードバックの機能は主に三つあり、


一つは、バリヤ機能。

マナが消費される限り、体を衝撃から、守ってくれるという一昔前には、考えられない機能で、ぶっちゃけ、チートやと思う。

このバリヤのお陰で、人類は魔物を簡単に退治できている。

考えて欲しい 条件付きとはいえ、こちらの安全な壁の内側から、相手を好きなだけ殴れるのだ。

ふざけてるの一言である。


次に身体能力の強化。

マナを消費して、攻撃や防御、素早さなんかを強化できる。


最後が空間収納。

武器やアイテムなどの無機物を異次元に収納できる。


この三つの機能を聞いても、フィードバックの凄さが解ると思う。


第一会場のモニターでは、いろはの戦いが始まっている。

「相変わらずやなぁ」

と独り言を呟きながら、いろはの異様な戦いを見ていた。


いろはの対戦相手は、斎藤君で、実力は普通。マナが300ぐらいである。スタイルも今流行りの高起動マシンガンタイプ。


斎藤君は、ブーツに風の力を纏わせながら、高速に移動し、手に持つマシンガンをタッタッタッと連射していた。


対するいろはは、銃撃を反らしながら、ひたすらに逃げている。銃弾に追われるニワトリのように見える。


いろはのマナは69である。

学園内でぶっちぎりの最下位でなので、攻撃する手段がない。というか、武器すら持ってない。防御も紙なので、受けることもできない。その為、ひたすら逃げている。


いつもの光景に、他の控え室にいるクラスメイトは笑っているだろう。


『相変わらず、いろは様は、鬼なのですぅ』


不意に俺の脳に直接声が響く。いろはは、マナの値は低いんだが、戦績は29戦が終わり、0勝 5敗 24分である。異様の一言である。


『通常、引き分けなんか狙うの無理ですぅ』


再び、脳にイーちゃんの声が響き。


『まっ、いろはやからなぁ』


俺も嘆息気味にイーちゃんに脳内で応える。


『その一言で片付けられると、サーヴァントは要らなく成りますぅ』


俺のサーヴァント イーちゃんが嘆息している。サーヴァントとは、戦闘補助システムなのだが、通常はこんな人格は持っていない。イーちゃんは特別である。


いろはは、サーヴァントを使用していない。だから、イーちゃんは、自分の存在意義を否定されている感じなんだろうと思う。


そんな風に考えながら、サーヴァントを使用していない もう一人の戦いに目を向ける。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


モニターの中では、さくらが中嶋さんの攻撃を躱している。


中嶋さんは、クラスランキング 6位のマナが380くらいのハンターで、スタイルは遠隔射撃タイプである。


足をとめた状態で、マシンガンから、 これでもかと言っていいほどの、弾幕がばら蒔かれている。


さくらは弾を避けながら、中嶋さんに近づこうとするが、弾幕の激しさに、なかなか、自分の攻撃レンジに、入れずにいる。


『さくら様、調子が悪そうですぅ』


イーちゃんが呟く。


さくらは、29戦 29勝 トップを走る一人で、スタイルは近接戦闘タイプである。マナは720あるので、普通は中嶋さんに手こずるはずはない。


『フィードバックの調整、ミスぽいなぁ』

『その様ですぅ』


フィードバックは、上手いこと調整すれば、マナの値に関係なく、実力を底上げできる。

通常、ランキング戦などを通して、自分にあった調整を実施する。ただ、さくらは、実家のこともあるので、複雑な調整がいるスタイルではない。

調整カプセルに入って、自動調整するだけのはずである。


『さくらが、そんなミスするはずないけどなぁ』

『さくら様の性格からして、おかしいと思いますぅ』


さくらの性格は、ある一点を除いて、真面目である。


『試合中は、どうもできへんから、終わったら聞いてみよか』


そうイーちゃんと話して、試合の観戦に戻る。


さくらの試合は、終盤まで中嶋さんの攻撃に、手こずっていた。しかし、中嶋さんも、弾幕をばら蒔き過ぎたのか、疲れの為なのか、少し、マシンガンの弾幕が弱まった。さくらはその隙を見逃さず、強引に間合いを詰め、刀の七連撃で、勝利をもぎ取った。


一方、いろはは、相変わらず、攻撃を避けたり、反らしたりしながら、30分間逃げ切り、引き分けに持ち込んでいる。


『いろは様は、鬼ですぅ』


イーちゃんは、最後にそう括った。




『いろは様は、鬼で。さくら様は万能ですぅ』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ