生き字引のもとへ
さて、どうするか。
ところかわって私の部屋へ戻ってきた絵を見た一行…といっても私を入れて三人だけど…、ちょっと困ったことになっている。
え?なにがって?
私以外の二人がパニック中なんだよ!
なんかバルさんは里へ知らせなければ!!!とか言いながらうろうろしてるし、ショタっ子は各国の要人に知らせるべきか…って言いながらグルグル回ってるし…なにこの混沌
それでも起きないマイサンのクゥは将来大物になると思う。
って、そんなことはどうでもよくて…とりあえず二人が視界にチラチラしてて地味に鬱陶しいので、止めることにした。
「あの!二人とも!まだ何もわかってないんだから少し落ち着いてもらえません?私に少し考えがあるので。」
「何!?サーラ嬢ちゃん!それは本当か!?」
「始祖様、考えとは一体…」
うん。二人ともとりあえず停止してくれて何より。
血走った視線がこちらに向いてるのが怖いけど。
てか、上に立つ人って『焦らず騒がず冷静に!』がモットーなんじゃないの?
全部満たしてないんだけど、これでいいのか?
まぁ、それはともかく、何か知ってるのか聞いても『イエナイ』の一点張りの発光体モードの精霊王′sは気になるけど、それは一先ず置いといて…私は二人にシア婆の事を話すことにした。
精霊王′sの言葉が『イワナイ』じゃなくて『イエナイ』って事から考えると、誰かに制限されてるって考えたほうが自然だからね。
この世界のヒエラルキーの上位に位置する精霊王′sが誰に口止めされてるかは考えたくもないから、今は放置。
それに比べ、12000年生きてて生き字引であるシア婆に聞くほうが余程現実的だ。ってことを話したら、今すぐにサイランに出立することが決まった。
…え?決定、早すぎない?
これ以上サリアさんを待たせておくのも恐ろしいから、私としては願ってもないんだけどさ。
バルさんとショタっ子がついてくること以外は!
まぁ、当たり前だけどまだすやすや寝てるクゥもついてくるわけで…ドラゴン二匹と見た目が子供の二人という訳のわからんメンバーで教会を後にした。
「ルルシカ!しばらく頼んだぞ!サイランまで火急の用があるのだ。」
「はっ!教皇様が帰られるまで、このルルシカ、精一杯教会を守らせていただきます!」
「うむ。」
教会を出たところでルルシカさんに会って、ショタっ子とこんな会話がなされてたわけだけどさ.…。
戦争とかあるわけじゃないんだし、そんな気負わなくてもいいんじゃ…と思ったのは私だけじゃないはず。誰も口にはしないけど。
バルさんとクゥはポカーンってしてるし、ショタっ子も苦笑してるしね。
ルルシカさんは至極真面目なのがなんだか痛ましい。強く生きてください。
さぁ出発!
と思ったところで背後から声が掛かった。
「待たれい!始祖殿や教皇殿。某もお供するでござる!」
あ、この人、すっかり忘れてたわ。
そんなこんなで侍崩れまでくっついてきて、更に訳のわからんメンバーになったところで、今度こそ本当に出発することになったのだった。