教皇の記憶
町から出ようと歩きだしたのはいいけど、すでに大勢の人に囲まれている私たち。
原因?
そりゃショタっ子ですよ!
教会が権力をもつこの国で、教皇ってのはそりゃ雲の上の人物なんだってさ。
そんな人が市井に居るもんだからもう大変。
拝みだす人や、握手を求める人がわらわらと寄ってきて、あっという間に人団子の出来上がりです。
「ちょっと教皇様?これどうにかなんないの?」
「そんなことを言われても…こんなものまで貰ってしまった…」
こそこそ話す私とショタっ子。
何だかショタっ子が愕然としてるのは手にペロペロキャンディを持たされたからだろう。
ってか、似合いすぎて笑えない。
思わず敬語を使うのも忘れてしまったくらいだ。
「それよりも始祖様はその話し方が素なのか?」
「あ、うん。堅苦しい話し方ってなんか慣れなくてね。失礼だったよね。ごめん。」
「いい。そのままで」
「え?」
「そのままでいいと言ったのだ!そ、それよりも皆には解散して貰わんとな。」
なんだかビックリ。
ショタっ子の耳が真っ赤になってる。
これは照れてるのか?いや、今の会話のどこに照れる要素があったのか全然わからん。
まぁ、そのままでいいって言われたからこれからは遠慮なく普通に話させてもらうけども。
あれからまさに鶴の一声と言えるショタっ子の言葉で集まっていた人はザザーッと引いていった。
火急の用があるから急がなければとかなんとか言ってたような気がするけど、あんまり聞いてなかったし。
どっちにしても、流石としか言いようがない。
ショタっ子だけど。
とりあえず、町の外へ出られる様になったので、歩きながら気になっていた事を聞いてみた。
「ねぇ、教皇様は何歳なの?」
そう!これだ!
明らかに人族なのに、年齢不詳だもん。
しゃべり方とか地位とかがさ。
バルさんやクゥ、侍崩れまで息をのんで返答を待っていると、爆弾が投下された。
「年齢か…年齢は10歳だ!」
えぇーーーー!?
年下?
まさかの返答に皆が唖然とするなか、ショタっ子だけは不思議そうに私たちを見ていた。
「お主、記憶持ちか…」
いち早く立ち直ったバルさんが驚きながら尋ねるとショタっ子はコクリと頷く。
てか、記憶持ちってなんぞや?
「そうか、ならばお主はあやつでもあるんじゃな…」
「いや、先代や先先代の記憶はほとんどない。あるのは教皇としてすべき事の記憶だけだ。」
「そうか…辛い思いをしたのう」
「いや、もういいのだ」
えーっと、二人は話が通じてるみたいなんですが、こちらははてなマークが頭を占めているんですよ。
誰でもいいから説明して貰えませんかね?