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真実の絵?

足早に…とはいってもリーチの長いバルさんはゆったりだけど、子供二人組(私とショタっ子)は軽く額に汗をにじませながら教会奥の部屋の扉を開く。


一昨日振りの部屋はなにも変わっていない。

それでも一度見たことのある絵が不気味な物に感じてしまうのは、日記の内容が頭にあるからだろう。


「これがその絵じゃな…」


見なきゃいけない、でも見るのが怖いと密かに葛藤していた私を置いて、ショタっ子とバルさんは絵の前まで移動していた。


(うおぅ、行動が早いな!私も…)


悪いことをしているわけでもないのに、そーっと二人の背後に移動。

だって一人だけビビって行動遅れたとか恥ずかしいし…。

なんて思ってたんだけど、顔を上げて絵が目に入ってきてそんな気持ちはすぐに消えた。


「なにこれ…」


先日は何も気にせず趣味の悪い絵だと思って見てた。

でも今は…もしかしたらこれから起こりゆく事なんじゃないかと思いながら見ている。

それだけの違いなのに、今は心臓を鷲掴みされたような気分だ。


絵の中には、バルさんのようなドラゴンさんや、エルフ(ハイエルフ?)の人、なんの耳かはわからないけど獣人の人、人族っぽい人、そして吸血鬼が沢山描かれている。

曖昧なのは絵が細かくてよくわからないから。

何とも共通性のない人種だけど、一つだけ…いや、この場合それしか共通することがないと言ったほうが正しいかもしれない。

それは…全員が見たこともない魔物らしきものと戦っているってことだ。


「これが災厄だとすればえらいことになるぞ…」


ボソッと、でも不思議と響く声でそう言ったのはバルさん。

バルさんの顔を見ても、視線は絵に向けられたままだ。


「バルさん、どういうことですか?何か知ってるんですか?」


「…儂も詳しいことは知らん。だが…ドラゴンという生き物は総じて長生きじゃ。だからひとつふたつ噂が残っておるもんなんじゃよ」


「つまり?」


「今から凡そ一万年前、どこからともなく現れた闇の軍勢に世界は滅亡まで追い込まれたと聞いたことがある。根も葉もない噂じゃと思っておったが、この絵が真実を描いたものであるならば…」


「それが起こりうる…と。」


おお!ショタっ子、今までポカーンとしてたのにいきなり会話に入ってくるとは!

しかもタイミングバッチリだな。おい。


まぁ、それはいいとしても、この絵に気になる点がいくつかあるんだよね。


まず、敵方の首がない騎士。

剣を持ってるし立ってるから死んでる訳じゃないと思うんだけど…これってゲームとかで有名なデュラハンってやつじゃないの?

そんでもって、吸血鬼が女一人、男三人って少なすぎない?

もし、その女性が日記を書いた始祖だとしたら、死んじゃってる筈だよね?

なのに、吸血鬼は今でもいる。

男三人が生き残ったとしても、女が居なければそこで血が途絶えるであろうにも関わらずだ。

身をもって知ってるけど、始祖至上主義な吸血鬼の同胞が戦いに出てないはずないんだけどなー。

調べてみる価値はあるかもしれない。

後、最後の疑問点、魔物らしき者を統率してるっぽい男がいるんだけど……これって所謂『魔王』じゃね?

もし、魔王だとしたら、私より勇者属性の人をトリップさせたほうがよかったんじゃ…


(まじ謎だ…何で吸血鬼始祖が現れた同時期にこんなことが起こったんだろう…)


何も見落とすまいと絵を食い入るように見ているショタっ子とバルさんを横目に、私はさらに深まった謎を一人考え続けていた。


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