未来への不安
バルさんの英雄…英竜?譚に食い付きながらテンションが上がってるショタっ子。
おじいちゃんと孫みたいで微笑ましい。
クゥは疲れたのかすやすや眠ってるし、私だけがシリアスな雰囲気を醸し出しているという、とっても不思議な空間が出来上がっていた。
(何が起こるか結局わかんなかったけど…この日記を書いた人は死んじゃったんだろうな…それにしても…過ちを繰り返さないでって何が過ちなのかすらわかんないんだけど…)
そうなのだ。
日記を全て読み終えたはいいものの、肝心な事がなにもわからない。
内容からして大変な事が起ころうとしているであろう事はわかるけど、詳しいことは記されていないんだから。
(多分、書けない事情があったか、ただ書き忘れたか…だよね。うーん、すっごい後者っぽいなぁ…)
最初の方のふざけた内容を思い返すと、書き忘れた可能性の方が高い。
ならば、これ以上日記からヒントを得られるとは思わない方がいいだろう。
「うーん、結局何もわからずじまいかー」
「なにがじゃ?」
「うん。日記の内容がね…って!バルさん!いつの間に隣に!?」
「サーラ嬢ちゃんが唸っておった時からじゃが…」
なんと!どうやら私は一人で唸りながら日記を睨み付けていた…と。痛い子だなおい。
「始祖様!もしやもう解読が終わったのか!?」
おおぅ!ショタっ子、そんなに身を乗り出さなくても!
解読って…私的には読んだだけだからね。早くて当然だと思うよ?とは言わず、頷くだけに留めておいた。
「そうか!それで何と書いてあったんだ!?」
「なにがじゃ?」
えーっと、これはバルさんにもわかるように最初から説明した方がいいんですかね?
「…ということなんですけど…」
ショタっ子が日記の出所を説明してくれたので、私は日記の内容を伝えたんだけど…二人とも黙っちゃったよ…。もちろんどうでもいいとこは端折ったからその内容で沈黙してる訳じゃないよ。一応。
「…それは…過去の始祖様の日記だったのか…」
「そんなことより、これからどうするのじゃ?サーラ嬢ちゃんはその声を聞いたのじゃろう?」
「はい。ナギサという同胞に血を与えた瞬間に頭に声が響きました」
「ならば、災厄が迫っておるとみて間違いないじゃろうな…うーむ」
「その災厄がどのようなものかわかればいいのだが…」
「ん?災厄?あ!!」
「どうかしたのか?」
「教皇様!日記と同じ時代に描かれたっていう絵がありましたよね!?」
「うむ。あるが…そうか!それにヒントが隠されているかもしれん!早速移動しよう!」
チラリとクゥを見ると、まだよく眠っていた。
起こすのも可哀想なのでお留守番係に勝手に任命して、私とバルさん、そしてショタっ子で絵の元へ向かう。誰もが無言の中、足音だけが廊下に響いていた。