第一話 ヤミウチ ハヤテ
「おい見たかよ?朝のニュース」「ああ 見た見た」「あれだろ また“裁き”だろ」「ああ」
今日もクラスはその話題で持ちきりだった。教室には色々なグループがあったがその話しかしていない。
「ーーー裁き…か」
犯罪者が増加するこの世界。もはや警察の力も全てに行き渡ってるとはいえずむしろ一部の犯罪しか犯人検挙に至ってない、そういった状況だった。しかし近年、過去に犯罪を犯し人を殺したことのある犯罪者達が息絶えた姿で見つかる、そういった事件が多発している。しかも見つかる場所は全国各地まばら、その上死因も違う、そういった理由から警察は犯人特定おろか容疑者さえも絞れてない状況にいた。唯一つ全てにおいて共通している点が“他殺”この一点である。とはいえこの情報しか公開できない警察にたいし、ある人々は早く犯人を検挙しなければ国が滅んでしまう、なにをやっているんだ警察は!?と裁きを行っている人々を否定的見て警察に対しても役に立ってない、と言った意見を述べる。又ある人々は、警察なんかより余程犯罪撲滅の役に立っている、警察より頼りになる、と裁きを行っている人々を肯定的に見ていた。どちらにしても警察に対して良い意見はなく、裁きに対し肯定的か否定的かによって社会は激しい議論になっていた。そんな人々が議論の中でつけた名前、それが『裁き』。
「なぁ今日のニュース見たろ 疾風はどう思う 裁き」
そう話しかけられた彼の名前は闇内 疾風、高二の学生である。
「どうって…良いとは……思えないさ」
「おまえはいつまで立っても否定的だな 考えてみろ 何も役に立たない警察より何倍も役に立ってるじゃん 活躍してもらった方が犯罪が減ると思わねえか」
そう言われた。
「あぁ…そうだな」
闇内は少し投げやりに答えた。
「なんだお前は この話になるといつもそうなるよな 実はお前が“裁き”をしてんじゃねぇか」
「ははっそんなわけねえか」
そう言って今まで闇内に話しかけていた友人は去っていった。そいつがいった冗談混じりの一言を聞いて闇内は少し真剣な顔をして呟いた。
「俺が…か」